評     価  

 
       
File No. 1264  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年08月21日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   原 圭一  
       
上 映 時 間   127分  
       
公開時コピー   ただいま、
サヨナラした世界。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト
(声の出演)
  冨澤 風斗 [as 小林真]
宮ア あおい [as 佐野唱子]
南 明奈 [as 桑原ひろか]
まいける [as プラプラ]
入江 甚儀 [as 早乙女]
藤原 啓治 [as 沢田先生]
中尾 明慶 [as 小林満]
麻生 久美子 [as 真の母]
高橋 克美 [as 真の父]
 
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あ ら す じ    天上界への入り口でさまよっていた“彼”の魂は、少年の姿をしたプラプラという名の天使(?)から声をかけられた。「あなたは大きな過ちを犯して死んだ魂ですが、もう一度下界に戻ってやり直すチャンスが与えられました。」と。こうして、天上界へ向かう寸前で引き戻された“彼”の魂は、自殺を図った小林真という名の中学3年の体へと入り込んだ。真が目を覚ますと、そこには心配そうにのぞき込む、それに兄のの姿が。一見すると幸せそうで何の問題もないような家族に、“彼”は真がなぜ自殺を図ったりしたのかが不思議で仕方なかった。
 真となった“彼”はプラプラから、自分の犯した罪を思い出すという課題を与えられた。そして、その課題を達成できなければ、二度と輪廻転生の輪にはもどれないという。さらに、真は父を軽蔑していたこと、密かに想いを寄せていた後輩のひろかが男とラブホテルへ入っていくのを目撃してしまったこと、そしてそのホテルから母と男が出てくるところを目撃してしまったことを教えられた。そんな真には学校では友達もなく、成績も最低だったという。ナゼよりによって自分が入り込んだのが真なのか、また、真が学校ではどういう生徒だったのかを教えてくれないプラプラに対して、不満を抑えられない“彼”は、仕方なしに自分の思うように振る舞い、そんな真と家族やクラスメイトとの関係は少しずつ変わっていった。
 クラスメイトからは真が変わったことで今までとは違った目で見られるようになり、中でも同じ美術部に所属する佐野唱子だけは「小林君らしくない」と不審感を抱いている様子だったがるが、早乙女という初めての友達もできた。こうして真の生活自体が今までとは違った方向に動き出し、そんな中で“彼”はやがてある重大な事実に気づくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    オフィシャルサイトにある「かつて中学生だったあなたへ」というコピーに惹かれて観た作品だったが、思った以上の秀作だった。少なくとも、公開以来観客動員数不動の1位を誇る『借りぐらしのアリエッティ』よりは遙かに面白い作品だと思う。背景となる景色の描写の細かさとリアリティは、おそらく実写を巧くCGに取り込んでいるためだろう。けれども、この作品の良さは作画の巧拙などではない、もっと別のところにある。
 主人公が死んだ理由がわからないまま、小林真という中学生として生活を送るようになるのだが、なぜ小林真なのかもまた謎だ。そして、家族として赤の他人と一緒に暮らし、赤の他人が急にクラスメイトになり、そんな中で自分を見つめ直していく、そんな過程から目が離せない。誰でも中学時代に経験したような、どこか自分の身に思い当たるようなシーンがあるためだろう。
 気になる女の子のひろか、そして、なぜか好きでもないのに自分に絡んでくる唱子のような女の子を観ていると、なんだか自分まで中学時代に戻ったような懐かしさを覚える。そんな気分に浸っていた私を現実に引き戻してしまうのが、ひろかの声の吹き替えを担当した南明奈で、この作品の唯一にして最大の不満点だ。下手をすると作品自体をブチ壊しにしかねない、それほど彼女の吹き替えは危なっかしくて仕方ない・・・・と言うか、ズバリ言えば下手なのだ。もっとまともな声優を起用して欲しかったと切に思う。