評     価  

 
       
File No. 1217  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年05月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   阪本 順治  
       
上 映 時 間   132分  
       
公開時コピー   たった一度の市の愛。
斬っても切れない“哀”がある。
これが最後の座頭市。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   香取 慎吾 [as 市]
石原 さとみ [as タネ]
反町 隆史 [as 柳司]
工藤 夕貴 [as トヨ]
寺島 進 [as 達治]
高岡 蒼甫 [as 虎治]
ARATA [as 十蔵]
ZEEBRA [as 弥助]
加藤 清史郎 [as 五郎]
宇梶 剛士 [as 梶原]
柴 俊夫 [as 北川]
豊原 功輔 [as 千]
岩城 滉一 [as 島地]
中村 勘三郎 [as 政吉]
原田 芳雄 [as 玄吉]
倍賞 千恵子 [as ミツ]
仲代 達矢 [as 天道]
 
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あ ら す じ    妻のタネに「これが最後だ」と約束して、逆手居合いの達人・は次々と襲いかかってくる敵を斬り倒していく。敵を全滅させて死闘に終止符が打たれたと思った時、ひとりの男が市を倒そうと襲いかかってくる。ところが、その刃に貫かれたのは市ではなくタネだった。最愛の妻を失った市は絶望に沈むが、タネとの約束を守りもう人を斬るまいと、穏やかな暮らしを求めて故郷の村へと向かった。
 道中で倒れていた市を背負って連れ帰ったのは、市の友人・柳司だった。柳司は母親のミツと幼い息子五郎の3人で百姓をして生計を立てていた。市は柳司の厚意で彼の家に居候をしながら、百姓として生きていこうと決心する。しかし、平穏に見えたその村は、極悪非道な天道とその一家に牛耳られており、かつては村の有力者だった島地やその右腕の達治らも天道の言うがままという有様だった。
 そんな中、市は天道の息子虎治がタネの命を奪った張本人であることを知る。そして、天道一家の村人に対する卑劣な仕打ちを見るに見かねた市は、自ら封じた仕込み杖を再び手にすることになるが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    「座頭市と言えば勝新」というほどイメージが定着したキャラクターで、これを香取慎吾が演じることには正直不安があったものの、観てみると意外なほど違和感を感じなかった。多分、勝新の座頭市に対して思い入れというものが全くなかったことに加えて、香取慎吾の体格の良さと決してイケメンとは言えないが個性的なそのルックスのお陰だろうと思う。ただ、今まで30作以上もの映画が制作されてきた座頭市の最期があれではねぇ・・・・・まるで、『太陽にほえろ』のマカロニや殿下の最期に相通じるような物寂しさが残念でならない。まぁ、「そして市とタネはその後末永く幸せに暮らしました」なんていうラストでは様にならないのだが(笑)。
 今まで座頭市を一度も観ていない私がこの『THE LAST』だけを劇場で観た理由の一つは、あの『闇の子供たち』で衝撃を受けた阪本順治監督がメガホンを執ったことにある。とは言え、今まで全く接しなかった座頭市にこの作品で初めて接するのは自分でもいかがなものかと思う。そんなわけで、市と石原さとみ扮するタネの馴れ初めが過去の作品で描かれていたのか知る由もなく、従っていきなり市とタネが夫婦という設定にはちょっと面食らった。そして、クレジットでは二番目に名を連ねている石原さとみが、映画が始まってまもなく殺されてしまうのにはさらに面食らった、というよりも、その時点で作品に対するテンションが思い切り下がってしまった(笑)。そして、石原さとみを早々とお役ご免にした高岡蒼甫扮する虎治の、盲目の市に不意打ちをかけるという卑劣さに腹立ちを覚えたものだ。
 その虎治の姑息なやり方は冒頭のシーンにとどまらず、市を背後から鉄砲で撃ったり、重傷を負った市を背後から刺したりと、どうしてこうも卑劣な手段に訴えることしかできないのかとあきれ果ててしまう。極悪人ながら圧倒的な貫禄を誇る仲代達矢扮する天道が父親だとは、「鷹が鳶を生んだ」(「鳶が鷹を生む」が本来正しい使い方なのでお間違いなく)としか言いようがない。妻である宮アあおいには主役クラスの役柄しか回ってこないのに対して、この作品でも反町の役柄でもなく、かといって豊原功輔の役柄でもなく、虎治という役柄しか回ってこない彼の俳優としての限界が目に見えるようだ。