評     価  

 
       
File No. 1188  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年04月03日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   三木 孝浩  
       
上 映 時 間   126分  
       
公開時コピー   それは、二人の想いをつなぐ歌。切なく胸に鳴り響く、青春恋愛映画の誕生!  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   宮ア あおい [as 井上芽衣子]
高良 健吾 [as 種田成男]
桐谷 健太 [as ビリー]
近藤 洋一 [as 加藤賢一]
伊藤 歩 [as 小谷アイ]
ARATA [as 冴木隆太郎]
永山 絢斗 [as 大橋]
岩田 さゆり [as 鮎川律子]
美保 純 [as 芽衣子の母]
財津 和夫 [as 種田の父]
 
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あ ら す じ    OL2年目の芽衣子とフリーターの恋人種田は、大学の軽音楽部で知り合って以来6年の付き合いになり、今は多摩川沿いの芽衣子のアパートで同居生活を送っていた。仕事に対してやりがいを感じることもなく、面倒な人間関係うぃ強いられる会社生活を続ける意義を失った芽衣子はある日、種田に会社を辞めたいと切り出した。種田の答えは、「辞めちゃいなよ。あとは自分が何とかするから」。そして、芽衣子は会社に辞表を提出した。
 会社を辞めた芽衣子は、久しぶりに種田が大学時代のサークル仲間のビリー加藤との3人組バンド“ロッチ”の練習を見に行った。今は実家の薬局を継いだビリーに、大学6年生の加藤、そしてその恋人で芽衣子の親友でもあるアイ、そして芽衣子と種田の5人が久しぶりに集合して、大学時代に戻ったかのように飲んで騒ぐのだった。
 種田とのゆるい生活を送る芽衣子は、ある日種田を「自分が好きな音楽で誰かに批判されるのが怖いんだ」と批判した。その言葉にもう一度だけ音楽に打ち込む決心をした種田は、バイトを辞めてレコーディングに全てを賭け、これが駄目だったらバンドをやめると宣言した。けれども、CDを送ったレコード会社からの返答は、グラビアアイドルのバックバンドとしてのデビューという無情なオファーだった。
 メジャーデビューという夢が破れ、再び元のゆるい生活に戻った2人。種田は芽衣子に突然別れを切り出した。芽衣子の言葉がすべて自分へのプレッシャーだと芽衣子を責めた種田は、その夜散歩に行くと出かけたまま芽衣子の部屋に戻ることはなかった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    タイトルの“ソラニン”とは、ジャガイモの芽に含まれる毒物のことである、と先日の『スイートリトルライズ』を観て初めて知った。そこで調べてみたところ、ソラニンとはジャガイモの芽や皮、ホオズキなどに含まれるステロイドアルカロイドの一種で、中毒すると頻脈や頭痛、嘔吐、下痢、食欲減退などを起こすとのこと。そして、『スイートリトルライズ』で語られていたように、大量に摂取しない限り死ぬようなことはないらしい(Wikipediaより)。そして、そんなジャガイモの毒をモチーフに作られた曲「ソラニン」が陳腐に思えて仕方ないのだが、原作がコミックとあればそれもやむを得ないのかもしれない。
 そんな曲「ソラニン」と同様に、作品の中身も完全に期待外れに終わってしまった。平成の時代に神田川のような一種の陰鬱さを要求するワケではないが、それにしてもあまりに爽やか過ぎて切実さや悲哀感を感じさせない芽衣子と種田の2人の暮らしは、同棲ではなく“おままごと”にしか見えない。しかも種田は完璧なヒモ状態で、芽衣子が会社を辞めたと告げた時の動揺ぶりは観ていて情けないのを通り越して非常に不愉快だ。そして、種田が死ぬことは予告編で観てわかっていたこともあってか、種田が死んでも何ら感情を動かされることもなく、むしろああいうダメ男は消えた方が芽衣子のためだと清々した。根本的に私は良健吾という俳優が好きになれないというのも、そう感じた理由の一つではあるが。
 前述のように、ジャガイモの芽にはソラニンという毒物が含まれている。そして、それはちょっとやそっと摂取したくらいでは死ぬことがないという、毒性のあまり強くない毒物だ。そして、この作品について言えば、毒性が弱いどころか、全くどこにも毒気が感じられない、牙を抜かれた虎のような味気なさだけが残る。宮アあおいも、実生活ではヒモ同然(と言っては言い過ぎか)のダメ亭主・高岡蒼甫を抱えているのだから、実体験を生かして味のある演技を見せて欲しかったのだが、残念ながら相変わらずただ可愛らしいだけ(とは言っても、私はあまり好みではないが)の“お人形さん”で終わってしまっている。せっかく美保順や財津和夫といった顔ぶれが脇を固めているのに、肝心の主役2人があの体たらくでは・・・・・。あ、キャストと言えば、良健吾とARATAって『蛇にピアス』でも共演していたのだが、『蛇にピアス』でのARATAは青中ピアスだらけのシバ役だったから、気がつかなくても仕方ないか。