評     価  

 
       
File No. 1284  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2010年09月25日  
       
製  作  国   ド イ ツ / フランス / カ ナ ダ  
       
監      督   ジル・ブルドス  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   遠く遠く愛を探して、
いま君へと帰り着く。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ロマン・デュリス [as ネイサン]
ジョン・マルコヴィッチ [as ケイ]
エヴァンジェリン・リリー [as クレア]
リース・トンプソン [as ジェレミー]
グレンダ・ブラガンザ [as レイチェル]
サリー・テイラー=イシャーウッド [as ジェニファー]
パスカル・ビュシエール [as アンナ]
サラ・ウェイスグラス [as トレーシー]
ブリュノ・ヴェルドニー [as 医師]
 
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あ ら す じ    水辺で遊ぶ少年と少女。ところが、少女が誤って水に転落してしまい、少年は助けを求めに走り出した。そして、道に飛び出したところへ運悪く車が走ってきて、少年は瀕死の重傷を負ってしまった。しかし、一度は死んだはずだった少年は奇跡的に命を取り留めた。そんな少年に質問をする医師。少年は、自分の体が白い光に包まれるのを見て、自分が死んだことを知ったという。
 ニューヨーク。敏腕弁護士のネイサンは、幼い息子を突然の病で亡くして以来、妻クレアや娘に対して心を閉ざし、別居生活を送っていた。そんなある日、彼は人の死が見えるという医師・ケイと出会う。最初はケイの話が信じられなかったネイサンだったが、ケイが予告した人間が次々と死んでいくのを目の当たりにし、ケイの言葉を信じざるを得なくなっていった。
 そんなケイが自分の前に現れた意味、それは自分にも死が訪れようとしていることだと悟ったネイサンは、仕事を放り出してニューメキシコに住むクレアと娘の元へと走った。死を目前にして、何が自分にとって最も大事であるか気づいたのだった。そんなネイサンをクレアは受け入れ、家族は息子を失って以来初めて幸せな生活を手に入れることができた。しかしやがてネイサンは、衝撃の真実を目の当たりにし、同時にケイが自分の前に現れた真の理由を知ることになるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    まずまず無難な出来、とでも言ったところだろうか。死期が訪れた人がわかり、その人が穏やかに死を受け入れられるよう心のケアをするという“メッセンジャー”の、ジョン・マルコヴィッチ(この人、最近ますます顔が人間離れしてきている気がする・・・)扮する医師のケイとの出会いから物語が展開していく。そして、ケイ医師が自分に接触してきた理由が、自分に死期が訪れていることだとネイサンは察する。ここで、一つ疑問が湧き上がってくる。「あれ?ネイサンも人の死が見えるんじゃないのかな?」と。結局、その疑問がラストで大きな意味を持ってくることがわかったのだが、これ以上はネタバレになるので伏せておきたい。
 劇中に語られているように、人はだれもが「今生きている」ことがいかに貴重なことであるかを忘れている。そして、自分にもいつかは必ず死が訪れることを、普段は意識していない。だから、ついつい楽な方へと、無為に人生を送ってしまいがちになる。人生で本当に大切なのは仕事なのか・・・・・?もちろん「否」だ。自らに死期が訪れていることを受け入れたネイサンはやっとそのことに気づき、だから仕事を放り出して妻と娘と一緒に過ごすことを決意したのだ。人は誰も、自分一人きりで生きていくことはできない、だからどんな人とどう触れ合ってきたが、それがその人の生きてきた証であり価値だと言っていい。ネイサンも遅きに失した感はあるものの、最後に最も大切なことを思い出したのだ。
 これで話は終わりかというと、そうは問屋が卸さない。最後にどんでん返しが待っているのだ。そして、その仕掛けに気づくヒントが、前述の「疑問」だったのだ。そしてもうひとつ、ジョン・マルコヴィッチの演技にも注目。ネイサンがケイ医師は自分の死を告げるために接触してきた、そうネイサンが悟ったシーンを後から思い出してみると、ネイサンと共に観ている自分も同じ陥穽に陥っていたことを知るだろう。そして、“メッセンジャー”の本当の意味と、ケイ医師がネイサンに接触してきた本当の意味が初めてそこでわかるようになっている。切ない余韻を残すラストシーンが印象的な作品だった。