評     価  

 
       
File No. 1233  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年06月19日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   磯村 一路  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   私は、記憶を失った
一瞬でもいい、もう一度会いたい。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   北川 景子 [as 園田泉美]
大塚 寧々 [as 桐野真希子]
岡田 将生 [as 河野淳一]
史朗 [as 園田登]
永島 瑛子 [as 河野沙恵子]
深水 元基 [as 園田ツカサ]
千崎 若菜 [as 桐野涼子]
清水 美沙 [as 堀川早紀]
田口 トモロヲ [as 精神科医・小木啓介]
徳井 優 [as 下平巡査]
森下 能幸 [as 担当医師]
ジョニー吉長 [as 入院患者]
菅井 きん [as 老婦人]
 
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あ ら す じ    叔母の堀川早紀が経営するフラワーショップで働く園田泉美はある日、配達先でふとしたきっかけから美大生の河野淳一と知り合う。互いに惹かれ合って恋人同士となった2人だったが、その幸せは長くは続かなかった。ある春の日、淳一のバイクで桜を見に行った帰り道、トラックとの事故で幸軽傷で済んだ泉美だったが、淳一と共に事故当時に一体何が起こったかの記憶をも失ってしまったのだった。
 事故のショックから以前のような笑顔を失ってしまった泉美に、父・や兄・ツカサ、それに叔母の早紀はただ心配して見守るしかなかった。メンタルクリニックの医師・小木啓介は泉美に「無理に思い出す必要はない」と諭すが、淳一との最後の記憶をどうしても取り戻したい泉美は焦る一方だった。そんな時泉美は、クリニックで出会った桐野真希子が弁護士であることを知る。彼女の事務所へと訪ねた泉美は、自分が記憶を失った空白の時間に何があったか、調べて欲しいと頼み込んだ。
 自分がクリニックに通っていることを依頼人に知られたくないことに加えて、民事事件が専門だったために、最初は泉美の依頼を拒絶した真希子。しかし、泉美に自らの妹・涼子の面影を見た真希子は、執拗に懇願する泉美の熱意に依頼を引き受ける決心をした。弁護士の権限を駆使した真希子の調査によって、泉美の空白の時間に起きた事実の断片が少しずつ明らかになっていくにつれ、自ら望んだこととはいえ泉美は精神に追い詰められていく。そんな泉美を、真希子は時には厳しく叱責する。やがて泉美は、自らの力で空白だった10分間に何があったのかを思い出す時が訪れて・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    人間には、その事実が自己を崩壊させてしまうほど強い影響力がある時、自己防衛の本能としてその記憶を無意識下に封じ込めてしまう機能がある・・・・・らしい。北川景子が演じるこの作品の主人公・泉美がまさにそんなケースで、この作品の主題はそんな自己防衛の本能に敢えて逆らってまで、泉美が失った記憶を取り戻そうとする点にある。その是非についてとやかく言うつもりはないが、失った記憶が彼女にとって痛切なものであったからこそ、記憶は封じ込められたのだ。その記憶を結果がどうなろうとも取り戻そうとする泉美を描いたこの作品が、果たして感動のドラマとなるのだろうか、甚だ疑問ではある。
 そもそも北川景子が主演という一点のみに期待して劇場へ行ってきた作品だから、その意味では満足できたのは事実だ。そしておそらく、北川景子と岡田将生だけだったら薄っぺらな恋愛ストーリーになってしまいそうなところを、大塚寧々をもってきたのも正解だと思う。なんだか『HERO』ですっかり弁護士役が板に付いた感のある彼女が加わることによって、作品にメリハリが生まれているように思える。ただ、最初は泉美に対してとりつく島もないような断り方をしていた彼女が、ただ妹の面影に似ているという理由だけで、180度方向転換して実費のみで依頼を受けるというのにはちょっと無理がある。まして、その後は逆に主導権が真希子に移ってしまったかのように、過剰なまでに積極的に調査を進める様子には疑問を感じずにはいられなかった。
 また、最近感じるのはラブストーリーでも結構グロいシーンが見られることで、この作品でも事故直後の映像はをそこまで詳細にわたって見せる必要が果たしてあったのだろうか。血を見るのはやむを得ないとしても、指が切断された映像は正直あまり観ていて気持ちのいい物ではない。また、事故直前の映像をクドイほど繰り返して見せられるのもいかがなものかと思う。「哀しみと感動のラブストーリー」というからには、血などを見せることなく、もっとスマートな映像にして欲しいものだ。