評     価  

 
       
File No. 1247  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年07月10日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   平山 秀幸  
       
上 映 時 間   114分  
       
公開時コピー   死ぬことさえ、許されない。
ならば、運命を斬り開くまで。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   豊川 悦司 [as 兼見三左エ門]
池脇 千鶴 [as 里尾]
吉川 晃司 [as 帯屋隼人正]
戸田 菜穂 [as 睦江]
村上 淳 [as 右京太夫]
関 めぐみ [as 連子]
山田 キヌヲ [as 多恵]
矢島 健一 [as 矢部孫千代]
油井 昌由樹 [as 大場兵部]
つまみ枝豆 [as 福井]
後藤 光利 [as 光岡]
杉村 蝉之介 [as 山内]
瀧川 鯉昇 [as 安西直弥]
田中 聡元 [as 権蔵]
石山 雄大 [as 茂吉]
生津 徹 [as 常吉]
前田 健 [as 喜助]
外波山 文明 [as 兼見清蔵]
高橋 和也 [as 兼見伝一郎]
福田 転球 [as 牧藤兵衛]
木野 花 [as はな]
小日向 文世 [as 保科十内]
岸部 一徳 [as 津田民部]
 
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あ ら す じ    江戸時代。東北の海坂藩では、藩主・右京太夫の妾・連子が、右京太夫の寵愛をいいことに藩政にまで影響を与え、彼女の横暴によって命を失う者も現れる有様だった。そんな中、藩内随一の剣の遣い手の物頭・兼見三左エ門は、最愛の妻・睦江を病で失っており、失政を正すと共に死に場所を求めて、連子を刺し殺すという暴挙に及んだ。斬首に処せられるべき大罪にもかかわらず、意外にも一年の閉門というあまりに寛大な処分が下され、三左エ門は腑に落ちない思いを抱きながらも、睦江の姪・里尾に支えられながら、一年の月日は過ぎていった。
 ある日、中老・津田民部から呼び出された三左エ門は、彼が斬首を免れた理由を聞かされる。藩主・右京太夫と対立している別家の帯屋隼人正が右京太夫を亡き者にせんと企てる恐れがあり、いざという時に剣の達人である隼人正を食い止められるのは三左エ門しかいない、それが理由だった。近習頭取に命じられ以前と同じ石高に戻された三左エ門は、藩命に従い隼人正から右京太夫を守る決意をした。そして、津田の言葉通り、右京太夫の暴政に耐えられなくなった隼人正の前に立ちはだかることとなった三左エ門。腕に傷を負いながらも苦闘の末に隼人正を討ちとった三左エ門は、津田から「見事だ」との褒め言葉の後に、耳を疑うような言葉を聞かされるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    必殺剣だったらわかるが、その剣が抜かれる時、遣い手は半ば死んでいるという“必死剣”って一体何?なんて半分茶化すような気分で劇場へ臨んだこの作品、予想通り客層の大半は50代以上の老夫婦で、またもや(と言っても、一体何の作品で私が最年少の観客だったかは思い出せないが)私が最年少という有様だった。池脇千鶴が時代劇に出演しているのを初めて観たが、時代劇の衣装や、特に鬘が非常によく似合っていて、現代劇の彼女よりも遙かに可愛く見える。彼女のお陰で悲惨な後味が少しは和らげられたような気がする・・・・・なんて言ったら、ネタバレになっちゃうかな?
 最近やたらと貫禄が付いてきたように思えるトヨエツだが、この作品で何度か風呂を浴びるシーンを観ると、貫禄が付いたのはどうやら顔だけではないようだ。言っちゃ悪いが、上半身はかなり見苦しい太り方をしていて、もうちょっとシェイプアップした方がいいと思うぞ。そして、そのトヨエツ扮する三左エ門と対決する隼人正を演じた吉川晃司が、迫力充分で凄みのあるキャラクターを上手く演じていたのが良かった。そもそも、右京太夫と隼人正のどちらが正しいかと言えば、どうみても間違っているのは右京太夫の方なのだが、相手が正しいとわかっていても主君に従わないわけには行かないのが宮仕えの辛さだ。
 三左エ門のような一本気で実直な男は、上役から見れば非常に扱い易いもので、結局は三左エ門は岸部一徳扮する津田民部の策略に利用されてしまう。だが、津田は彼の立場なりに最善を尽くしたと言えるワケで、真に諸悪の根源であるのは妾に骨抜きになり藩政をもおろそかにした藩主・右京太夫なのだ。上司は部下を選べるが、部下は上司を選べない、これは江戸時代にも現在にも通じる真理のようで、仕えた上司すなわち藩主が馬鹿だった時点で、三左エ門のような実直な男の不運は決まっていたのだ。村上淳のバカ殿ぶりも悪くなかったが、そんな馬鹿な右京太夫を意のままに操る連子を演じた関めぐみ、こういうイヤミな女を演じさせると抜群に上手いね。