評     価  

 
       
File No. 1249  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年07月17日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   M・ナイト・シャマラン  
       
上 映 時 間   103分  
       
公開時コピー   4つの王国。
1つの運命。
 
世界最後の希望は
この選ばれし者に託された
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ノア・リンガー [as アン]
デヴ・パテル [as ズーコ]
ニコラ・ペルツ [as カタラ]
ジャクソン・ラスボーン [as サカ]
ショーン・トーブ [as アイロ伯父]
アーシフ・マンドヴィ [as ジャオ司令官]
クリフ・カーティス [as オザイ王]
セイチェル・ガブリエル [as ユエ王女]
フランシス・ギナン [as パク師匠]
デイモン・ガプトン [as ギャッツォ僧侶]
サマー・ビシル [as アズーラ]
ランダル・ダク・キム [as 寺院の老人]
ジョン・ノーブル [as (声)ドラゴンの精霊]
 
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あ ら す じ    かつて氣・水・土・火の4つの王国の調和が保たれていた世界も、火の国の反乱によって100年続く戦乱の世となっていた。各国にはそれぞれの国のエレメントを操る遣い手“ベンダー”がおり、その中でも4つのエレメント全てを操ることができる者は“アバター”と呼ばれ、輪廻転生によって4つの国に順番に現れるアバターは世界に調和をもたらすといわれていた。
 ある日、水の国のベンダー兄妹、サカカタラは、氷の中に閉じ込められていた少年を救い出した。彼の名はアンといい、今はもう絶滅したはずの氣の国のベンダーだった。そして、彼こそ現世に生まれたアバターだったのだ。彼はアバターが背負う重責に耐えきれずに逃げ出して氷の中に閉じ込められ、アバターなき間隙を狙ったかのように火の国が反乱を起こしたのだった。
 氷漬けになって以来100年もの年月が経過したことを知ったアンは、アバターとしての宿命と向き合う決心をしたものの、まだ「氣」以外のエレメントを操ることはできなかった。そして、そんなアンを狙う火の国のオザイ王は、王子のズーコジャオ司令官にアンを捕らえるよう命じるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『レディ・イン・ザ・ウォーター』『ハプニング』と続けざまに大コケして、これが駄目なら監督を廃業しなければならないんじゃないかと思われた、M・ナイト・シャマラン監督が背水の陣で臨んだような作品。そもそもシャマラン監督は、『ヴィレッジ』の失敗で学習したのか、以降は「俺にもこんな作品が撮れるんだ」と言わんばかりに、このところはあのバカのひとつ覚えのような「どんでん返し」を封印した作品を作り続けている。ところが、それが逆効果で、ことごとく失敗に終わっているにもかかわらず、今回は得意のサスペンスからも離れて冒険スペクタクルとなると、もう血迷ったとしか言いようがない。まぁ、オリジナル脚本ではなくちゃんとした原作のある物語に取り組んだのはいい方向転換だと言えるが、残念ながら原作の良さをことごとく無に帰すような作りになってしまったのではないだろうか。だったらナゼ観たのか?と突っ込まれそうだが、もしかしたら、万が一いや百万が一にでも間違って『シックス・センス』のような秀作を生み出すのではないかと、非常に淡い期待を抱いてしまうのだ。学習能力がないというか、懲りないというか、自分でも困り果てた性格なのだ。
 この手のファンタジー作品であれば、『ハリー・ポッター』にせよ『ナルニア』にせよ、どこか心がワクワクさせられるような楽しさがあるものだが、残念ながらこの作品にはそれが感じられない。思うに、どうも作品の展開にあまりに抑揚がなさ過ぎることが最大の理由のような気がする。いい意味での遊び、あるいは息抜きとでも言うべきか、そういう「静」の部分がほとんど観られず、ひたすら「動」のシーンが続けられるために、観ている者は疲れてしまうのだ。そして、ある者はその盛り上がりのなさと疲れのために、私のように何度も意識を失いそうになってしまうのではないだろうか。そして、主役のアンを演じたノア・リンガーがキレのあるアクションを垣間見せてくれているのだが、全体としては非常にアクションシーンに物足りなさを感じる。せっかく気・水・土・火のそれをれを操るベンダーが登場するのだから、気・水・土・火が真っ向からぶつかるようなド派手なアクションシーンがあってもいいのにと思う。そういえば、アンを狙う火の国の王子ズーコ、もしかしてと思いネットで調べたら、やはり『スラムドッグ$ミリオネア』のジャマールを演じた彼だった。シャマラン監督もインド出身だけに、インド繋がりの出演なのだろうか?
 実は例によって私は全く予備知識も仕入れずに臨んだのだが、冒頭に「第1章 水の国」などという字幕を観せられたため、「第2章」はいつなのか、いつなのかと思い続けているうちに呆気なく作品は終了してしまった。そしてその時初めてこの作品がシリーズ三部作の第1作であることを知った次第だ。であるならば、この先はシャマラン監督は勇退して別の監督がメガホンを取った方がいい、と思うのは私だけではないだろう。もっとも、いくら監督や脚本、さらには登場人物を演じる俳優を総取り替えしたところで、もはやこのシリーズには何の未練もない、バッサリと切り捨てることになるだろうけど。