評 価
File No.
1298
製作年 / 公開日
2010年 / 2010年10月22日
製 作 国
日 本
監 督
廣木 隆一
上 映 時 間
133分
公開時コピー
女は、恋さえ知らなかった。
男は、愛など信じなかった。
美しくも奇妙なその桜が、二人の運命を変えた。
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
岡田 将生
[as 清水斉道]
蒼井 優
[as 雷/遊]
小出 恵介
[as 瀬田助次郎]
柄本 明
[as 榎戸角之進]
時任 三郎
[as 田中理右衛門]
宮崎 美子
[as たえ]
和田 聰宏
[as 瀬田助太郎]
須藤 理彩
[as お初]
若葉 竜也
[as 榊原秀之助]
忍成 修吾
[as 今泉鉄之助]
村上 淳
[as 鹿内六郎太]
高良 健吾
[as 友蔵]
柄本 佑
[as 茂次]
大杉 漣
[as 高山仙之介]
ベンガル
[as 早坂門之助]
池畑 慎之介
[as 田所文之進]
板東 三津五郎
[as 徳川家斉]
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あ ら す じ
第11大将軍・
徳川家斉
の治世。将軍家に生まれた
清水斉道
は、幼い頃に母から受けた仕打ちがトラウマとなり、心の病を抱えながら孤独な日々を送っていた。ある日、御用人の
榎戸角之進
から命じられて新たに斉道の側に仕えることとなった
瀬田助次郎
は、夜中に眠ることができない斉道に命じられ、自分の故郷の話を始めた。その話の中で斉道は、助次郎の故郷の山には天狗がいるというくだりに興味を示した。そんな折、斉道の療養先として瀬田の故郷が選ばれ、一行は瀬田の兄夫婦
助太郎
と
お初
、それに母親の
たえ
が迎える庄屋宅で逗留することとなった。
道すがら斉道は、榎戸らの制止を振り切って天狗が棲むという山に馬で分け入った。そこで出会ったのは、山で父・
田中理右衛門
と2人で炭焼きを営んで秘かに暮らしていた少女・
雷
に出会う。村に戻り女天狗に出会ったと話す斉道に助次郎は、その女天狗は20年前に拐かしに遭った自分の妹・
遊
に違いないと言う。一方、雷に真実を打ち明ける時期が訪れたと悟った理右衛門は、20年前に庄屋の家から雷を拐かしたこと、そして本当の名は遊であることを教えたうえ、自分の元を離れて里に戻って暮らすよう命じるのだった。そして、自分の話を信じようとしない雷に理右衛門は、2人が暮らしていた炭焼き小屋に火を付け、自らは雷の前から姿を消してしまうのだった。
こうして雷は遊に戻り、斉道が逗留する庄屋の邸に戻らざるを得なくなった。山に行きたがる遊に斉道は山を案内するよう命じ、2人はその後山で一緒に時を過ごすようになる。山の暮らししか知らず、身分など関係なしに真っ直ぐに自分に接してくれる遊といる時だけ、自分がありのままでいられることに安らぎを覚える斉道。やがて2人はごく自然に互いに恋心を抱くようになる。けれども斉道に御三家の一つ・紀伊へ藩主として赴くよう、将軍家斉から直々に命じられてしまう・・・・・。
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たぴおか的コメント
岡田将生の時代劇主演に一抹の不安を抱きながら劇場へと向かった作品だったが、その不安は予想通り的中してしまった。というか、岡田将生は時代劇ではなく現代劇だとしても、今までに演技が上手いと感じたことは一度もなく、なぜ彼がこれほどまでに起用されるのか大いに疑問は感じていた。そんな彼のこと、時代設定が江戸時代でしかも心の病を抱えた将軍のむすこなどという役柄をこなせるはずがないことなど、当然観る前からわかりきったことではあるのだが。とにかく、心の病を抱えているはずの斉道が悪夢にうなされる以外は極めて普通で、私には単に短気で思慮に欠けるだけの器の小さい男にしか見えない。
そんなダメダメな斉道を補って余りあるのが、遊(雷)を演じた蒼井優の熱演だった。どちらかと言えば静かな役柄の方が多かった彼女が、この作品では山で育った野性味のある自由奔放な雷という、今までにないタイプのキャラクターを違和感なく自然に演じているのがいい。圧巻は斉道の行列を遮り馬上から斉道に向かって叫ぶシーンで、最高の見せ場を最高の演技で飾ったといえる、今までにない熱い彼女の熱演に心を動かされる。もっとも、実際にあんな真似をしたならば即刻無礼討ちに遭っていただろうから、あのシーンだけは遊がいつ斬り捨てられるのかと観ていてハラハラさせられたが。
また、このところ毎回お目にかかっているような錯覚を覚えるほど頻繁に登場する柄本明(つい先日の『桜田門外ノ変』にも出演していた)も、近頃演じる役柄のためか徐々に迫力が身についてkきて、この作品のような役柄でも見劣りしない貫禄が感じられるよううになってきた気がする。迫真の自害シーンは、今までの彼の演技の中で最高の出来映えだったように私には思えた。