評     価  

 
       
File No. 1206  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年05月08日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   シェーン・アッカー  
       
上 映 時 間   80分  
       
公開時コピー   目覚めると、世界は終わっていた。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト
(声の出演)
  #1 [as クリストファー・プラマー]
#2 [as マーティン・ランドー]
#5 [as ジョン・C・ライリー]
#6 [as クリスピン・グローヴァー]
#7 [as ジェニファー・コネリー]
#8 [as フレッド・ターターショー]
#9 [as イライジャ・ウッド]
 
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あ ら す じ    とある廃墟と化した古びた研究室で、麻布を縫い合わせて作られた小さな人形が目を覚ました。お腹には大きなジッパーがあり、背中に大きく“9”と書かれた彼は、自分が何物なのか、そしてこの場所がどこなのかも何一つわからなかった。彼は窓から外へと出てみると、そこには人っ子ひとりいない瓦礫の山が延々と続いていた。
 これからどこへ行き何をすればいいのかがわからずに途方に暮れる“9”の前に現れたのは、背中に“2”と書かれた、やはり彼と同じ麻布で作られた人形っだった。“2”は“9”に自分は仲間だと話しかけてくるが、“9”は話をすることができなかった。すると“2”は、辺りの瓦礫の山からあさった部品を“9”のジッパーを開けて取り付けて発生装置を修理してくれた。話すことができるようになったばかりか、ひとりぼっちだと思っていた自分に仲間がいたことに喜ぶ“9”だったが、その喜びもつかの間に“2”は現れた機械獣(=ビースト)から“9”をかばって連れ去られてしまう。
 気を失っていた“9”は、新たに現れた仲間に助けられ、他の仲間と隠れて暮らすコミュニティへと連れて行かれる。そこにいたのは、傲慢なリーダーの“1”、面倒見はいいが小心者のエンジニアで“9”を助けてくれた“5”、風変わりな芸術家の“6”、そして腕力自慢で仲間の用心棒の“8”の4体だった。早速“9”は“2”を助けに行こうと持ちかけるが、慎重で消極的な“1”は“9”の申し出を聞き入れようとしなかった。どうしても気持ちを抑えられない“9”は、“5”を誘ってビーストたちの本拠へと“2”を助けに向かうのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    公開2日目の新宿ピカデリーで、開場前に「本編上映前にショートフィルムを上映しますのでご了承ください」というアナウンスが。この作品の元となった11分のショートフィルムを併せて上映してくれるとは、「ご了承」なんてとんでもない、むしろ有り難くてお礼が言いたいくらいだった(笑)。そのショートフィルムは、人形の台詞は一切なくて、ビーストに次々と仲間が殺されていく中、“9”が最後にビーストを倒すという、本編のダイジェスト版(いや、それは逆で、ショートフィルムに肉付けしたのが本編だろう>自分)のような映像だった。
 この作品で特筆すべきなのは、ディズニー×PIXERやドリームワークスのアニメに慣れた目には全く異質に映る、あたかもヨーロッパの人形アニメーションを思わせるような映像だ。いかにもあり合わせの素材で作られたような人形たちのの造形が見事で、そんな彼らのちょっとした表情がやけに人間っぽくていい。シェーン・アッカー監督曰く「コンピュータが是面に出ないように心がけた」とのことで、その意味では彼の意図するところが充分に映像化されているといえる。作品は主人公の“9”が目を覚ます所から始まるが、何のために彼が作られたのかは全くの謎。外は瓦礫の山で人間の姿は全く見られず、なぜそんな状況なのかもこれまた謎。しかし、“9”が他の仲間と出会ってストーリーが進むにつれ、次第に全ては明らかになってくる。おかげで、その謎にグイグイと引き込まれて、あたかも“9”と一緒にこの摩訶不思議な世界を実体験しているかのような感覚を味わうことができた。
 尺が80分と短いとはいえ、どちらかと言えばわかり易い作品とは言い難く、またラストもカタルシスを得られるようなハッピーエンドではない。つまりは、万人受けする作品ではないから、ティム・バートンらのバックアップがなければ興行的には難しかったことだろう。そして、この手のダークな世界観のファンタジーは、まさにティム・バートン好むところで、私にとっても非常に魅力的な作品だった。