評     価  

 
       
File No. 1240  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年07月03日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   本広 克行  
       
上 映 時 間   141分  
       
公開時コピー   湾岸署、封鎖されちゃいました。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   織田 裕二 [as 青島俊作(湾岸署刑事課強行犯係係長警部補)]
深津 絵里 [as 恩田すみれ(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長)]
ユースケ・サンタマリア [as 真下正義(警視庁警視)]
伊藤 淳史 [as 和久伸次郎(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)]
内田 有紀 [as 篠原夏美(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)]
小泉 孝太郎 [as 小池茂(警視庁刑事部交渉課課長警視)]
北村 総一朗 [as 神田署長(湾岸署署長警視正)]
小野 武彦 [as 袴田健吾(湾岸署刑事課課長警部)]
斉藤 暁 [as 秋山副署長(湾岸署副署長警視)]
佐戸井 けん太 [as 魚住二郎(湾岸署警務課課長警部)]
小林 すすむ [as 中西修(湾岸署刑事課盗犯係係長警部補)]
甲本 雅裕 [as 緒方薫(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)]
遠山 俊也 [as 森下孝治(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長)]
川野 直輝 [as 栗山孝治(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)]
滝藤 賢一 [as 王明才(湾岸署刑事課強行犯係研修生)]
寺島 進 [as 木島丈一郎(警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査係警視)]
松重 豊 [as 警視庁警備部爆発物処理班班長警視]
高杉 亘 [as 草壁中隊長(警視庁警備部特殊急襲部隊警視正)]
小栗 旬 [as 鳥飼 誠一(警視庁刑事部捜査一課管理補佐官警視)]
柳葉 敏郎 [as 室井慎次(警察庁長官官房審議官警視監)]
 
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あ ら す じ    高度なセキュリティシステムが導入された新社屋へ移転することとなった湾岸署。その一大プロジェクトの責任者に任命されたのは、係長に昇進したばかりの刑事課強行犯係・青島俊作だった。彼の配下は、交通課から刑事課へ移った“女青島”の異名をとる篠原夏美、PCやゲームにしか興味を持たない栗山孝治、中国からの研修生王明才らに加え、官房審議官となった室井慎次の計らいで湾岸署に配属になった、あの和久平八郎の甥・和久伸次郎という面々だった。
 引っ越し作業のために蜂の巣を突いたような騒ぎになっている湾岸署管轄内で、バスジャックと銀行強盗が発生した。バスジャック現場に急行した青島とその配下、一方の銀行強盗には盗犯係の恩田すみれらが向かった。しかし、いずれの事件も金銭の被害はなく、実はそれは陽動作戦だったことが判明した。引っ越し業者を装った男女数名が所内に忍び込み、青島、すみれ、そして王の拳銃3丁が盗まれてしまったのだ。そして、その拳銃を使った殺人事件が発生してしまう。
 湾岸署内に捜査本部が設置され、管理補佐官の鳥飼誠一や、真下正義の後任で交渉課課長となった小池茂らが中心で捜査は開始されるが、犯人の誘導に載せられた湾岸署は強固なセキュリティシステムが仇となり、外部からの侵入も外部への脱出も不可能な牢獄と化してしまう。そして、所内に仕掛けられた爆発物を盾にした犯人からの要求は、過去に青島が逮捕した拘留中の犯罪者たちを釈放することだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    本編の尺が141分なのに、劇場の上映時間を見るとなんと185分。しかも、今までに経験のない7時40分という早朝からの公開初日初回の上映だった。私がこの回を選んだのに深い理由はなく、混雑が予想される作品だけに朝早い回の方が空いているだろう程度の軽い気持ちだった。そして、やはり140分ちょっとで本編が終了し、劇場の3時間を超える上映時間は何かの誤記だったのだと思っていた矢先、それが誤りではないことがやっと判明した。東宝が配給するこの作品、全国のTOHOシネマズへ初日舞台挨拶を同時生中継するという企画が用意されていたのだ。おそらく、TOHOシネマズのオフィシャルサイトには説明があったのだろうが、いつも座席の予約をするだけで他は全く見ないから・・・・・。エンドクレジット途中で席を立って退場していった人たちも、おそらくは舞台挨拶の生中継を知らなかったのだろう。
 この劇場版シリーズも、和久平八郎役のいかりや長介が亡くなったことでてっきり打ち切りになると思っていたら、前作から7年を経過した今年に3作目が製作され、和久の甥っ子として伊藤淳史が新キャストとして加わっているあたり、さすがに抜け目のなさを感じる。私は特にこの『踊る』シリーズのファンでもないから、シリーズが再開されたことに何の感慨もなかったし、作品を観た感想も「140分の間退屈させないパワーは健在」程度でそれ以上でも以下でもなかった。ただ、TOHOシネマズ日劇で行われた舞台挨拶の中継を観ていると、織田裕二を筆頭に出演者が「面白かったですか?」「面白かったでしょう?」などと半ば無理強いのように観客の同意を求めていたのがちょっとクドい。そんなに念を押さなくても、おそらくは何倍もの倍率を乗り越えて朝7時過ぎという信じられない時間に有楽町マリオンまで集合する熱狂的なファンばかりなのだから、面白いと答えないはずがないだろう。
 続編の製作もほぼ決まっているらしく、今までの流れと決別して新しい流れへと方向転換させようという意図が過剰に働いているように思える。スリーアミーゴスの一人、神田署長の退任と信じられない後任者の就任、1作目で本筋とは関係ないとは言え重要な役柄を演じた小泉今日子扮する日向真奈美を筆頭に、これまで青島が逮捕した犯人たちがカメオ登場するのも今までの総集編的な意味合いなのか。また、今まで必ず登場していた筧利夫扮する新城賢太郎が今回は姿を見せないところをみると、青島と室井の関係にも変化が生じそうな予感がする。今までのスリーアミーゴスのボケも含めた『踊る』だからこそのファンも少なくないはずで、この方向転換が今後のファンの動向にどういう影響を与えるか、ちょっと興味がある。
 事件自体のスケールは予告編で観て想像していたのとは当てが外れ、拍子抜けするほど他愛ない犯罪だった。青島が死ぬ気になったという動機も子供騙しのようなもので、今時あんなことで死ぬ気になって頑張る主人公なんて三流のドラマでも観られないだろう。また、相変わらず全編を通してのリアリティの欠如はもはや見事と言うほかない。その分、肝心の事件発覚から捜査、そして逮捕というプロセスの描写がおざなりになっていて、完全に本末転倒してしまっている。『踊る』シリーズのファン以外は観ない方が無難かも。まぁ、冒頭に書いたようにつまらなくはない、140分退屈しないのは事実だからよかったようなものの・・・・・劇場まで車で10分というシチュエーションになければ、とても7時40分という上映には行く気にはなれなかった。舞台挨拶生中継という予想外のタナボタがあったことを加味して、辛うじて「金返せ」モード突入せずといったところかな。