評     価  

 
       
File No. 1203  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年04月10日  
       
製  作  国   イタリア / スペイン  
       
監      督   カルロス・サウラ  
       
上 映 時 間   127分  
       
公開時コピー   ダ・ポンテ(天才劇作家)×モーツァルト(不世出の音楽家)、ここに
至高のオペラ《ドン・ジョヴァンニ》誕生の秘密が解き明かされる!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ロレンツォ・バルドゥッチ [as ロレンツォ・ダ・ポンテ]
リノ・グアンチャーレ [as ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト]
トビアス・モレッティ [as ジャコモ・カサノヴァ]
エミリア・ヴェルジネッリ [as アンネッタ]
エンニオ・ファンタスティキーニ [as アントニオ・サリエリ]
ケテワン・ケモクリーゼ [as アドリアーナ・フェラレーゼ]
 
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あ ら す じ    ユダヤ人の家系に生まれたロレンツォ・ダ・ポンテは、神に仕える聖職にありながら放蕩に耽る生活を送っていた。ある日彼は賭博場で知り合った男から、余命わずかな彼に代わって娘のアンネッタの行く末を任される。ダ・ポンテはアンネッタの美しさに一目惚れしてしまうが、その責任の重さに耐えかねて逃げ出してしまう。そして1779年、30歳の時に聖職にあるまじき背徳行為を咎められ15年のヴァネツィアからの追放を言い渡されたダ・ポンテは、芸術の都ウィーンに移り住んだ。
 ダ・ポンテはかねてからの友人・ジャコモ・カサノヴァの紹介で、宮廷作曲家のアントニオ・サリエリに会う。そして、サリエリの口利きで台本作家としての能力を認められたダ・ポンテは、以来様々な音楽家に膨大な数の台本を提供して成功を収めるのだった。
 新進作曲家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトもダ・ポンテから台本の提供を受けたひとりであり、ダ・ポンテはモーツァルトに稀代の色男ドン・ジョヴァンニの制作を持ちかけた。そして彼は、数々の女性を虜にした自らの体験を反映させた台本を書き上げていき、その物語に魅せられたモーツァルトは病の身を削りながらも作曲にのめり込んでいくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    本題からはずれるかもしれないが、冒頭でいきなり流れたのがモーツァルトの曲ではなく、ヴィヴァルディの『四季』の第4番「冬」の第1楽章だったのは、彼もまたヴェネツィア出身のカトリック司祭でもある作曲家だからなのだろうか。その後も何度か『四季』がバックに流れるが、お世辞にも名演奏とは呼べない演奏に耳を覆いたくなった。余談だが、ヴィヴァルディの『四季』はやっぱりイ・ムジチとフェリックス・アーヨの演奏に限ると思う。そのうえ、雪の降る冬の場面のバックで第2番「夏」が使われたりと、曲の使い方が意図不明だった。
 モーツァルトのことはもちろん知っていたし、『ドン・ジョヴァンニ』も詳しい内容はともかく大まかなあらましは知っていたつもりだが、その台本を手がけたロレンツォ・ダ・ポンテなる人物だということは、全く何の知識もなかった。そして、そのダ・ポンテという男、天才にありがちな破天荒な性格がどうやら女性に向いていたようで、かなりの放蕩者らしいのだが、作品中ではむしろアンネッタに対するひたむきな愛情だけが伝わってきて、放蕩者というイメージとはちょっと違うようにも感じる。多分、他の女性に対しても常にひたむきな愛を注ぐ結果、数々の女性と関係を結ぶことになったのだろう。それにしても、その放蕩者ダ・ポンテの友人があのカサノヴァとは、まさに“類は友を呼ぶ”という言葉がピッタリだ(笑)。
 普通はこういう場合はあまりにも有名な天才音楽家・モーツァルトを主人公にするものだろうが、この作品の場合は敢えてモーツァルトよりも知名度に劣るダ・ポンテを主人公にしている点が斬新だ。もっとも、この作品が制作されたイタリアはダ・ポンテの祖国だから、彼のことを知る人がさほど多いとは思えない日本とは比較にならないほど、本国イタリアではダ・ポンテは有名な人物なのだろうと思う。たとえば、坂本龍馬をイタリア人はほとんど知らないのと同じようにね。
 そのダ・ポンテに扮するロレンツォ・バルドゥッチはいかにも多くの女性をその毒牙(笑)にかけてきた人物にふさわしい容貌なのだが、対するモーツァルト役のリノ・グアンチャーレは、これが長編映画デビュー作となるらしいが、言っちゃ悪いけどちょっと抜けているような顔立ちはとてもじゃないけど天才音楽家には見えないのが残念。まぁ、見た目がコミカルなモーツァルトも新鮮なんだけどね。そして、ダ・ポンテを夢中にさせたアンネッタを演じたエミリア・ヴェルジネッリの美しさには目を奪われた。