評     価  

 
       
File No. 1189  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年04月03日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   深川 栄洋  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   “ありったけの切なさ”につつまれる、
涙がこぼれるラブストーリー
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   池松 壮亮 [as 裕一]
忽那 汐里 [as 里香]
濱田 マリ [as 亜希子先生]
加藤 康起 [as 保(裕一の友達)]
川村 亮介 [as 司(裕一の友達)]
緑 友利恵 [as みゆき(裕一の友達)]
森田 直幸 [as 夏目先生に訴える少年]
螢 雪次朗 [as 現・青葉病院院長]
中村 久美 [as 里香の母]
西岡 徳馬 [as 青葉病院院長]
大泉 洋 [as 夏目先生]
 
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あ ら す じ    肝炎で伊勢市の青葉病院に入院中の高校生裕一は、ある日病院を抜け出したことが看護師の亜希子先生にバレてしまい、「テレビ没収」「注射の練習台になる」「友達になる」の三択を迫られる。ワケのわからないまま「友達になる」を選んだ裕一は、亜希子先生から屋上でいつも寂しそうにしている子に話しかけてあげるよう頼まれた。こうして裕一が出会ったのが、9歳の頃から孤独な入院生活を続けてきたため、いつしか笑うことすら忘れてしまった少女里香だった。
 里香のワガママに振り回され辟易する裕一だったが、彼女が小学生の頃から入院生活を余儀なくされていることを亜希子先生から聞いて、次第に里香に対する気持ちに変化が生じてくる。そして、彼女の頼みを聞き入れた裕一は、夜中に里香を連れて病院を抜け出すと、砲台山の頂上へとバイクを走らせた。そこは、里香が父親と最後に訪れた場所だったのだ。
 青葉台病院に勤務する内科医・夏目。かつては優秀な心臓外科医だった彼は、心臓に里香と同じ欠陥を持つ妻を救えなかったことへの自責の念から逃れられずにいた。そのために、妻の手術を最後に内科医に転身し、彼の腕を頼ってきた患者にも手術を行おうとはしなかった。
 裕一はある日、里香の母と病院の許しを得て、友人のみゆきらと共に里香を自分の学校の文化祭へと連れて行く。飛び入りで演劇の主役まで務めたその日は里香にとって今までない楽しく幸せな時間を過ごしたが、演劇終了直後に極度の緊張から解放された里香は舞台裏で倒れてしまう。
 やがて裕一が退院する日が訪れ、ある固い決意を胸にした裕一は里香に見送られて病院を後にした。そして里香もまた、少しでも裕一と一緒に生きて行こうと手術を受ける決心を固めていたのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    冒頭でバイクに乗る友人2人を裕一が自転車で追うシーンから始まったこの作品、てっきり舞台は京都(多分、寺町通り辺りかと)だと思った。ところが、方言を聞いているとどうしても三重県出身の友人にソックリで(例えば、「できない」は京都では「できへん」だが、友人は「できやん」と言っていた)、帰宅して確認したらやはり三重県の伊勢市が舞台となっていた。
 裕一と里香を演じる池松壮亮と忽那汐里チャンがとにかく素晴らしい。『守護天使』ではこの上なく清楚で可愛いかった汐里チャンが良かったのは言うまでもないが、池松壮亮も今風のイケメンじゃないのに好感が持てる。限りある生を生きる里香を励まし元気づける裕一に同化していた私は、里香が裕一の病室へ忍び込んだシーンでは思わず涙するのをこらえることができなかった。
 病院で知り合った裕一と里香に、その病院に勤務する医師の夏目が一体どう絡むのかがわからないままストーリーは展開していくのだが、そのまま夏目の存在など忘れ去ってしまうほど若い2人のラブストーリーには引き込まれる。例によって自分に都合のいい展開を期待していた私は、敏腕脳外科医の夏目が思い直し、里香の手術を執刀して奇跡的に彼女が完治するなどという結末を想像していたのだが、ストーリーは私の予想もしない意外な方向へと展開していく。ネタバレになるかもしれないが、この作品では奇跡など起こらない。ということは、結局里香は・・・・・なのだが、重要なのはそれがいつ訪れるかであり、それだけは絶対にこの場では明かせない。なぜなら、この作品には『シックス・センス』のように見る物をアッと言わせるような仕掛けがされていて、それは時間を錯覚させることよるものだからだ。それがわかると、意味不明だった夏目の存在意義も明白になるわけで、同時に池松壮亮と大泉洋という2人のキャスティングが実に絶妙の配役であったことに気づくことになるだろう。
 最後に、余談になるが今年の9月4日公開の『BECK』でも忽那汐里チャンがヒロイン役で出演している。主演が水嶋ヒロというのはちょっと気にくわないのだが、今から公開が楽しみだ。