評     価  

 
       
File No. 1251  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年07月17日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   米林 宏昌  
       
上 映 時 間   94分  
       
公開時コピー   人間に見られてはいけない。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト (声の出演)   志田 未来 [as アリエッティ]
神木 隆之介 [as 翔]
大竹 しのぶ [as ホミリー]
竹下 景子 [as 貞子]
藤原 竜也 [as スピラー]
三浦 友和 [as ポッド]
樹木 希林 [as ハル]
 
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あ ら す じ    とある郊外の古い洋館に、12歳の少年・が病気療養のために訪れる。手入れがおざなりで荒れ放題の広大な庭があるその館には、彼の伯母貞子と家政婦のハルが住んでいた。そして、翔はその庭で身長が10cmほどの小人の少女を目撃する。彼女の名はアリエッティ、屋敷の床下に借り物を集めて造られた家に父親・ポッドと母親・ホミリーの3人で密かに暮らしていたのだった。
 「人間に見られてはいけない」、それが床下に住む借りぐらしの小人たちの掟だった。しかし、アリエッティは庭だけではなく、初めて父と人間の部屋へ「借り」に出かけた時に、母から頼まれた角砂糖を床に落とした拍子に、再び翔に自分の存在を気づかれてしまう。そしてその翌日、「忘れ物」と書かれたメモと一緒に、角砂糖が床下への出入り口に置かれていた。ポッドとホミリーは、人間に存在を気づかれたのではないかと、今いる居心地のいい家を捨てて新しい家に引っ越すことを考え始める。
 ある日の夜遅く帰宅したポッドは、珍客を伴っていた。同じ小人の仲間のスピラーだった。新しい家を探すために遠出したポッドは、途中で足を怪我してしまい、偶然に出会ったスピラーの肩を借りて家まで連れ帰ってもらったのだった。スピラーが言うには、同じ小人の仲間が彼の知るだけで他にも何人かいるらしい。仲間が近くに住む場所へ引っ越せるかもしれない、そんな希望を持った矢先、引っ越しを決定づける事件が起きた。アリエッティたちの家に気づいたハルに、ホミリーが捕らえられてしまったのだ・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『崖の上のポニョ』以来2年ぶりとなるスタジオジブリの最新作で、宮崎駿は企画と脚本という舞台のいわば裏方に回り、今回監督を務めるのはこれが第1作となる米林宏昌。確かに作画は綺麗だし、人物の描写も丁寧だとは思うが、1本の物語としてはあまりに無難すぎる出来に思える。突出して面白い点があるわけでもないが、かと言って致命的な突っ込み所があるわけでもない、平均点主義の作品・・・・・悪く言えば八方美人的な作品なのだ。宮崎監督作品以外では『ゲド戦記』が記憶に新しいが、あれほど酷い作品ではなかったものの、『千と千尋』や『ハウルの動く城』と比べると残念ながら見劣りする。また、『崖の上のポニョ』のような単純明快な子供向にもすんなり入って行ける作品でもなく、むしろ子供が観たならば退屈してしまうんじゃないだろうか。
 もっと主人公アリエッティの冒険を観てみたい、そう思ったのは私だけではないはず。唯一の見せ場は翔の力を借りて母ホミリーを救い出すシーンだが、そのシーンすら手に汗握るハラハラ、ドキドキ感とはまったく無縁で、全体的に盛り上がりに欠けるのは否定できない。また、藤原竜也が声を担当するスピラーが登場して、一体どう展開していくのかと期待を持たされて挙げ句があの程度の出番ではあまりに物足りない。これがシリーズの導入編だったらこういう展開もアリだろうけど、これで完結する物語としてはこの内容の希薄さはツライ。
 また、最近のアニメを観て感じることは、吹き替えにプロの声優ではなくタレントや俳優を使う傾向が強いということ。タレントや俳優を頭ごなしに否定するワケではないが、この作品のように登場人物の全員が俳優・女優というのにはどうしても抵抗がある。プロの声優には、プロならではの優れた点があるからこそ職業として成り立っているわけで、そんな彼らの良さを無視してまで全員を俳優でまかなうことにどんなメリットがあるというのだろうか。志田未来そして神木隆之介と、演技力には定評がある2人だが、いざ声だけの出演となるとどうしても今ひとつ物足りなさを感じてしまう。やはりプロの声優には勝てないんだなぁ、と再認識させられた。