評　　　　 価 　

　
　 　 　 　
File No. 1250 　
　 　 　 　
製作年 ／ 公開日 　 2010年 ／ 2010年07月23日 　
　 　 　 　
製　　作　　国 　 アメリカ 　
　 　 　 　
監　　　　　 督 　 クリストファー・ノーラン 　
　 　 　 　
上　映　時　間 　 148分 　
　 　 　 　
公開時コピー 　 犯罪現場は、
お前の頭の中。 		　

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最初に観たメディア 　

Theater

Television

Video
　
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キ　ャ　ス　ト 　 レオナルド･ディカプリオ ［as ドム・コブ］
渡辺 謙 ［as サイトー］
ジョセフ・ゴードン=レヴィット ［as アーサー］
マリオン・コティヤール ［as モル］
エレン・ペイジ ［as アリアドネ］
トム・ハーディ ［as イームス］
ディリープ・ラオ ［as ユスフ］
キリアン・マーフィ ［as ロバート・フィッシャー］
トム・ベレンジャー ［as ブロウニング］
マイケル・ケイン ［as マイレス］ 		　
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あ　ら　す　じ 　 　コブは人が最も無防備になる状態すなわち眠っている間に、その人間の夢に侵入してそのアイデアを盗み出すという“エクストラクト”のスペシャリストだった。彼は仲間と共に巨大企業のトップ・サイトーの夢に侵入してミッションを遂行していたが、サイトーにそれが夢の中であることを悟られてしまい、目的半ばで撤収しなければならなくなった。ところが、夢から覚めたサイトーはコブに対して意外な申し出をしてきた。それは、サイトーのライバル企業の時期トップ・ロバート・フィッシャーの夢に侵入し、アイデアを盗むのではなく逆にあるアイデアを植え付けるという“インセプション”の依頼だった。
　今までの全ての罪を帳消しにするという交換条件にサイトーの依頼を受けたコブは、大学教授であり彼の妻・モルの父であるマイレスに、夢を設計する“設計士”の候補者として優秀な建築学科の学生アリアドネを紹介される。そして、コブが長年にわたって最も信頼するパートナーのアーサー、どんな人物にでも自分を見せかけることができる偽造士・イームス、複数の人間が夢を共有するための合成薬の調合師・ユスフらが集まり、ミッションの遂行を確認するためにサイトーを伴って、ロバートを3層の夢の中に引きずり込んでのインセプションが開始された・・・・・。 		　
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たぴおか的コメント 　 　『プレステージ』『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン監督作とあって、嫌がうえにも期待させられて劇場へ臨んだのだが、観終えた感想はただただ「凄い」の一言に尽きる。一体クリストファー・ノーランという人の頭の中はどういう構造になっているのか？と思うほど、その発想は大胆かつ自由で制約というものを知らない。そして、その凄さをそのまま文章にして伝える術を持たない自分がもどかしい。148分という尺の長さにもかかわらず間延びすることなく、内容がぎっしりと詰まった濃厚な内容に加え、その驚くべき映像の迫力は是非劇場で体験するべきだ。特に予告編で何度も観たものの、街がまるで絨毯のようにめくれ上がる映像には唖然とするばかりで言葉も出ない。ただ、ハリウッドが抱いている「日本」に対するイメージだけはなんとかならないものだろうか。渡辺謙扮するサイトーのオフィス、今時あんなオフィスは日本中探しても見つからないぞ。
　標的の夢の中に侵入してアイデアを盗むという発想の奇抜さで興味を惹き、そこからは観ている者も一気に標的の夢の中へと引きずり込まれる。しかもそれが夢の中の夢かと思ったら、さらにそのまた夢の中のへと三層、四層という多重構造になっていて、その夢の各層の関連づけが非常に上手い。一層目の夢の中で乗っている車が傾くと、二層目の夢の中ではそれと同じく重力が傾く。ジョセフ・ゴードン=レヴィット（彼ってどこかで観た顔だと思ったら、『（500）日のサマー』のトムだったのね。彼とジェームズ・マカヴォイの区別が未だにつけられない・・・・・）扮するアーサーが一層目の夢の中では転落する車の中にいたために、二層目の夢の中では宇宙遊泳のように無重力の中でミッションを遂行する映像は圧巻だ。
　注目の渡辺謙は、『SAYURI』『ラスト サムライ』でも準主役的な役柄で出演しているものの、日本以外の舞台でこれほど重要な役柄での出演は初めてだ。また、今までは『ジュノ』『ローラーガールズ・ダイアリー』と青春ものでしかお目にかかれなかったエレン・ペイジも、この手のSFアクション作品に登場するのは初めてだ。そんなお初の2人だが、渡辺謙は少しも臆することなどなく迫力充分。エレン・ペイジも後半は出ずっぱりで、ディカプリオの存在が霞んでしまうほどの熱演を見せてくれたのが嬉しい。また、『バットマン ビギンズ』以来のノーラン作品に出演するキリアン・マーフィも「演技している」と思わせないようなソツのなさは健在だ。
　ラストシーンにも微妙な細工が用意されている。観る者に「これは夢の中なのか、それとも現実なのか？」と疑わせておいて、コブが回した駒が止まるのかそれとも回り続けるのかを観客に知らせずに終わる。その余韻の残し方がまた憎いほど上手い。『踊る大捜査線』を観るくらいなら、私はそんなモンはやめてこちらの作品を観ることを強くお勧めしたい。このジャンルでは久しぶりに見る傑作だよ、間違いなく。