評     価  

 
       
File No. 1219  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年05月29日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   井筒 和幸  
       
上 映 時 間   134分  
       
公開時コピー   彼らの暴走は止まらない!
青春★バイオレンス★エンターテインメント!!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   後藤 淳平 [as 石川勇気]
福徳 秀介 [as 鈴木ユウキ]
ちすん [as あさみ]
米原 幸佑 [as 勉]
桜木 涼介 [as 剛志]
林 剛史 [as 拓也]
阿部 亮平 [as 鬼丸]
石井 あみ [as 美由紀]
永田 彬 [as 星野]
結城 しのぶ [as 勇気の母]
大森 博史 [as 拓也の父]
太田 美恵 [as 洋子]
水澤 紳吾 [as 水沢]
千葉 ペイトン [as 浜島]
黒柳 康平 [as 秀夫]
ジェントル [as 鬼丸(弟)]
落合 扶樹 [as ヒロト]
松永 隼 [as ノボル]
巨勢 竜也 [as 健太]
飯島 洋一 [as 木村]
筒井 真理子
木下 ほうか
升 毅
光石 研
 
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あ ら す じ    気弱な専門学校生の鈴木ユウキは、バイトはクビになるしお笑いのオーディションを受けても失敗するしと、何をやってもうまくいかず毎日を無為に過ごしていた。ある日、かつての相方だった先輩の剛志と会い、彼から新しいバイトを紹介された。そのバイトとは、ヒーロー物「電流戦士ギガチェンジャー」のショーでの悪役だった。
 翌日、ユウキは早速「ギガチェンジャーショー」が行われている会場を訪れ、剛志が扮する怪人バグゲルグの手下役として次回からショーに参加することになった。ところが、ギガチェンジャーのひとり、ギガレッド役のノボルが剛志の彼女・美由紀を寝取ったことがバレてしまい、ショーの最中にもかかわらず剛志とノボルは殴り合いの大喧嘩になってしまう。それでも腹の虫が治まらない剛志は、知り合いのサーフショップ店員・鬼丸に報復を依頼した。
 鬼丸に脅されて法外な金を要求されたノボルは、同じギガチェンジャーを演じるツトムと共に、ツトムの兄・拓也に相談を持ちかける。すると拓也は、鬼丸や剛志を返り討ちにすべく、自衛隊時代の友人で地元でもその凶暴性を恐れられている悪友の勇気に助力を求めるのだった。歳上の恋人あさみとの平穏な生活を思い描いていた勇気は、拓也からの頼みを快諾し、罠とも知らずに金を受け取りに来た鬼丸や剛志に対して、壮絶なまでのリンチで報復するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    別に井筒監督作品を避けているわけではないが、なぜか彼の監督作には縁がなく、この作品はなんと『晴れ、ときどき殺人』以来26年ぶりにして2作目の作品となる。井筒監督の言によると、この作品はあくまで暴力を否定する立場に立って制作されたらしいが、私に言わせれば暴力、バイオレンスを礼賛しているとしか思えなかった。確かに、暴力による決着は何の解決にもならないどころか、さらなぶ暴力の連鎖を引き起こすだけだというのは充分伝わってくる。そしてそれが、一対一の素手での暴力であれば問題ないのだが、この作品の場合は集団で一人を、しかも手に獲物を持って殴る・蹴るの暴行シーンとなると、さすがに思わず目を覆いたくなってしまう。
 お笑い芸人にはまったくうとい私のこと、ジャルジャルもこの作品で初めて知ったが、この2人の演技力は半端じゃない。鈴木ユウキ役の福徳秀介はもちろんだが、石川勇気を演じた後藤淳平は下手な俳優をも凌ぐシリアスな演技で、とてもお笑いが本職だとは思えなかった。そして、『かぞくのひけつ』で初めてお目にかかったちすんはやっぱり美人で、そのあまりに流暢な日本語はとても韓国人だとは思えない。彼女の存在がこの殺伐とした作品に対する唯一の救いになってくれている。それだけに、そのちすん扮するあさみが卒倒してしまうようなラストには、何のカタルシスも感じられず、ただただ重苦しい気分にさせられてしまった。ユウキが両親を手伝ってタイ焼きを売るシーンも、取って付けたようで虚しく感じるだけだった。