評     価  

 
       
File No. 1260  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年08月14日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   小林 義則  
       
上 映 時 間   113分  
       
公開時コピー   この夏、一匹の見習い警察犬が、愛と感動を届けます。
実話から生まれた、心あたたまる絆の物語。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   夏帆 [as 望月杏子]
寺脇 康文 [as 番場晴二朗]
戸田 菜穂 [as 番場詩子]
山本 裕典 [as 田代渉]
広田 亮平 [as 番場圭太]
大野 百花 [as 番場新奈]
遠藤 憲一 [as 望月遼一]
浅田 美代子 [as 望月園子]
平田 満 [as 桜庭崇]
板東 英二
原 史奈
宮武 祭
有福 正志
日野 陽仁
竹嶋 康成
蛭子 能収
 
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あ ら す じ    土砂降りの雨の中を、シェパードに交じって行方不明の女の子を捜索するラブラドールレトリバーの警察犬エルフと、訓練士の望月遼一。そしてついにエルフが女の子を捜し当てたニュースの映像を観て、望月遼一の娘・望月杏子は、いつか自分も父親のような訓練士になりたいと願うのだった。それから10年。父の後輩の訓練士・番場晴二朗が営む警察犬訓練所で働くこととなった杏子は、先輩の訓練士・田代渉に仕事を教わりながら見習訓練士としての生活をスタートさせた。
 そんな杏子の目に留まったのは、犬房の奥にうずくまっていた、父のエルフと同じきなこ色をしたラブラドールレトリバー子犬だった。体が弱く餌も満足に食べられないその子犬・きな子は、晴二朗に警察犬にはなれないとの烙印を押されてしまっていた。しかし杏子は、「私がきな子を警察犬にします!」と言い切って、晴二朗の反対を押し切ってしまう。こうして、晴二朗の娘・新奈から「きなことあんこの漫才コンビ」と笑われながらも、見習い訓練士・杏子と見習い警察犬・きな子の二人三脚の日々が始まった。
 渉が訓練するシェパードのジャックと共に、杏子はきな子の訓練をするが、ジャックが難なくこなす平均台やハードル、障害物を、きな子は一向にクリアできずにいた。ところが、杏子の支えだった渉が、犬の訓練のすべてを記録した日記を杏子に託して、実家の製麺所を継ぐために訓練所を去ってしまう。誰よりも訓練士になりたかった渉の気持ちをくんだ杏子は、前以上に懸命に犬たちの面倒を見た。そして、そんな杏子に晴二朗は数ヶ月後に開催される訓練発表会に出てみるよう告げるのだった。渉の残したノートを参考に必死にきな子の訓練を行った杏子だったが、発表会の結果は惨憺たる有様に終わってしまう。
 発表会での不出来をきな子のせいにする杏子に対して晴二朗は、渉のジャックとハードルを跳んでみるよう命じた渉とは難なくハードルをクリアしたジャックが、晴二朗が相手だと同じようにハードルを越えたのにもかかわらず、杏子が相手だと全く跳ぼうとしない。晴二朗から「未熟なのはお前の方だ」と叱咤された杏子は、改めて2ヶ月後の試験に必ずきな子を合格させると誓うのだった。
 ところが、満を持して臨んだ警察犬試験で、きな子は臭気選別を4回すべて不正解で不合格となってしまった。ところが、なぜエルフみたいに分かってくれないのかと涙ぐむ杏子の足元に、きな子はぐったりして倒れ込んでしまう。試験のことで頭が一杯だった杏子は、きな子が体調に異常を来していたことに気づいてやれなかったのだ。自分のせいできな子に苦しい思いをさせたことを悔やむ杏子は、ある日晴二朗に訓練所を辞めると切り出すのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    警察犬試験に6回挑戦しながらいずれも不合格というラブラドールレトリバーの“きな子”とその訓練士の川西智紗さんの実話をモチーフに描かれた作品。ちなみに、きな子は未だに警察犬の試験には合格できずにいるとのことだ。杏子を演じた夏帆はやはり演技達者で、安心して観ていられる。そして、この手の動物を扱った作品に大きなハズレはないもので、この作品もそれなりに感動的な仕上がりにはなっている。
 「それなりに」というのは、ついつい涙腺が緩んでしまうようなシーンが残念ながらなかったことの表れで、肝心のクライマックスでも杏子に向かって懸命に走ってくるきな子の姿は健気だけれども、あまりにもご都合主義的な展開でいかにも感動を呼ぼうという意図が露骨に感じられてしまい、気持ちを動かされるまでには至らなかったというのが正直なところだ。
 そんな中、キャスト陣で目立っていたのは晴二朗の娘・新奈(にいな)を演じた若干8歳の大野百花チャンだ。あの大人をナメ切ったようなませた口ぶりは末恐ろしく、将来大化けするかもしれない(けど、このままポシャる可能性も少なくないかな)、そんな可能性を秘めているように感じられた。一方、その兄・圭太を演じた広田亮平君が、相変わらず手堅い演技を見せてくれているのがいい。