評     価  

 
       
File No. 1223  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年06月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   成島 出  
       
上 映 時 間   126分  
       
公開時コピー       

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   堤 真一 [as 当麻鉄彦]
夏川 結衣 [as 中村浪子]
吉沢 悠 [as 青木隆三]
中越 典子 [as 大川翔子]
松重 豊 [as 実川剛]
成宮 寛貴 [as 中村弘平]
矢島 健一 [as 村上三郎]
平田 満 [as 島田光治]
余 貴美子 [as 武井静]
生瀬 勝久 [as 野本六男]
柄本 明 [as 大川松男]
 
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あ ら す じ    現役の看護師だった母・中村浪子の葬儀を終えた新米医師の中村弘平は、母の遺品を整理していて一冊の日記帳を見つけた。生前看護師を転職だと言っていた浪子も、一人の外科医が着任するまでは看護師という仕事が嫌で仕方なく、そんな彼女の泣き言が日記には綴られていた。
 20年前に浪子が勤務していた、とある地方都市のさざなみ市民病院は、多くの医師の派遣派遣元である大学病院に依存しきっており、まともな手術すらできないていたらくだった。ある日そんなさざなみ市民病院に、ピッツバーグで高度な医療技術を身につけた外科医・当麻鉄彦が招聘されてくる。着任早々に手がけたオペで見せた彼の性格で鮮やかなメスさばき、ただ患者を助けることだけに情熱を注ぐその姿勢に感銘を受けた浪子たちスタッフは、仕事に対して失っていた熱意を次第に取り戻していく。
 当麻を病院に招聘した市長の大川松男は、さらに病院の充実に尽力しようとした矢先に、吐血して倒れた。原因は肝硬変で、至急肝移植をする必要があったが、大川の近親者の中には娘の大川翔子を筆頭に、適合する肝臓の持ち主がいなかった。ところがそんな折りに、小学校教師の武井静の息子でボランティア活動をしていた青年・誠がトラックにはねられて脳死状態で搬送されてきた。誠の臓器を提供したいという静の強い願いに動かされた当麻は、大川を救う唯一の手段である脳死肝移植を行うことを決意するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    正当派の医療ドラマだが、素直に受け入れるには抵抗がある内容で、その最たる理由はもちろん、当時は違法だった脳死肝移植の是非についてだ。作品は夏川結衣扮する中村浪子の葬儀からスタートして、彼女の息子である成宮寛貴扮する中村弘平が母親の日記を読むという形で過去へと遡る。舞台が現在ではなく過去だというのは、1997年に脳死による臓器移植を認める法律が施行されているために、脳死肝移植が認められていない時代にまで遡る必要があったのだろう。
 優秀な外科医である当麻鉄彦(堤真一)の目の前には、肝移植を必要としている患者がいる。しかし、その患者の身内には移植に適合するドナーが存在せず、奇しくも時を同じくして脳死患者が同じ病院に担ぎ込まれる。そして、目の前の患者を助けるには、脳死肝移植しかない。ここで医師としての倫理観が問われるのだ。人ひとりの命は何よりも重いというのは真理であって、その患者が助かる可能性がある限り医師はありとあらゆる手段を尽くすべきだとは思うが、その手段が合法の境界線を越えてしまう場合に、敢えて違法な手段を選択する医師に迷いや苦悩は内のだろうか?ただ目の前の患者を助けたいと思う医師は、誰でも当麻のような判断を下せるものなのだろうか?
 私は医師法には詳しくないが、万一違法な手術を行い有罪となった場合、医師免許が剥奪される可能性もあるのでは?そうなったとすれば、彼が優秀な医師であればあるほど、目の前のひとりよりも将来の大勢を救うという選択もあったはずだ。ひとりの患者を救うことと禁断の一線を越えることの間での葛藤が見られない当麻を見ていると、どうしても現実に彼のような医師がいるとは思えず、「これはフィクションなのだ」と強調されているように感じてしまったようだ。
 この作品での堤真一のいやに芝居がかった、無理に威厳を出そうとでもするかのような台詞回しもちょっと耳についた。普通にしゃべればいいと思うんだけどなぁ。夏川結衣と生瀬勝久はさすがで、てっきり30代半ばだと思っていた夏川結衣が実はすでに40代だったとはちょっとビックリだった。