評     価  

 
       
File No. 1296  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年10月16日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中田 秀夫  
       
上 映 時 間   107分  
       
公開時コピー   死ぬか、稼ぐか。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   藤原 竜也 [as 結城理久彦]
綾瀬 はるか [as 須和名祥子]
石原 さとみ [as 関水美夜]
阿部 力 [as 大迫雄大]
武田 真治 [as 岩井荘助]
平山 あや [as 橘若菜]
石井 正則 [as 西野宗広]
大野 拓朗 [as 真木雪人]
片平 なぎさ [as 渕佐和子]
北大路 欣也 [as 安東吉也]
 
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あ ら す じ    フリーターの青年・結城理久彦は、コンビニで元OLの美しい女性須和名祥子から声をかけられ、11万2千円という法外な時給のバイトについて相談を受けた。そして、高額な報酬以上に祥子に興味を持った理久彦は、リムジンに乗せられて他の参加者と共にバイトの実験が行われる暗鬼観という名の施設へとやって来た。参加者は理久彦、祥子の他に、会社が倒産した元社長の安東吉也、専業主婦の渕佐和子、無口で経歴不明の岩井荘助、会社をリストラされた西野宗広、研修医の大迫雄大、ネイリストで大迫との結婚を夢見る橘若菜、Webデザイナーの関水美夜、そして大学生の真木雪人の計10名だった。
 バイトの内容は、7日間にわたる心理学の実験に参加することで、ここで体験する不穏当かつ非倫理的な事件を解決するだけだった。事件が発生したら誰かが「探偵」となって犯人を推理し、全員の多数決で犯人を決定し、犯人とされた者は監獄へ投獄されるという。そして、夜の就寝時間を過ぎたら絶対に部屋を出ないこと、もしも部屋を出たのが見つかったら“排除”されるというのがルールだった。
 二日目の朝、早くも「非倫理的な事件」は起こった。西野が体中に銃弾を撃ち込まれた死体となって発見されたのだ。探偵役を買って出た大迫は岩井が犯人だと推理し、多数決の結果賛成多数で岩井は有無を言わさずに投獄されてしまった。そして、探偵のみならず犯人までもボーナスとして報酬が倍額になるとアナウンスされた。それは金欲しさに殺人を犯せば報酬が倍増することを意味し、そんな欲望を助長するかのように各自の個室には様々な凶器がひとつずつ配置されていたのだった。
 三日目以降も一人また一人と命を落とす者が続出する中、理久彦はこの実験の裏に隠された驚くべき秘密に気がつく。その時点での生存者は理久彦、祥子、そして安東のわずか3名だけ。そして迎えた最終日の朝、何が何でも生き残ると誓ったはずの安東が遺体となって発見された。それを見て驚愕する理久彦に襲いかかってきたのは、監獄に監禁されていたはずの岩井だった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ホリプロ50周年を記念した作品で、出演者全員(もちろん、北大路欣也も片平なぎさも)がホリプロ所属タレントというのには驚いた。それと、どうでもいい話だけど、登場する女優が綾瀬はるか、石原さとみ、平山あや、片平なぎさと全員が名前が平仮名というのは何か意図があってのことなのか・・・・・そんなワケないよね(^-^;)。作品の雰囲気は、先日の江川達也監督の『KING GAME』に非常によく似ている。何をするのかわからないままに集められた男女が、ひとつの殺人をきっかけに疑心暗鬼に陥り、やがては殺し合いに及んでしまうというものだが、当然のことながら『KING GAME』と違い脚本の骨子がしっかりしている分楽しめる。ただ、現実に殺人が行われた様子をインターネットで配信なんてしたら、当然警察が動かないワケはなく、そんな実験が何度も行われるとは到底思えないのだが。
 この作品の最大の魅力は、(私にとってだけかもしれないが)綾瀬はるかと石原さとみが同一の作品で共演している点で、個人的にはこれは絶対に見逃すわけにはいかないのだ(笑)。そんな美女2人と共演できる藤原竜也、羨まし過ぎるぞ、このヤロー(笑)。冗談はさておいて、この手の作品では最も怪しいのは最も意外な人物というのがセオリーで、その意味では綾瀬はるか扮する須和名祥子が実はすべての事件の黒幕だと私は予想していた。そして、そんな私の予想は見事に大ハズレに終わってしまった。けれども、別の意味で彼女は重要なキー・パーソンであることがわかり、あながち私の予想も見当外れではなかったようだ(←自己弁護)。もうひとりのお目当て・石原さとみは、あの可愛い笑顔を封印して、憂いのある表情の中に潜む悪意を上手く演じていた。こういう役柄でも、彼女のポッテリとした唇は相変わらず魅力的だ。そんな彼女の秘密を見破った、片平なぎさ扮する渕佐和子のプロファイリングはなかなか大したもので、単なる推理小説マニアの域を超えている。
 素性が不明で最も怪しい男・岩井が一番最初に犯人に仕立て上げられ、監獄へ投獄されてしまい出番が終わったかに見えたのは意外だったが、さすが武田真治が演じる役柄だけあって一筋縄ではいかず、後になってその本性を剥き出しにしてくる。熱の入った怪演はさすがだね。結局こういうシチュエーションでは、むしろ臆病な小心者の方が最後まで生き残ることができるのかもしれない。ただ、北大路欣也扮する安東の最終日のあの行為だけは、確かに何が何でも生き残ると言ったとはいえ、単に展開を複雑にしているだけで他に意味もなく、どうにも理解しかねるものではあった。