評     価  

 
       
File No. 1289  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年10月01日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   金子 文紀  
       
上 映 時 間   116分  
       
公開時コピー   将軍は女、
仕えるは美しき男たち三千人
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   二宮 和也 [as 水野祐之進]
柴咲 コウ [as 徳川吉宗]
堀北 真希 [as お信]
大倉 忠義 [as 鶴岡]
中村 蒼 [as 垣添]
玉木 宏 [as 松島]
倍賞 美津子 [as 水野頼宣(祐之進の母)]
竹脇 無我 [as 祐の進の父]
和久井 映見 [as 加納久通]
阿部 サダヲ [as 杉下]
佐々木 蔵之介 [as 藤波]
細田 よしひこ [as 瀬川]
竹財 輝之助 [as 白河]
松島 庄汰 [as 柏木]
ムロツヨシ [as 副島]
崎本 大海 [as 山元]
三上 真史 [as 石塚]
金子 ノブアキ [as 三郎左]
白羽 ゆり [as 水野志乃]
田上 晃吉 [as 三田村]
宍戸 美和公 [as 八重]
浅野 和之 [as 御伽坊主]
板谷 由夏 [as 大岡忠相]
菊川 怜 [as 間部詮房]
 
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あ ら す じ    江戸時代中期、七代将軍徳川家継の治世。男だけが死に至るという謎の疫病・赤面疱瘡が日本中に蔓延し、男の数が女の4分の1以下となっていた。武術に優れた青年水野祐之進は、幼なじみで大問屋の娘であるお信に叶わない恋心を抱いていた。しかし祐之進は困窮した旗本である家を救うため、大奥に奉公することを決意した。
 大奥に出仕した水野は、将軍にお目見え可能な御中臈の中でも切れ者の松島に仕えることとなった。そしてある日、大奥の最高権力者である総取締役・藤波の目にとまった水野は、大奥一腕の立つ鶴岡と立ち会い、見事鶴岡を打ち負かす。そして、そのことで藤波に気に入られた水野は、一気に松島と同じ御中臈への昇進を果たした。
 その頃、七代将軍家継は幼くしてこの世を去り、紀州の徳川吉宗後継者として八代将軍の座に就いた。知性に富み男勝りの性格の吉宗は幕政の抜本的な改革に着手し、その波は大奥にまで及ぶこととなった。そんな吉宗が初めて大奥にお目見えする総触れで、水野は吉宗の目に留まり、吉宗の初めての夜伽の相手を務めることになるのだが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    何から何まであり得ない設定のあり得ない作品。そもそも、謎の疫病(赤面疱瘡)で男だけが激減して男女が逆転というのが根本から間違っている。決して男尊女卑の考え方を信奉するわけではないが、男の人数が女の4分の1になったとしたら、需要と供給の関係からいっても男の価値がますます高まって、男尊女卑に拍車がかかり、一夫多妻制は当たり前になることは必至。数少ない男である将軍を筆頭に、大奥にはさらに大勢の女性が押しかけるというのが自然の法則というものだろう。
 時代設定が享保年間というのも微妙で、八代将軍・徳川吉宗の治世、そして吉宗といえば言うまでもなくあの「暴れん坊将軍」であり、あのマツケン(松山ケンイチではない・・・・って当たり前か ^-^;)が他の誰も演じられないような強烈なイメージを定着させた役柄で、それを演じるのが女性の中でも小柄な柴咲コウでは、いくら台詞に迫力を込めても見劣りするのは当然だ。ただ、柴咲扮する吉宗が公儀お庭番を連れて忍びで江戸の町中を視察するなどというあり得ない設定が、暴れん坊将軍のおかげで違和感を感じることがなく、その辺りの効果を狙って吉宗の時代が背景に選ばれたのかもしれない。余談だが、この当時は天皇ではなく将軍の交代によって改元が行われており、享保時代は吉宗の将軍就任から始まった。しかし、以後は幕府の力が衰退したために、これが最後の将軍交代による改元となったとのこと。
 私は今まで俳優という仕事を羨ましく思っていたが、この作品に限っては絶対に俳優にはなりたくないと感じた。玉木宏扮する松島と大倉忠義扮する鶴岡のシーンはまだしも、玉木宏と佐々木蔵之介のシーンや、二宮和也と中村蒼のキスシーンなどはついつい目を覆いたくなるし、もし自分が俳優だったら絶対に演じたくない(笑)。そして、あまりに前半の大奥描写に時間を費やし過ぎたために、肝心のクライマックスがおざなりに描かれているように感じるのは残念だ。しかも、ラストの結末は全くの予想通りで何の意外性もなかった。そんな中、杉下に扮する阿部サダヲの、観る者の共感を誘うような真摯な演技が光っていた。