評 価
File No.
1186
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年03月27日
製 作 国
日 本
監 督
ハンス・カノーザ
上 映 時 間
124分
公開時コピー
恋をした次の日に、私はキオクを失った。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
堀北 真希
[as ナオミ]
松山 ケンイチ
[as ユウジ]
手越 祐也
[as ミライ]
アントン・イェルチン
[as エース]
エマ・ロバーツ
カイリー
桐谷 美玲
清水 美沙
桐島 かれん
渡部 篤郎
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あ ら す じ
2009年の9月、カメラを守るために階段で頭からダイビングした
ナオミ
は、救急車で病院へ運ばれた。救急車で付き添ってくれた
ユウジ
という青年はナオミのカレシだと言っていたが、4年分の記憶を失っていたナオミにはそれが事実かどうかわからなかった。ナオミはユウジにそのことを尋ねると、ナオミには
エース
というアメリカ人でイケメンのカレシがいるらしい。ユウジはナオミが無事病院に運び込まれるのを確認すると、ナオミの目の前から消えていった。
ナオミの見舞いに訪れたのは、ナオミのアメリカンスクールの仲間で以前からナオミの親友だったという
ミライ
だった。ナオミはミライから、東京のインターナショナルスクールの生徒だったらしいこと、自分たち2人が中心になってイヤーブックの制作をしていたらしいことなどを教えられる。そして、エースというカレシがいるが、彼は見舞いには来ないとも言う。ナオミがカレシであるエースに“初めて”会ったのはナオミが退院して自宅の自分の部屋にいた時だ。窓から土足で部屋に入ってきたアメリカ人の青年、彼が自分のカレシらしいのだが、なぜか違和感を覚えるナオミだった。
記憶を失ってから初めて登校したナオミにとっては、学校で遭遇するすべてが初めての光景だった。そして、学校でユウジと再会したナオミは、どこかしら暗い陰をまとったようなユウジに次第に惹かれていく。そんなナオミに「以前のナオミらしくない」と忠告するミライは、どうやらナオミがユウジに惹かれるのを止めたがっているようだったが、“以前の自分”の記憶がないナオミの気持ちを変えることなどはできるはずがなかった。そして、ナオミが自分の知っていた姿から変わっていくことに、エースもまた戸惑っていた。ユウジに向かったナオミの気持ちはもはや後戻りできないほど強くなり、ナオミはついにエースに別れを告げるのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
堀北真希が可愛いのは充分承知している。そして、この作品ではあたかも彼女のPVでもあるかのように、彼女の可愛さが必要以上に引き出されていて、彼女のファンが観たならばその可愛さのあまりに卒倒するのではないだろうか(笑)。そして不思議なことに、可愛い女の子ならばほぼ無差別で気に入ってしまうという困った性癖を持つ私なのだが、なぜか彼女にはあまり魅力を感じることもなく興味も湧かないのだ。
とはいうものの、女優・堀北真希はともかくとしても、この作品のナオミにはどうしても惹かれてしまう。そして、記憶喪失になって自分自身のことさえわからず、自分にふさわし相手が誰なのかを模索してエース、ミライ、ユウジの間で揺れ動くナオミは不安定で扱い難い女の子なのだが、悲しいかな男という生き物はそんな危なっかしい女の子に保護欲をそそられ、おまけに魅力的に思えてしまうのだ。
昨年『男子トイレ相談室』でお初にお目にかかったアントン・イェルチンは、私が最も期待するハリウッド俳優のひとりで、今年は早くも『ニューヨーク、アイラブユー』に次いで二度目のお目見えとなった。だが、この作品での彼は単なる明るいだけのお調子者でしかなく、しかも後半はほとんど出番なしという扱いにはどうしても不満が残る。実は、私がこの作品で最も期待していた点がまさに彼だったのに、持ち味を発揮するまでもなく終わってしまってさぞかし無念だったことだろう(笑)。
そして、アントンの次に期待していたのは言うまでもなくマツケンこと松山ケンイチで、相変わらずその演技達者ぶりを充分に発揮してくれている。端正なマスクにどこか陰のあるユウジに、ナオミが惹かれていくのも自然な成り行きだと言える。それにひきかえ、実はナオミを愛していながらも素振りにも出さないミライの存在が鬱陶しい。自分は常にナオミの最大の理解者だなどと言いながら、その実は彼女に拒絶されるのが恐くて気持ちを打ち明けられない。そして、自分が気に入らないユウジとナオミが親しくなるのを不愉快に感じて、さもナオミを気遣うかのようにユウジを遠ざけようと画策するのだ。そして、私はこういうタイプの男が最もキライなのだ。結局、ナオミとユウジの恋物語かと思われたストーリーは意外な方向に進んでいき、最後にナオミの元に残ったのはミライだけという、ちょっと皮肉な結果に終わった作品だった。