評     価  

 
       
File No. 1239  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年06月05日  
       
製  作  国   イギリス / オーストラリア  
       
監      督   ジェーン・カンピオン  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   “世界で最も美しい詩”を生み出した英国詩人ジョン・キーツの儚くも美しい愛の物語。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   アビー・コーニッシュ [as ファニー・ブローン]
ベン・ウィショー [as ジョン・キーツ]
ポール・シュナイダー [as チャールズ・ブラウン]
ケリー・フォックス [as ブローン夫人]
イーディ・マーティン [as マーガレット・“トゥーツ”・ブラニー]
トーマス・サングスター [as サミュエル]
クローディー・ブレイクリー [as マリア・ディルケ]
 
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あ ら す じ    1818年のロンドン郊外。ジョン・キーツは、友人である編集者チャールズ・ブラウンの家に居候する、まだ貧しい詩人だった。彼は裕福なブローン家の娘・ファニーと知り合い、瞬く間に彼女に強く惹かれていった。ファニーもまたキーツに興味を持ち、やがて2人は互いに恋心を抱くようになった。
 財産を持たないキーツとの恋愛を親に反対されながらも、もはやファニーはキーツへの思いを抑えることができず、キーツと過ごす時間が増えていった。けれども、そんな幸せな時間は長くは続かなかった。結核を患ったキーツは、日に日に衰弱していき、ファニーはそんなキーツに対して何もしてあげられずに歯がゆい思いをするだけだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    今まで「感動」という感情は万国共通だと信じて疑わなかったのだが、こういう作品を見せられると自分の信念が大きく揺らいでくる。ジョン・キーツという英国の詩人の存在はこの作品で初めて知ったが、作品中での描写だけを観ると彼が詩作に耽るようなシーンもほとんど無く、単なる貧しい青年としか受け取れない。「いちばん美しい詩」というからには、彼が確かに詩人であるという描写が欠かせないと思うのだが。おまけに、単なる貧しい青年と恵まれた家庭に育った女性との恋愛ストーリーとして観るならばどうかと言うと、これが著しく抑揚に欠けていて、クライマックスと呼べるシーンも観られず、観終えた後に何も残らない味気ない作品だった。多分、1週間もたったらきれいサッパリと忘れ去られてしまうだろう。
 素材自体はそれほど悪くないと思う。ファニーを演じたアビー・コーニッシュは素直に好みとは言いかねるものの(もう少し痩せればもっと好感度は増したはず)、魅力的な女性ではあるし、ジョン・キーツ役のベン・ウィショーも25歳という若さで夭折した詩人の儚さを充分に醸し出していて好感が持てる。とは言え、どうやらこのジェーン・カンピオンという監督は、情景の描写に終始してしまって、肝心の登場人物の心情の描写がおろそかになってしまっていると言わざるを得ない。だから、シーンが切り替わるとファニーのキーツに対する態度が180度変わってしまっていて戸惑うようなことも少なくなかった。どうでもいいけど、銀座テアトルシネマで上映される恋愛映画とは相性が悪いような気がしてならない。