最初からそれほど期待はしていなかっただけに、失望させられることもなかったが、正直言って主演の川島海荷(うみか)の可愛さ以外は収穫なしの作品だった。登場人物の名前がイリオモテヤマコ(案の定、金田哲扮する不破先輩からは「ヤマネコ」と呼ばれていた)だったり、フワフウワだったり、カケイキクコだったり、冗談としか思えないような名前なのはこの際どうでもいい。はんにゃの金田哲が不破先輩役に抜擢されたのは、そのずば抜けたマット運動の才能にあるとしか思えないほど前転、後転、バク転、バク宙、を吹き替え無しに見事にこなしているのにはビックリ。それはいいのだが、どうも肝心の不破のキャラクター設定が中途半端なような気がしてならない。どうせやるなら最後まで徹底してクサイ、キモイ、ウザイ、そして暑苦しいキャラを押し通して欲しかったのに、肝心な場面でフツーの先輩になってしまうのがとても残念。
冒頭にも書いた通り、川島海荷がとにかく可愛い。どうでもいいけど、彼女の川島海荷という名前は本名で、この作品についてWebで調べるまでは「海荷」を何と読んでいいのかわからなかった。戸田恵梨香のような典型的な美人ではなく、どちらかと言えばファニーフェイスに属するルックスだと思うが、それが却って魅力的に感じる。そして、コウモリが落ちるのではないかと思えるほど(大袈裟?)甲高い声で“UMIKA as YAMAKO”として彼女が歌う主題歌は、広末涼子のデビュー曲『MajiにKoiする5秒前』だ。そう言えば、劇中にも曲の中にもラブレターが登場するが、メールで簡単に相手にメッセージを伝えることができる今では、ラブレターも過去の遺物になってしまっているのかもしれないな。エンディングでは出演者全員で曲に合わせてのダンスを披露してくれるのだが、これが観ていて非常に気持ちよく、無条件降伏で気に入ってしまった。実は川島海荷には以前に『Life 天国で君に逢えたら』で大沢たかお扮する主人公の娘役でお目にかかっていたのだが、その時は特に強い印象もなかったために、完全に忘れてしまっていた。その点は、最初に『佐粧妙子』で忘れられない強烈なインパクトを残したヒロスエとの大きな違いだろうか。