評     価  

 
       
File No. 1283  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年09月25日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   鴻上 尚史  
       
上 映 時 間   106分  
       
公開時コピー   「先生、お願いですからシナリオを書いてください。」
「じゃあ、私と、恋に落ちて」
はじまりは、強制恋愛だった・・・。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   深田 恭子 [as 谷山真由美]
椎名 桔平 [as 向井正也]
塚本 高史 [as 柳原恭一郎]
中村 雅俊 [as 中村敏正]
先島 昭子 [as 清水美沙]
西村 雅彦 [as 蒲生利夫]
井上 順 [as 中川康博]
 
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あ ら す じ    関東テレビが社運を賭けたドラマの脚本を担当することとなった、人気脚本家の谷山真由美。そんな彼女の担当プロデューサーを急遽引き継ぐこととなったのは、2日前に資料整理などの雑用係から制作局に配属になったばかりの向井正也だった。早速向井は谷山がカンヅメになっているホテルのスウィートを訪ねると、脚本はまだ一行も書けていないのにもかかわらず、いきなり谷山は向井を遊園地に連れ出す。このままではいけない、と意を決した向井は谷山に、「先生にシナリオを書いてもらうためなら何でもしますから」と宣言すると、谷山は待ってましたとばかりにこう返した。「じゃあ、私と恋に落ちて。私は恋をしないと書けない脚本家なの」。
 やっとの事で1枚目の原稿を書き上げて、谷山は向井に差し出す。しかし、その内容は関東テレビが発表した「人気女流作家の華麗な恋物語」ではなく、生活に疲れた主婦の物語だった。向井は谷山に書き直しを求めると、谷山は逆ギレを起こしてしまう。スポンサーであるピュアハート化粧品の意向を第一に考える向井と、スポンサーなどは眼中になくただ新しい脚本を書きたいと言い張る谷山の溝は埋まることが亡く、筆も遅々として進まない。そんな状況を知った編成部の部長・先島昭子は、谷山の恋の相手として部下の柳原恭一郎を送り込むと同時に、谷山には内緒で新人脚本家にシナリオを書かせるのだった。
 一方、関東テレビ・営業局でも、局長の蒲生利夫がピュアハート化粧品・宣伝部長の中村敏正の前でいい顔をした手前放ってはおけず、密かに谷山のゴーストライターとなる脚本家を探し始める。そんな中、谷山は自分の能力に限界を感じて半ば諦めかけていた。けれども、ただ一人自分を信じてくれる向井の後押しを受けて、遅まきながら脚本に真剣に取り組み始める。脚本のプレゼンまで残すところあと1日、果たして彼女は向井の期待に応える脚本を書き上げることができるのだろうか?また、ギリギリの状況に追い込まれながらなお向井を信じて動こうとしない、制作局のドラマ部長・中川康博の思惑は・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    最初にお詫びしておきたいのは、この作品に採用したチラシのスキャン画像なのだが、実は作品のタイトル『恋愛戯曲』が書かれている面に載っているのは深キョンではなく椎名桔平の顔で、どう考えても椎名桔平より深キョンの方が見栄えがいいために、2人の顔をすり替えてしまったのだ。だから、実際にチラシを見てもポスターを見ても、上に載せたような画像は存在しないので、その点はあしからず。
 実は私は深キョンが主演の映画を観るのはこれが初めてで(主演以外では『陰陽師II』と『犬神家の一族』がある)、期待と不安が混じりつつ望んだ作品だったが、昨日の『ラブコメ』に勝るとも劣らない出来のラブコメだった。深キョンが演じるのは恋をしないと脚本を書けないというワガママな人気脚本家なのだが、『富豪刑事』といいこういう役柄が彼女には本当にハマリ役だ。
 それにしても、今までの私のパターンからすると、この作品の感想でもまず最初に「深キョンがとにかく可愛い」なんて書きそうなものなのだが、なぜそんな気になれないのかが自分でも不思議。彼女が可愛いのは間違いなく、1998年の金城武と共演したドラマ『神様、もう少しだけ』で当時15歳の彼女を初めて観て以来、12年という時間が経過しているにもかかわらず、当時のままの若さでさらに美しさだけが増したようにしか思えないのは驚き。もしも目の前に彼女がいたならば、私だったら頼まれなくても恋に落ちてしまうだろう(笑)。
 なのに、だ。前日の内山理名のようには深キョンを積極的に好きになることができないのだ。多分、私が内山理名を好きな理由は、彼女が見せる表情の豊かさにあって、深キョンの可愛さは例えるならば静止画の可愛さとでも言うべきだろうか、その違いからくるのだと思っている。
 谷山に振り回されながらも、次第に彼女を理解して後押しするようになる、そんな向井の気持ちの変化を演じ切った椎名桔平はさすが。最近は最近は本当によく見かける塚本高史、狡猾な営業局長・蒲生を演じた西村雅彦。抜け目のない編成部長・先島役の清水美沙。そして、どこかトボケた中にも向井を信頼する強い信念を持つ、井上順扮する中川。彼らが周囲を固めたからこそ、深キョンの演技も生きてくるというものだ。
 ラストシーンで「また私と仕事をして」と持ちかける谷山に対して、向井が提示した条件は絶対にこれしかないという予想通りのフレーズで、見事エンディングが締めくくられているのも印象的だった。