評 価
File No.
1209
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年05月15日
製 作 国
日 本
監 督
猪股 隆一
上 映 時 間
121分
公開時コピー
女子高生が書道で町おこし!?
日本中が涙した<実話>完全映画化!
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
成海 璃子
[as 早川里子]
山下 リオ
[as 岡崎美央]
桜庭 ななみ
[as 篠森香奈]
高畑 充希
[as 好永清美]
小島 藤子
[as 山本小春]
金子 ノブアキ
[as 池澤]
市川 知宏
[as 高田智也]
森崎 ウィン
[as 市ノ瀬誠]
森岡 龍
[as 中野卓也]
坂口 涼太郎
[as 村上悟]
宮崎 美子
[as 美央の母]
朝加 真由美
[as 里子の母]
おかやま はじめ
[as 清美の父]
山田 明郷
[as 里子の父]
森本 レオ
[as 駅員]
織本 順吉
[as 智也の祖父]
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あ ら す じ
全国一の神の生産量を誇る四国中央市。四国中央高校の書道部部長・
早川里子
は、厳格な
父
の元、いくつかの書道展で受賞するほどの実力の持ち主。そんな里子にある日、親友で書道部副部長の
篠森香奈
が、「3年間頑張ってきた証に団体戦で賞を取りたい」と持ちかけてきた。けれども里子は、書道はそもそもひとりでやるものだし、今の書道部では団体戦での受賞など絶対に無理だと香奈にとりつく島も与えなかった。
里子に勝るとも劣らない才能の持ち主だった
岡崎美央
は部活に顔を出さなくなって久しく、
好永清美
はマイペースで好き勝手に書いており、
山本小春
はいつもヘッドフォンで音楽を聴いていて一言もしゃべらない。そんな状況での団体戦受賞などできっこないのは、誰が見ても明らかだった。そんな書道部にある日、臨時教師として赴任した
池澤
が顧問として就任するが、里子と香奈は部室にいた池澤を泥棒と間違えて墨を浴びせかけてしまったのだ。
そのせいか池澤には顧問として里子たちを教える意欲など全くないようで、いつもゲーム機に熱中する有様だった。ところが、そんな池澤が里子の書を見て「つまらない」と切り捨てた上に、グランドで「来たれ書道部」と書をしたためるパフォーマンスを見せたことで、里子の神経を逆なでしてしまった。ところが、そんな池澤のパフォーマンスにあろうことか清美が一目惚れしてしまい、彼女の
父
が経営する文具店の閉店セールの呼び込みのために書道パフォーマンスをやりたいと言い出したのだった。
清美のために渋々ながら里子は書道パフォーマンスに取り組んだものの、残念ながらパフォーマンスは失敗に終わってしまう。それでも清美の父はその書を宝物だと言って喜んでくれた。そして、町を出て行く清美を書道部員たちと共に見送りに行った里子は、清美から1枚のMDを受け取った。それは小春がいつもヘッドフォンで聴いていた曲で、小春にとって書道が唯一自分と外の世界をつないでいたことを知らされる。その曲を聴いた里子は、あることを思いつく。書道パフォーマンスの甲子園を自分たちの力で開催できれば、町にも人が集まって活気づき清美の父親のような人を守れるのではないか?と・・・・・。
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たぴおか的コメント
DailyMemorandumにも書いた通り、新宿バルト9の初日舞台挨拶の先行抽選に当選したが、なぜか今ひとつ喜べなかった作品。理由を考えてみるに、定員400名を超える大スクリーンでの舞台挨拶だったこと、そして、先日の成海璃子主演『武士道シックスティーン』と似通った作品であるように思えたことの2つに思い当たった。そもそも、私が今まで舞台挨拶に臨んだ劇場で収容人員が多いといえば、テアトル新宿(218席)かシネセゾン渋谷(219席)、あるいはシネマライズ(303席)がせいぜいで、比較的登壇者を近くで観ることができたという、その「距離」というか親近感が薄れてしまう気がしたのだ。
舞台挨拶についてはDailyMemorandumに譲るとして、作品を実際に観てみると、観るまでに感じていた『武士道シックスティーンと』似通った・・・・・などという考えはどこかへ吹き飛んでしまった。『武士道』の場合はかなり甘い満点の評価だったが、この作品は文句なしの満点だと胸を張って言える(もちろん、あくまで評論家的な冷静な評価ではなく、独断と偏見による評価ではあるが)。そしてそれは、主演の成海璃子の演技が突出して素晴らしかったからではなく、登壇した書道ガールズ5名がそれぞれの役割を十二分に果たした、いわばチームワークの成果だ。
5人の書道ガールズひとりひとりに書道パフォーマンス甲子園に臨む背景となるドラマががあり、それが単独でも結構感動的に作られている。厳格な書道家を父に持つ里子(この辺りの設定は、『武士道』と全く同じだ)と父との確執、母の病のために好きな書道までをも諦めようとした美央の葛藤、かつていじめに遭って心を閉ざしてしまった小春のトラウマ、それらが最大の見せ場である書道パフォーマンス甲子園に向けて一つに収斂され、クライマックスを盛り上げる脚本は秀逸。大切なのは勝ち負けじゃなく、勝つためにいかに力を尽くしたかということ。そして、力を尽くす前から勝てないと諦めていないか?そんなストレートなテーマが訴えかけてくる感動作だ。
カンヌ映画祭に出品することとなったこの作品、初日の翌日にはカンヌへ飛ぶ成海璃子チャンは、現地でも書道パフォーマンスをみせるとのこと。大事なのは受賞という結果などではなく、この作品のためにどれだけ力を尽くしたかであって、その意味では堂々と胸を張ってパフォーマンスを披露して欲しいものだ。