評     価  

 
       
File No. 1294  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年10月09日  
       
製  作  国   ポルトガル / スペイン / フランス  
       
監      督   マノエル・デ・オリヴェイラ  
       
上 映 時 間   64分  
       
公開時コピー   妻にも友にも言えないような話は 見知らぬ人に話すべし  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   リカルド・トレパ [as マカリオ]
カタリナ・ヴァレンシュタイン [as ルイザ]
ディオゴ・ドリア [as フランシスコ]
ジュリア・ブイセル [as ヴィラサ夫人]
レオノール・シルヴェイラ
 
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あ ら す じ    リスボン発の長距離列車の車内。マカリオは隣の席に乗り合わせた見知らぬ婦人に、自分の身の上に起きた事件を語り始める。会計士であるマカリオは、叔父フランシスコがリスボンで経営する高級洋品店の2階で仕事をしていた。すると、ベランダ越しの向かいの部屋の窓に、中国風の扇を手にした美しいブロンドの少女ルイザの姿があった。そしてその過激なまでの美しさに、マカリオは恋に落ちたのだった。
 それからしばらくたったある日、少女が母親と共に店に訪れたのを2階から見たマカリオは、慌てて階下の店舗へと階段を駆け下りてしばらくの間少女に見とれていた。そんなマカリオをフランシスコは厳しく叱る。そしてまたある日、通りを歩く男が向かいの家の母親に親しく挨拶しているのを見た。その男は友人で、マカリオは彼から向かいの母娘に紹介してもらえると喜んだ。早速会員制のサロンへとその友人を訪ねたマカリオは、母親の名はヴィラサ夫人で良家の出であることを聞き、紹介してもらえるよう頼み込んだ。
 土曜の夜。マカリオは公証人の邸宅での集いでルイザと一緒の時を過ごす。そしてヴィラサ夫人宅での集いに招かれたマカリオは、夫人にルイザへの思いを打ち明けた。けれども、叔父にルイザとの結婚許しを求めると、フランシスコは激昂して反対し、それを聞き入れようとしないマカリオは仕事をクビになってしまう。ルイザと結婚したくても無一文のマカリオにはなすすべがなく、知人からアフリカのカーボヴェルデに行って働く男を探しているという話を耳にすると、マカリオは即座にその話を引き受ける。仕事は過酷だが報酬も高額で、たちまち一財産を築いたマカリオはリスボンに戻るのだった。
 リスボンに戻ったマカリオは、早速ヴィラサ夫人を訪ね、晴れてルイザとの結婚の許しを得た。そこまでの話を聞いた列車の夫人は彼に「それはよかったこと」と祝福の言葉を返した。が、マカリオは浮かない表情で応えた。「それがそうでもなかったんです」と。果たしてこの後、マカリオとルイザの間に一体何が起こったのか。マカリオはさらに語り続けた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    日本での劇場公開に際しては、本編上映前にジャン=リュック・ゴダール監督の短編『シャルロットとジュール』が併映される。そこでは、女性に話す暇を与えずに次から次へとロベルト・ベニーニのように言葉の速射砲よろしく喋り続ける男に、いきなり眠気を催してしまった。ただひたすら喋るその内容は同じ事の繰り返しで正直退屈、それに対するラストでの女の一言に男のすべてがもろくも崩れ去るのはちょっと小気味が良かった。
 その後やっと始まった本編だが、タイトルに『ブロンド少女は過激に美しく』とあるのは、正直『ブロンド少女は普通に美しく』じゃないの?と感じずにはいられなかった。確かに、ブロンド少女のルイザを演じたカタリナ・ヴァレンシュタインは美人には違いないが、かと言ってスカーレット・ヨハンソンのように誰が観ても目を惹くような抜群の美人ではない。その時点で私はさらなる眠気に襲われてしまった。
 20世紀の古き良き時代の作品といった趣を呈するこの作品、悪く言えばあまりに淡々とし過ぎていて盛り上がりに欠けると言えなくもない。ただ、淡々と進む中にもラストへ向けての布石が着実に埋め込まれていて、ラストシーンでの思わぬ結末には、薄々予期していたこととはいえ唸らされることになる。「綺麗な花にはトゲがある」とでも言うべきだろうか。