評     価  

 
       
File No. 1275  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年09月11日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   村谷 嘉則  
       
上 映 時 間   105分  
       
公開時コピー   最近、好きって言われましたか?  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   相武 紗季 [as 佐藤瑠璃]
眞木 大輔 [as 槇原佑樹]
塚本 高史 [as 田中武]
市川 知宏 [as 槇原聡史]
岡山 智樹 [as 田中武(子供時代)]
茂木 健一郎 [as 医師]
真琴 つばさ [as 槇原仁子]
市川 亀治郎 [as 水沢穣治]
北大路 欣也 [as 槇原佑一郎]
秋月 三佳
舘形 比呂一
紺野 まひる
 
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あ ら す じ    イタリアン・レストラン“ダンジェロ”のオーナーシェフ、田中武は、料理雑誌の記者である幼なじみの佐藤瑠璃の元へと走った。以前武が働いていた店の先輩シェフ・水沢穣治からプロポーズされて、どうしたらいいかわからずに武へ送った相談のメールに、直接返事を伝えるためだった。ちょうどそんな時、ピアニストの槇原佑樹は、ビルの屋上で発作を起こしてそのまま転落してしまい、下にいた武と激突してしまった。幸い佑樹は命に別状はなかったが、不幸にも武は帰らぬ人となってしまった。瑠璃に最後のメッセージを伝えることもできないままに。
 意識を取り戻した佑樹の体には、ある異変が起きていた。彼は自分の名前が槇原佑樹でピアニストであること、槇原仁子という姉と槇原聡史という甥がいること、父親槇原佑一郎もまた偉大なピアニストであることなど、一切の記憶を失っていたのだ。それもそのはず、佑樹の体には死んだ武の記憶が宿っていのだ。料理をしたくていてもたってもいられなくなった佑樹は、“ダンジェロ”に行っていつものように料理をしていたところ、そこへ偶然瑠璃がやって来る。佑樹は瑠璃に頼み込んで、武の代わりに自分が店をやっていくことを許してもらうのだった。
 武の記憶を通してではなく、佑樹自身もまた瑠璃に惹かれていくが、武の記憶が宿っているという佑樹の言葉を信じられない瑠璃は、どうしても佑樹に心を開くことができなかった。そして、水沢のプロポーズを受けて結婚する決意を固める瑠璃。そんな瑠璃に対して、武である佑樹は以前に瑠璃とした約束を守るために、瑠璃には内緒で水沢にある頼み事をするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先日、同じ相武紗季が主演する『NECK』を観たばかりだが、あの真山杉奈とこの作品の佐藤瑠璃は全く別人で、最初は「あれ?これが相武紗季??」と目を疑ったほどだ。そして、どちらの彼女が好みかといえば、間違いなくこの作品の佐藤瑠璃の方に軍配が上がる。会社の同僚に相武紗季のファンがいるのだが、最初は「相武紗季のどこがいいんだ?」なんて思っていた私も立て続けに『NECK』とこの作品を観て、彼の気持ちが初めてわかるような気がした。
 相武紗季もいいし、塚本高史も市川亀治郎もいい・・・・・とここまで言えば次に何が言いたいかおおかたの察しはつくだろうが、眞木大輔がどうしてもダメ。生理的に受け入れられないのだ。そもそも「みんなでやれば怖くない」的なEXILEのノリが大嫌いだし、あのロン毛も髭もうざったくて仕方ない。これで演技が抜群に上手ければ許せるのだが、この作品では周りが演技達者ばかりのために完全に浮いて見える。
 この作品でのキー・ポイントは主人公・佐藤瑠璃と塚本高史扮する田中武の関係にあるのだが、この点に関しては異議アリ。瑠璃は作品中で武のことを自分を支えてくれる「友達」と語っているが、相手のことが好きで誰よりも理解していて、それが異性であれば恋愛にならないわけがない。もしもそんな異性に恋愛感情を抱かないならば、自分をごまかしているか、心理学で言うところの「昇華」作用か、さもなければ精神に異常を来しているかのいずれかに他ならないと断言したい。
 それが証拠に、武を失った瑠璃の心には消せない傷跡が深く残っている。おそらく、婚約した水沢が亡くなったとしても、武の場合ほどの深傷を負うことはなかっただろう。だからこそ、武の意識が乗り移ったという槇原佑樹が余計に信じられず、異常に強い警戒心を抱いてしまったのだ。末期癌に冒されてすでに死んでいても不思議じゃない佑樹が、死期が迫っている者とは思えないほどの活力を得たのも、すべては武が瑠璃と交わした約束を果たすため。目的を遂げた武は思い残すこともなかっただろうが、肝心の佑樹の意識はどうなったのだろうか・・・・・?暑苦しいマキダイが出演しているにもかかわらず、全編を通して透明感のある清々しい作品に仕上がっていた。