評 価
File No.
1270
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年09月11日
製 作 国
日 本
監 督
李 相日
上 映 時 間
139分
公開時コピー
なぜ、殺したのか。
なぜ、愛したのか。
ひとつの殺人事件。引き裂かれた家族。誰が本当の“悪人”なのか?
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
妻夫木 聡
[as 清水祐一]
深津 絵里
[as 馬込光代]
岡田 将生
[as 増尾圭吾]
満島 ひかり
[as 石橋佳乃]
塩見 三省
[as 佐野刑事]
池内 万作
[as 久保刑事]
光石 研
[as 矢島憲夫]
余 貴美子
[as 清水依子]
井川 比佐志
[as 清水勝治]
松尾 スズキ
[as 堤下]
山田 キヌヲ
[as 馬込珠代]
韓 英恵
[as 谷元沙里]
中村 絢香
[as 安達眞子]
宮崎 美子
[as 石橋里子]
永山 絢斗
[as 鶴田公紀]
樹木 希林
[as 清水房江]
柄本 明
[as 石橋佳男]
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あ ら す じ
長崎のとある漁村で生まれた土木作業員・
清水祐一
は、幼い頃に両親と離別して
清水勝治
・
房江
の祖父母夫妻に育てられ、今もなお2人の面倒をみながら暮らしていた。車が唯一の趣味の彼は生きる目的を見つけられず、ただ誰かと接したいがために出会い系サイトで相手となる女性を探していた。そんな彼がサイトで知り合ったのは、久留米で理髪店を営む両親
佳男
・
里子
の元を離れ、博多で保険会社に勤務するOLの
石橋佳乃
だった。
ある日佳乃と会う約束をした祐一は、愛車で長崎から博多へと駆けつけた。ところが、待ち合わせ場所に訪れた佳乃は、祐一との約束を反古にして偶然に通りかかった男の車に乗り込んでしまう。その車を運転していた老舗旅館の息子・
増尾圭吾
は、佳乃にとっては本命とも言える相手であり、祐一は単なる援助交際の相手に過ぎなかったのだ。自分がコケにされたような屈辱感に苛まれた祐一は、怒りにまかせて佳乃が乗り込んだ増尾の車の後を追うのだった。
妹の
珠代
と2人で暮らすく
馬込光代
は、自宅と勤務先である紳士服の量販店の間を往復するだけの単調な生活を繰り返していた。恋人がいない光代が出会い系サイトで初めて知り合った相手、それが祐一だった。互いに真剣に誰かと出会いたくてサイトを利用した、そんな共通点を持つ2人は互いに惹かれあい、初めて自分が生きているという実感を感じられるようになった。けれども、祐一には実は光代にさえ隠していた秘密があった。やがて祐一はその秘密、自分が殺人を犯したという事実を光代に打ち明けるのだが、それに対して光代は意外にも、自首しようとした祐一を引き留めて2人で逃避行に走るという絶望的な道を選択するのだった・・・・・。
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たぴおか的コメント
ご存じ、主演の深津絵里がモントリオール映画祭で最優秀女優賞を獲得した作品。ただ、この作品に限って言えば、本人のコメント通り、妻夫木聡を筆頭に共演した俳優・女優たちの力があってこその受賞だと言っていい。それほど、この作品で演じる人々の迫真の演技は鬼気迫るものがあった。その中でも私が注目していたのは、言うまでもない妻夫木扮する祐一に殺されてしまう満島ひかりだ。
その彼女、この作品では早々と祐一に殺されてしまうのが残念だが、私にとっては主演の深津絵里よりも彼女の演技の方がはるかに強く印象に残っている。出会い系サイトで援交をし、挙げ句の果てに祐一に対して上から目線で見下してかろうじて自分のプライドを保とうとする典型的な今時の女性・佳乃。今まで彼女が演じてきた一風変わったキャラクターと異なり、どこにでもいるような没個性のありふれた女性を演じながらも、観る者にその存在感を確実にアピールするあたりは、やはり彼女の演技力が優れていることの表れだろう。そんな佳乃とちょうど対極的な存在が、金持ちのドラ息子で他人の痛みを感じようとしない、岡田将生扮する増尾だろう。岡田はストレートで爽やかなキャラが似合っていそうで、実はこの作品の増尾や『告白』KY教師のようなクセのある役柄の方が絶対に似合っていると思う。
深津絵里は正直あまり好きになれない女優で、この作品でも彼女のアップを観せつけられるのはちょっとツラかった(彼女、肌が綺麗じゃないから・・・)。ただ、この作品の光代という役柄が彼女にマッチしていることは間違いない。そして、脇を固める俳優陣の演技が凄い。最近は老婆役がハマリ役となった感のある樹木希林は言うまでもなく、木訥で不器用なキャラを演じさせたらピカイチの(つーか、そういうキャラしか演じられないとも言う^-^;)柄本明。この作品で初めて彼の演じる人物に感動を覚えた。岡田扮する増尾を、おそらくは殺しても飽き足りないほど憎んでいるだろうが、その気持ちを抑えて吐く捨て台詞には、娘を奪われた父親の込み上げる思いが溢れていて共感を覚えずにはいられない。私にとっては、彼の演技がこの作品から得られた最大の収穫だった。