評     価  

 
       
File No. 1182  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年03月13日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   谷口 正晃  
       
上 映 時 間   122分  
       
公開時コピー   あなたに、会いにいく。
 
記憶は消えても、
この想いは消えない。
時を超えて、
今、新たな物語がはじまる。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   仲 里依紗 [as 芳山あかり]
中尾 明慶 [as 溝呂木涼太]
安田 成美 [as 芳山和子]
勝村 政信 [as 浅倉吾朗]
石丸 幹二 [as 深町一夫]
青木 崇高 [as ゴテツ(長谷川政道)]
石橋 杏奈 [as 芳山和子(74年)]
千代 将太 [as 浅倉吾朗(74年)]
柄本 時生 [as 元宮悟]
キタキ マユ [as 市瀬]
松下 優也 [as 門井徹]
 
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あ ら す じ    母芳山和子が勤務する大学の薬学部に見事合格した芳山あかりは、ある日母が交通事故に遭った知らせを聞いて病院へ駆けつけた。幸い外傷はたいしたことがなかったものの、頭を強く打った和子の意識はなかなか戻らなかった。
 やがて意識を取り戻した和子は、何かに取り憑かれたようにベッドから起き上がろうとする。和子を止めようとするあかりに、和子は1舞の写真を取りだして見せた。それは中学時代の和子と同級生らしき少年が並んで写ったもので、その少年深町一夫にメッセージを伝えなければならないと和子は言う。あかりは和子に代わって自分が深町に会ってメッセージを伝えようと、深町にどこで会えるかを尋ねたところ、返ってきた和子の言葉は「1972年4月、中学校の理科室」だった。
 混乱するあかりに対して、和子はさらに言葉を続けた。研究室の引き出しに時間移動を可能にする薬があるから、それを飲んで深町に会って欲しい、と。あかりは母の研究室へ行って薬を見つけると、それを飲み込んで念じた行き先は1974年の2月。あかりは勘違いして、深町に会うべき時から2年も後にタイムスリップしてしまったのだ。
 あかりがタイムスリップした先にいた大学生の溝呂木涼太は、突然頭上から落下してて気絶してしまったあかりを、自分のアパートに連れ帰った。そしてその翌日、目が覚めたあかりは涼太に事情を話し、一緒に深町を捜して欲しいと頼み込んだ。こうしてあかりは涼太と共に、母からのメッセージを伝えるために深町探しを始めるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    筒井康隆原作の『時をかける少女』といえば、大林宣彦監督の尾道三部作の二作目として映画化されている。そして、前にも書いた通り私は『転校生』と『さびしんぼう』は大好きで何度も観たのだが、『時をかける少女』だけは原田知世が好きでないために一度も観ていない。それが良かったのか悪かったのかは知る由もないが、今回の仲里依紗主演のこの作品は思った以上に面白かった。
 仲里依紗といえば今まで『ちーちゃんは悠久の向こう』や『純喫茶磯辺』、『ハルフウェイ』ですっかり馴染みが深いのだが、この作品での彼女の可愛さには正直驚かされた。今までは「可愛さ」を売りにせずに演技力を前面に押し出していたような感のある彼女だが、実は正統派の美人女優として売り出してもよかったのではないかと思われるほど、綺麗に整った顔立ちをしていることに初めて気づいた。劇中に「こんな美人に頼まれたら・・・・・」という台詞があるが、それが全然冗談になっていないのだ。
 そう思ったら最後、もはや作品の内容などは二の次になってしまうのは私の悪い癖なのだが、冷静な目で見てもやはり彼女の演技は上手いと思う。個人的には彼女の目の演技が特に気に入っていて、以前デビュー当時の斉藤由貴に夢中になったのもやはり同じ目の演技だったから、仲里依紗もまた私の仲では斉藤由貴と同レベルのお気に入りになりそうだ。そして、相手役の溝呂木涼太を演じた中尾明慶の相変わらずソツのない演技も好感が持てる。
 劇中でかぐや姫の「神田川」や吉田拓郎の「春だったね」が聞けるのが嬉しい。特に、拓郎の「春だったね」は、私が生まれて初めて自分で買ったレコードであるアルバム「元気です」の1曲目で、拓郎の曲の中でも好きな1曲だ。ただ、それ以外には1974年当時の風俗が作品中からあまり感じられないのは寂しい。また、久しぶりに見る安田成美だが、母親役を演じていても以前と演技が全く変わっていないのにはちょっと興醒めだった。
 あかりと涼太が互いに恋心を抱くようになるというストーリーは予定調和だが、まさかあんな悲しい別れになるとは予想もしていなかった。涼太が撮った映画を観てあかりが涙するのは、まさに「記憶は消えても、この想いは消えない」というコピー通りだ。原田知世は観たくないが、大林監督がこの作品をどうまとめたのかには非常に興味があり、機会があればDVDででも観て観たいと思っている。