評     価  

 
       
File No. 1218  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年05月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   錦織 良成  
       
上 映 時 間   130分  
       
公開時コピー   大人が夢見ても、いいんですね。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   中井 貴一 [as 筒井肇]
高島 礼子 [as 筒井由紀子]
本仮屋 ユイカ [as 筒井倖]
三浦 貴大 [as 宮田大吾]
奈良岡 朋子 [as 筒井絹代]
橋爪 功 [as 一畑電車社長 大沢悟郎]
佐野 史郎 [as 一畑電車営業部長 石川伸生]
宮崎 美子 [as 絹代の介護士 森山亜紀子]
遠藤 憲一 [as 京陽電器・工場長 川平吉樹]
中本 賢 [as 肇の同級生 西田了]
甲本 雅裕 [as 一畑電車指導係 福島昇]
渡辺 哲 [as 一畑電車車輌課長 高橋晴男]
緒形 幹太 [as 一畑電車運転士 藪内正行]
石井 正則 [as 一畑電車司令室 田窪俊和]
笑福亭 松之助 [as 絹代の同級生 長岡豊造]
 
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あ ら す じ    一流企業に勤務する筒井肇は、専務からの信頼も厚く近く取締役に就任する内示も受けていたが、その反面家族を顧みないために妻・由紀子や大学4年で就職を控えた一人娘・の心は彼から離れていく一方だった。そんなある日、島根の実家でひとり暮らしをする肇の母・絹代が倒れたとの連絡が入った。家族そろって駆けつけたところ、幸い絹代の病状は大事に至らなかったものの、その後念のために受けた精密検査で、悪性の腫瘍が発見されるのだった。
 そんな状況に追い打ちをかけるように、肇の元へ同期の川平吉樹が事故死したとの連絡が入る。川平は会社が閉鎖を決定した工場の工場長で、肇から直接の依頼を受けて驚くべき短期間で閉鎖を遂行した立役者だったのだ。ただ物を造りたいという思いを貫いてきた川平の死に肇は我が身を振り返って、今まで自分の夢を実現しようともせずに、ただひたすら走り続けてきた自分に気づいた。自分はこんな人生を送りたかったのだろうか、と。そして、肇はついに子供の頃から夢見ていた一畑電車(通称“バタデン”)の運転士になることを決意した・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    いくら『ALWAYS 三丁目の夕日』のロボットが制作だといっても、『RAILWAYS』なんてアホなタイトルはやめて欲しいものだ。中身が『ALWAYS』のパロディならともかく、全く関係のないしかも真面目な内容の作品なのだから。おそらく『ALWAYS』の力を借りて宣伝しようという意図なのだろうが、この作品の場合はそれがかえって逆効果になりかねない。そして、この作品が馬鹿げたコメディやパロディではなく正当派の感動作品ならばなおのこと、姑息な宣伝手段に頼ることなく正々堂々と勝負するべきだろう。
 舞台となる島根で、バタデンが走る沿線の景色がのどかで美しいのが印象的だ。私は姫路よりも西に行ったことがないため、島根県は未知の土地(大袈裟?)だが、ああいう場所なら東京を離れて移り住んでもいいと思えるような光景が繰り広げられている。
 主役の中井貴一はさすがで、もはや「演技を感じさせない演技」の域にまで達しているようにすら感じられる。余談だが、妻が高島礼子で娘が本仮屋ユイカだなんて、あれほどの美人が家族だったらどれだけ幸せだろう?と思う男性は私だけではないと思う(笑)。それはともかく、49歳で一流企業での取締役就任も内定したという時に、その会社を辞めて地方の私鉄の運転士になるとは、驚くべき一大決心をした人がいたものだ。この作品を観る限り、肇が会社を辞めて子供の頃からの夢であったとはいえ、電車の運転士なることに対して、ほとんど迷いというものが感じられない。おそらくそこには、すでに金銭的に不自由しない生活を確立できていたことが大前提としてあるのだろう。もしも彼が日々の生活に窮していたならば、敢えて一流企業から地方の鉄道会社へなど身を落とすことは考えもしなかったはず。そうい意味では、素直に肇の決断に感動できない自分がいた。