評     価  

 
       
File No. 1277  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年07月24日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ルーベン・フライシャー  
       
上 映 時 間   87分  
       
公開時コピー   目指せ、奴らのいない夢の遊園地へ
32のルールを駆使して生き残れ!!
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ジェシー・アイゼンバーグ [as コロンバス]
ウディ・ハレルソン [as タラハシー]
エマ・ストーン [as ウィチタ]
アビゲイル・ブレスリン [as リトル・ロック]
アンバー・ハード [as 406号]
ビル・マーレイ [as ビル・マーレイ]
 
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あ ら す じ    謎の新型ウイルスに感染した人間がゾンビ化して次々と人間を襲い、襲われた人間もウイルスに感染してさらに人間を襲う。パンデミックを引き起こしたそのウイルスは全世界へと蔓延し、アメリカも今やゾンビランド合衆国と化していた。引きこもりの大学生・コロンバスは、人と会うことを好まない性格に加えて、自らに課した“生き延びるための32のルール”のお陰で、ゾンビランドで生き延びることができたのだった。彼はコロンバス州オハイオに住む両親に会うために旅に出て、途中でゾンビを心底憎みゾンビを退治することを楽しむワイルドな男・タラハシーと出会う。
 タラハシーは通りがかりのスーパーや雑貨店で、大好物の菓子トゥインキーを見つけ出すことに執念を燃やしており、2人が詐欺師の姉妹・ウィチタリトル・ロックと出会ったのも、立ち寄った大型スーパーでトゥインキーを探している最中だった。姉のウィチタは、妹のリトル・ロックがゾンビに噛まれたから射殺すると言う。ところが、タラハシーから銃を借り受けると、ウィチタはその銃で2人を威嚇して車を奪い妹と一緒に逃げ去ってしまった。リトル・ロックが噛まれたというのは嘘で、2人は完全に騙されたのだった。
 仕方なく新たに車を物色する2人は、気に入った車を見つけて再び走り出すと、姉妹に奪われた車を発見する。そして、4人は1台の車に乗って行動を共にすることとなった。ウィチタからオハイオがすでに廃墟と化していることを知らされたコロンバスも、両親に会うことを諦め、タラハシーと共に姉妹が目指しているロスへと向かうこととなった。ロス郊外には、ゾンビがいないと噂される遊園地パシフィック・ランドがあり、姉妹の目的地もそこだった。のだ。
 4人は道中でビバリーヒルズにあるハリウッド・スターの豪邸でしばしの休息をとることにし、彼らが選んで入ったのはビル・マーレイの豪邸だった。4人は今までのゾンビとの死闘を忘れて数日を過ごすが、ある朝またもや姉妹が2人を置き去りにしてパシフィック・ランドへ向かってしまった。タラハシーとコロンバスもすぐにビルの車で姉妹を追ってパシフィック・ランドへと急ぐのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    全米でゾンビ映画史上最大のヒットを記録した作品。7月24日の公開だが、メイン館であるヒューマントラストシネマ渋谷は苦手な劇場のため、地元のシネコンでの公開を待つこと2ヶ月、やっと観ることができた。この作品を観たかった最大の理由はアビゲイル・ブレスリンの存在にあるのだが、2ヶ月待った甲斐があって、アビゲイルを抜きにしても期待した以上の面白さだった。ゾンビ映画なのに、なぜか後味も晴れ晴れとして気持ちよく、もう一度劇場へ行ってみたい気がしている。
 ゾンビ映画なのだから、当然グロいシーンもある。けれどもそれは、ゾンビランド合衆国と化したアメリカで生き延びるために、コロンバスが自らに課した“32のルール”が紹介される前半の導入部に集中しているため、このジャンルの作品としては極めてグロさが低レベルに抑えられている。また、何人かいる仲間がひとりずつゾンビに襲われて味方が徐々に減っていくというのが通例だが、この作品では主人公の4人が最後まで無事だというのも異例だ。
 ゾンビを殺すことに無情の喜びを覚えるという、ウディ・ハレルソン扮するタラハシー(もちろん仮名。ちなみに、この作品の登場人物の名は唯一ビル・マーレイを除いてすべて仮名で通している。)のテンションが最高。特に、遊園地で大勢のゾンビに取り囲まれての二丁拳銃の銃捌きがカッコイイ。無愛想な硬骨漢なのに、トゥインキーに目がないという子供のような一面を持つそのギャップが気に入った。
 そんなタラハシーとは好対照で、典型的な草食系男子のコロンバス。“32のルール”のお陰で生き延びることができたが、その反面ルールに縛られて身動きできなくなっているところがあり、そんな殻を打ち破って成長する過程が巧く作品に取り込まれている。まったく、ゾンビ映画でそういう描写までやってのけるとは恐れ入った。ウィチタとの恋の成り行きからも目が離せない。
 そして、エマ・ストーン扮するウィチタとアビゲイル・ブレスリン扮するリトル・ロックの美人詐欺師姉妹。タラハシーとコロンバスの2人を何度も騙して出し抜くんだけど、どこか憎めない(決して美人だからという理由ではない・・・・・かな?)。久しぶりに観たアビゲイルは、演技の上手さは言うまでもなく、また一段と可愛くなった気がするのは嬉しい限りだ。このまま真っ直ぐに女優として大成して欲しいものだ。
 4人がハリウッドでビル・マーレイの豪邸に寝泊まりするのだが、まさかそこでビル・マーレイ本人が登場するとは、4人も驚いただろうが、観ていた私の方がもっと驚いた。しかも、ずっとゾンビのメイクのままで。大したコトをしていないのに観る者の目を釘付けにする貫禄はさすが。「ヴァン・ヘイレンを見た。ゾンビだった」には吹き出しそうになったが、意外と場内は静まりかえったままだったので我慢。そのビルが、コロンバスとリトル・ロックを驚かせようとしてゾンビの真似をして、コロンバスに撃たれてしまうシーンには笑っていいんだか悲しんでいいんだか、ひじょーに複雑な心境だった。