評     価  

 
       
File No. 1291  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年09月25日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   三池 崇史  
       
上 映 時 間   141分  
       
公開時コピー   命を、燃やせ。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   役所 広司 [as 島田新左衛門]
山田 孝之 [as 島田新六郎]
伊勢谷 友介 [as 木賀小弥太]
沢村 一樹 [as 三橋軍次郎]
古田 新太 [as 佐原平蔵]
高岡 蒼甫 [as 日置八十吉]
六角 精児 [as 大竹茂助]
浪岡 一喜 [as 石塚利平]
石垣 佑磨 [as 樋口源内]
近藤 公園 [as 堀井弥八]
窪田 正孝 [as 小倉庄次郎]
伊原 剛志 [as 平山九十郎]
松方 弘樹 [as 倉永左平太]
吹石 一恵 [as お艶]
谷村 美月 [as 牧野千世]
斎藤 工 [as 牧野采女]
阿部 進之介 [as 出口源四郎]
内野 聖陽 [as 間宮図書]
光石 研 [as 浅川十太夫]
岸部 一徳 [as 三州屋徳兵衛]
平 幹二朗 [as 土井大炊頭利位]
松本 幸四郎 [as 牧野靱負]
稲垣 吾郎 [as 松平左兵衛督斉韶]
市村 正親 [as 鬼頭半兵衛]
 
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あ ら す じ    江戸時代末期。明石藩江戸家老・間宮図書が、老中・土井大炊頭利位邸の門前で割腹自殺した。彼は、明石藩主・松平左兵衛督斉韶の、罪もない民衆に対して理不尽な殺戮を繰り返す暴君ぶりを諫める訴状を携えていた。斉韶は翌年には老中への昇進が決まっており、彼が幕閣に加わるようなことになれば、幕府ひいては日本の存亡に関わると考えた土井は、ついに暗殺を決意し、御目付役・島田新左衛門を呼び寄せた。
 土井邸に招かれた新左衛門は、尾張藩の木曽上松御陣屋詰・牧野靱負に引き合わせられる。そして牧野は新左衛門に、何の落ち度もない息子・牧野采女とその嫁・千世を斉韶に惨殺された無念を語った。そしてさらに、斉韶によって両腕両脚を切断され舌をも抜かれ、家族を皆殺しにされたという哀れな女を目の当たりにして、これ以上罪のない犠牲者を増やさないためにも、斉韶暗殺という土井の命を受けることを決心した。
 新左衛門は、大事を決行するための刺客を集め始める。彼を慕い道場に通う剣豪の浪人・平山九十郎、御徒目付組頭・倉永左平太、御小人目付組頭・三橋軍次郎とその配下、槍の使い手の素浪人・佐原平蔵、そして酒と博打に明け暮れる新左衛門の甥・島田新六郎も加わり、総勢十二名の剣客が集まった。事は内密に運ばれたものの、新左衛門の動きはかつて彼と剣の同門であった明石藩御用人千石・鬼頭半兵衛に察知されていた。こうして、新左衛門と半兵衛の謀略戦は始まった。
 斉韶襲撃は江戸から明石への参勤交代の道中しかないと考えた新左衛門は、斉韶の性格も考慮した上で交通の要所となる落合宿を襲撃の場に決定する。そしてそのために、尾張藩領内の斉韶の通行を阻止するため、牧野靱負に協力を依頼した。そして、落合宿を丸ごと買い取るために三橋らを先陣として送り込み、追って新左衛門らも落合宿へと向かった。道中で、山道の案内役を頼んだ山の民・木賀小弥太も仲間に加わり、総勢十三名となった新左衛門たちは、落合宿で斉韶一行を迎え撃つための準備を粛々と進めるのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    1963年に公開された同名作品を、三池崇史監督が豪華キャストでリメイクした作品。141分という尺を全く長いと感じさせない圧倒的な迫力、そして、ひたすら血みどろの殺戮・・・・・いかにも三池ワールド炸裂といった作品だが、決して悪くなかった。というより、かなり良かった。そう思った最大の理由は、SMAPではいじられ役に回ることが多い稲垣吾郎の予想外の熱演で、ハッキリ言って観る前までは彼のこれほどに見事な演技にお目にかかれるなどとは夢にも思っていなかった。
 稲垣吾郎が武士に扮するのを観るのはこれが初めてだが、あれほど髷の鬘が似合うとは思わなかったし、むしろあの鬘を着けた方が顔が精悍に見える。そんな彼が演じたのは稀代の暴君・斉韶で、人を殺めることに微塵のためらいも後悔もないその究極ともいえる冷酷さが、普段の彼からは想像がつかない。そんな物事に全く動じない冷淡そのものの斉韶が、ラストでは初めて死に向かう者の気持ちを知り、「怖い、怖い」と怯える様子がまた真に迫っていて凄い。
 役所広司の演技については今更言うまでもないが、松方弘樹の貫禄もさすが。また、役所演じる島田新左衛門彼と敵対して不本意ながらも斉韶を守る立場に立つ、市村正親扮する鬼頭半兵衛の迫力は満点。ラストでの新左衛門との一騎打ちは、もうちょっと時間をかけてじっくりと見たかったものだ。