評 価
File No.
1231
製作年 / 公開日
2009年 / 2010年06月12日
製 作 国
アメリカ
監 督
スコット・クーパー
上 映 時 間
111分
公開時コピー
傷ついた者にしか、歌えない愛がある
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ジェフ・ブリッジス
[as バッド・ブレイク]
マギー・ギレンホール
[as ジーン・ブラドック]
ロアート・デュヴァル
[as ウェイン]
ライアン・ビンガム
[as トニー]
コリン・ファレル
[as トミー・スウィート]
ポール・ハーマン
[as ジャック・グリーン]
トム・バウアー
[as ビル・ウィルソン]
ベス・グラント
[as ジョー・アン]
ウィリアム・マークェス
[as ドクター]
リック・ダイアル
[as ウェズリー・ベイムス]
ジャック・ネイション
[as バディ・クラドック]
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あ ら す じ
かつてはカントリー・シンガーとしてファンを熱狂させた
バッド・ブレイク
。57歳になる彼は新曲を書くこともできず、酒とタバコに溺れ、しがないドサ回りの歌手として過去の栄光を引きずって生きていた。皮肉にも彼の弟子だった
トミー・スウィート
が、今やトップシンガーとして人気の絶頂にあるのとはまさに対照的な今のバッドたった。
ある時ショーの依頼を受けてサンタフェへ訪れたバッドは、バーのピアニスト
ウェズリー・ベイムス
から頼まれて、彼の姪である駆け出しの地元紙記者・
ジーン・クラドック
の取材を受けることとなった。ジーンは4歳の息子
バディ
を女手ひとつで育てているシングルマザーで、バッドとは親子ほども歳が離れていたが、不思議と打ち解けて取材に応えるのだった。
次のショーの終了後に再びジーンと再会したバッドは、思いもかけずに彼女と一夜を共にする。そして、その日を境にバッドはジーンの家に押しかけるようになり、バディに対して意外にも子煩悩な一面を見せる。けれども、今まで男運に恵まれなかったジーンは、同じ失敗を繰り返すことを恐れるあまり、バッドとの関係を深めることをためらうのだった。
マネージャーの
ジャック・グリーン
から、バッドに思いがけない大きな仕事の依頼が舞い込んだ。その依頼がよりにもよってトミーの前座であることを知ったバッドは、悩んだ末に出演を引き受けることを決意した。フェニックスのコンサート会場で久し振りに再会したトミーは、バッドに対して感謝の気持ちを忘れておらず、バッドに新曲を書いてもらうことを熱望していた。そんなトミーの粋な配慮もあって、コンサートは大盛況に終わった。
フェニックスから帰る途中に、バッドはジーンの元を訪ねると電話で連絡した。ところが、疲労のあまりついつい居眠り運転をしてしまったバッドは、車を道から転落・横転させてしまい、大けがをして病院に運び込まれてしまった・・・・・。
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たぴおか的コメント
ご存じジェフ・ブリッジスがアカデミー主演男優賞を獲得した作品で、今年のアカデミー賞主要部門受賞作の最後となる作品だった。実は劇場で観ようかそれともDVDリリースまで待とうか迷っていたのだが、結局劇場で観ることとなった決め手は、14日の月曜日がTOHOシネマズの1,000円サービスデーだったこと、そして、共演のマギー・ギレンホールの存在だった。マギー・ギレンホールと言えば、つい最近公開された『プリンス・オブ・ペルシャ』や『マイ・ブラザー』のジェイク・ギレンホールの実姉だが、実は私は彼女のようなルックスの女性にはめっぽう弱いのだ。『バットマン ビギンズ』ではケイティ・ホームズが演じていた主人公ブルースの恋人レイチェル役が、次作の『ダークナイト』ではマギー・ギレンホールに代わっていた時には、心の中でマシ・オカのように「やったぁ!」と思ったものだ。マギーのあの切れ長の目で見つめられたら、彼女の言うことだったら何でも聞いてしまいそうな自分がコワイ(笑)。
ジェフ・ブリッジスといえば、『アイアンマン』の1作目に出演していたことにはまったく気づかなかったが、2006年公開の『ローズ・イン・タイドランド』で元ロック歌手という、今回と同じような設定で出演していたのはしっかり覚えている。いずれも強烈に男臭い役柄で、今のハリウッドにこういう役柄を演じさせれば彼の右に出る者はいないのではないだろうか。親子ほども歳が離れたジェフ・ブリッジス扮するバッドに、マギー扮するジーンが惹かれていくのはちょっと無理があるような気もするが、もしかしたらやっかみが入っているかもしれない(笑)。いずれにしても、2人の愛はいわば砂上の楼閣のように非常に不安定でかつ脆いものであることが感じられ、いつか破局が訪れるだろうことは想像が付いた。これ以降はネタバレになるので、読みたい方だけどうぞ。
バッドとジーンが決裂する原因は、やはり想像通りバッドの飲酒だった。バディの前ではくれぐれも酒を飲まないようにと何度もジーンはバッドに念を押したのだが、それを守ることができなかったバッドの弱さが、自らの身に降りかかってくることになるわけだ。けれども、ラストシーンで『500日のサマー』に続いてまたもや左手の薬指のリングを見せつけられるとは思わなかった。「彼、いい人なの」というジーンに対し、「君なら当然だ」と笑って返したバッドだが、その心中には後悔の思いが止めどもなく渦巻いていたに違いない。酒さえ断っていれば彼女の左手の薬指のリングを贈っていたのは自分だったのだから。そんな思いを胸の中に押さえ込んでジーンに悟られまいとするバッドの強がりに、男の美学を見た気がした・・・・・なんて、ちょっと大袈裟かな?