評     価  

 
       
File No. 1242  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年07月02日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ミゲル・サポチニク  
       
上 映 時 間   111分  
       
公開時コピー   延命のために、
人工臓器を
高額ローンで買う未来。
払えなければ、 回収(レポ)される
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ジュード・ロウ [as レミー]
フォレスト・ウィッテカー [as ジェイク]
リーヴ・シュレイバー [as フランク]
アリシー・ブラガ [as ベス]
カリス・ファン・ハウテン [as キャロル]
チャンドラー・カンタベリー [as ピーター]
ジョー・ピングー [as レイ]
ライザ・ラピラ [as アルバ]
イヴェット・ニコール・ブラウン [as ローデシア]
RZA [as Tボーン]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    人工臓器の販売を独占するユニオン社には、“レポゼッション・メン”と呼ばれる特殊任務に就く者たちがいた。彼らは、高額な臓器代金のローンを返済できなくなった顧客から臓器を回収する回収屋で、その中でもレミーは相棒のジェイクと共に回収率トップを争う優秀なレポゼッション・メンだった。
 レミーの妻キャロルは、彼に生きた人間から臓器を取り出すような仕事ではなく、普通の販売の仕事をすることを強く望んでおり、レミーもまたレポという過酷な仕事から足を洗いたいと考えていた。そんな矢先、彼はミュージシャンのTボーンから臓器を回収する際、機器のトラブルから失神してしまう。
 上司のフランクとジェイクの2人が見守る中、レミーは病院のベッドで目が覚めた。何が起きたか思い出せないレミーに対し、2人は驚くべき事実を告げた。回収の際のトラブルで駄目になった心臓の代わりに、今彼の左胸にはユニオン社の臓器で最も高額な人工心臓が埋め込まれているというのだ。高額のローンを支払うためにはレポゼッション・メンの仕事を続けるしかなかったが、すでに臓器回収に嫌気がさしていたレミーには、生きた人間から臓器を取り出すことなどできなかった。
 回収する側から一転して回収される側に回ってしまったレミーは、逃亡の最中に同じく代金滞納者の女性ベスと出会い、2人は互いに惹かれ合うようになった。そんな2人に対して、ユニオン社は容赦なくかつてレミーの同僚であったレポゼッション・メンを送り込んでくる。レミーは、自体を根本的に解決するためにはユニオン社へ侵入して2人の臓器代金滞納データを消去するほかはないと考えた。ジェイクやフランクら追っ手を振り切って、ユニオン社の心臓部であるデータベースにたどり着いたレミーとベスだったが、そこには衝撃の展開が待ち受けていたのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    邦題の『レポジッション・メン(=Repossession man)』とは、昨年の『レポ』のコメントにも書いた通り、アメリカの俗語で代金が回収不能になった商品の取り戻し屋のこと。そしてこの作品も『レポ』と同じく、ジュード・ロウ扮する主人公のレミーの仕事は、高額なローンを支払えなくなった購入者から人工臓器を回収することだ。『レポ』ほど露骨ではないにしても、臓器を回収するシーンではやはり血を見ることは必至だ。
 この作品の最大の見所は、衝撃のラストシーンだ。ネタバレになるので詳しくは書けないが、「この映画の結末は誰にも言うな」などと字幕で断り書きがある作品に結末が他愛なかったりするもので、その点この作品は予想もしない大どんでん返しにしばらくは呆然としてしまった。本当に衝撃的な結末だと思ったら、口止めされなくても結末は口外しないものだと思うし、そんな典型がこの作品なんじゃないかな。
 ジュード・ロウとフォレスト・ウィッテカーの異色コンビが不思議にマッチしている。オスカー主演男優賞の実績を誇るF・ウィッテカーはさすがに芸達者で、どんな役柄にも巧になりきってしまう演技力には、改めて感心させられる。この作品でも、レミーは果たしてジェイクを信じていいのか、それとも信じてはいけないのか、観る者に最後まで判断させないのはさすがだ。
 最近では『ディファイアンス』『ウルヴァリン X-MEN ZERO』など、以前のようなコミカルな役柄から転じて曲者役が板に付いてきたリーヴ・シュレイバーや、『ブラックブック』でその美しさを存分に披露してくれたのカリス・ファン・ハウテンらが脇を固めたキャスティングも気に入った。