評     価  

 
       
File No. 1238  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年06月26日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョン・ヒルコート  
       
上 映 時 間   112分  
       
公開時コピー   父には息子が、息子には父が全てだった。
それぞれが、相手の全世界となって
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ヴィゴ・モーテンセン [as 父]
コディ・スミット=マクフィー [as 息子]
ロバート・デュバル [as 老人]
ガイ・ピアース [as ヴェテラン]
シャーリーズ・セロン [as 妻]
 
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あ ら す じ    あらゆる物が朽ち果てて荒廃し切った、絶望のみが支配するような世界を、とその息子はただ南を目指して歩いていた。文明が崩壊したこの世界では、わずかな生存者は皆燃料と食料を探し、あるいは奪って、果ては人を見つけては殺し、その肉を食らう蛮族までが横行する始末だった。
 病に冒されていた父は自らの命が残りわずかであることを知っており、息子に自分が正しいと信じるありとあらゆる事を伝えようとしていた。彼には息子の存在がすべての心の拠り所であり、少年にとっても父親が自分の世界のすべてだった。時には幸運にも食料を貯蔵した地下シェルターを見つけ、世界が崩壊する以前では当たり前だった食事にありつけることもあった。しかし、食料には限りがあり、やがてはまた南へ向かう過酷な旅を続けなければならなかった。2人が目指す南には、果たして父親が望むような安穏とした日々を送れる世界はあるのだろうか?
 
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たぴおか的コメント    暗い、とにかく終始画面が暗い。先日観た『ザ・ウォーカー』のように終焉を迎えた世界が舞台となっているのだが、何が原因でそうなったのかがよくわからない。そして、昼間でも太陽の光が見られない理由がわからない。火山噴火や地震といった天変地異が原因だとは思われるのだが、それにしては生存者数があまりに少なすぎる。そんな中、ただひたすら海岸へと向かう父と息子だが、そもそも南を目指す動機があまりにも弱くて、そのためか2人の未来に夢も希望も感じられない。誰がどう観ても2人の行く先に明るい未来が待っているなどとは思えず、全編を通して退廃と絶望しか感じられない。父親を演じた主演のヴィゴ・モーテンセンはハッキリ言ってあまりのヒゲ面のために、誰が演じても判別がつかないような状態になっているし、せっかくシャーリーズ・セロンという美形を起用したのにそれが全く生かされていないのが残念だ。
 「本」の内容はともかくとしても、『ザ・ウォーカー』には微かではあるが未来に明るい兆しが感じられた。けれども、この作品を支配するのは、何の光明も感じられない救いのない絶望のみだ。これでは何のカタルシスも得られるはずはなく、観終えた後に残るのは息子の将来への不安と暗澹たる重苦しさだけだ。全世界的に経済不安が重苦しい影を落としている今の時代に、さらに追い打ちをかけるような作品を見せられて、あまりいい気持ちはしないというのが率直な感想だ。