評     価  

 
       
File No. 1194  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年04月17日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ティム・バートン  
       
上 映 時 間   109分  
       
公開時コピー   世界はもう、
マトモではいられない・・・。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジョニー・デップ [as マッドハッター]
ミア・ワシコウスカ [as アリス]
ヘレナ・ボナム=カーター [as 赤の女王]
アン・ハサウェイ [as 白の女王]
クリスピン・グローヴァー [as ハートのジャック]
マット・ルーカス [as トウィードルダム/オウィードルディー]
 
声 の 出 演   アラン・リックマン [as 芋虫のアブソレム]
マイケル・シーン [as 白うさぎ]
スティーヴン・フライ [as チェシャ猫]
ティモシー・スポール [as ベイヤード]
ポール・ホワイトハウス [as 三月うさぎ]
バーバラ・ウィンザー [as ヤマネ]
クリストファー・リー [as ジャバウォッキー]
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あ ら す じ    6歳の時に迷い込んだ不思議な世界“ワンダーランド(アンダーランド)”での体験をすっかり忘れて13年が過ぎ、19歳になったアリス。好きでもない相手から衆人環視の前で突然プロポーズされてしまい困り果てたアリスの目に映ったのは、1匹のチョッキを着た白うさぎだった。プロポーズに対して時間が欲しいと答えるや否や、白うさぎを追って走り出したアリスは、うさぎが逃げ込んだ穴に落ちてしまう。
 こうして再びアンダーランドへと迷い込んだアリスの出現は、住人たちにとっては待ち望んだ出来事だった。今やアンダーランドは無慈悲な独裁者・赤の女王の圧政下にあり、アリスはこの状況からアンダーランドを救う救世主だと予言の書に記されていたためだった。そして、アリスは誰よりも彼女の訪れを待ち望んでいたマッドハッターと出会う。美しく慈悲深い白の女王のもと帽子職人だった彼もまた赤の女王の圧政に苦しむ一人で、かつて一緒にお茶を飲んだアリスが戻ってくると信じて、13年の間欠かさず三日月うだぎと共にお茶会を開いていたのだった。
 人々の期待を一身に受けたアリスだったが、6歳の時の記憶がない彼女には、今目の前で起きていることすら夢の中の出来事だと思い込もうとしていた。けれども、アリスが戻ったとの知らせを聞きつけた赤の女王が差し向けた追っ手からアリスを逃がすために、ハッターが赤の女王の兵士たちに捕らえられてしまう。アリスはハッターを助け出すために、赤の女王の城へと潜り込むのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『スリーピー・ホロウ』以来、私が最も気に入っているティム・バートン×ジョニー・デップのゴールデンコンビによる、不思議の国のアリスのその後を描いた冒険ファンタジー。そういえば、このコンビの前作『スウィーニー・トッド』にも赤の女王ヘレナ・ボナム=カーターが出演していたから、2作連続のコンビではなくトリオということになる。
 この作品も3D技術が遺憾なく発揮されているワケで、こうして観てみると『アバター』といいこの作品といい、幻想的な世界の臨場感を描くには3Dはうってつけの手法だと言えることに気がついた。だがその反面、昨年以来3D作品が連発されている感があり、その映像に慣れてしまったためか、最初ほどの驚きを感じなくなっている自分が悲しくもある。もはや3Dだけでは斬新な映像とは言えず、言い換えれば3D映像が当たり前という時代になってきているのだろう。
 そうは言っても2D映画には2Dなりの良さがあるわけで、猫も杓子も3Dとなるとそれはそれで困りものだ。そもそも、長時間にわたってあの3Dメガネをかけるのは正直言ってツライ(笑)。余談だが、最近“オヤジ”キャラを売りにしているスティーヴン・セガールの最新作『沈黙の鉄拳』の「オヤジだって3D!?」というコピーを見て、セガール作品まで3Dにしてどうする?世も末だなぁ・・・・・などと思ったものだ。ところが、よくよくチラシを見てみると「映像は3Dではなく、2Dです。」という但し書きがあって、何のことはない、3Dとは実は“Dandy!Dynamite!!Dangerous!!!”という3つのDのことだったというオチがつくあたり、いかにもセガール作品らしいと思ったものだが・・・・・この作品とは何の関係もないことで失礼!
 3D以外でも最近のSFX技術の進歩の速さには目を見張るものがあって、一体どうやって撮影しているかを考える暇もなく次々と新しい趣向を凝らした作品が登場してくる気がする。この作品で特筆すべきなのは「大きさ」のマジックで、作品を観る前から気になっていたのが赤の女王ヘレナ・ボナム=カーターの異様にデカい頭だった(もともと彼女は体が細い割には顔の骨格はエラが張り気味で、そのため顔が大きく見えてしまうのだが)。そして、作品中ではアリスの体の大きさが大きくなったり小さくなったりするのも見物で、小さなアリスをハッターが片手にぶら下げるシーンなど、一昔前だったら人形を使っていたところだが、それが今ではちゃんと本物のアリスをぶら下げた映像になっているのにはただただ感嘆するしかない。
 それにしても、ジョニー・デップといいヘレナ・ボナム=カーターといい、ティム・バートン作品では奇妙な役柄を異様なハイテンションでさも楽しそうに演じていて、その弾けぶりは見事というしかない。私は個人的には二枚目のキャラを演じるジョニーももちろん悪くはないのだが、どちらかと言えばこの作品のマッドハッターや、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのジャック・スパロウのようなキャラを演じている彼の方が、その演技力の凄さがより伝わってくるから好きだね。
 白の女王を演じたアン・ハサウェイだが・・・・・いくら白の女王といってもあそこまで顔を白塗りにしてしまうと、ただでさえ顔のパーツが大きいのに、目と口だけが異様なほどに強調されてしまっているのは困ったものだ。輪郭がデカイ赤の女王とハーツがデカイ白の女王・・・・・そんな対照を狙ったワケではないだろうが、いずれも極めて漫画的なキャラクターだった。そういえば白の女王の仕草は、明らかにディズニーのアニメに登場するプリンセスたちの仕草を意識して模しているとしか思えないオーバーアクションだった。