評     価  

 
       
File No. 1301  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年10月30日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ジョン・カラン  
       
上 映 時 間   109分  
       
公開時コピー   悪を憎み続ける男
正義をあざわらう男
男たちを蝕む女

そして理性は崩壊していく。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ロバート・デ・ニーロ [as ジャック・メイブリー]
エドワード・ノートン [as ジェラルド・クリーソン(ストーン)]
ミラ・ジョヴォヴィッチ [as ルセッタ・クリーソン]
フランセス・コンロイ [as マデリン・メイブリー]
エンヴァ・ジョカイ [as 若き日のジャック]
ペッパー・ビンクリー [as 若き日のマデリン]
 
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あ ら す じ    刑務所の受刑者と面談し、仮釈放審査会のための書類を作成するという、仮釈放管理官のジャック・メイブリーは、43年間連れ添った妻マデリンと2人でデトロイト郊外に暮らしていた。まもなく定年を迎えるジャックが最後に担当することとなった受刑者は、従兄弟と共謀して祖父母を殺害したうえに放火した罪で8年間服役していた、通称“ストーン”ことジェラルド・クリーソンだった。
 あと3年の刑期を残すストーンは仮釈放を切望しており、ジャックに取り入って書類に手心を加えてもらおうとするが、あくまで毅然とした態度で接してくるジャックに逆に苛立ち、反抗的になるばかりだった。どんな手を使ってでも仮釈放を手に入れたいストーンは、自分の妻ルセッタにジャックを誘惑するよう命じた。ルセッタは昼は幼稚園で子供たちを教えながら、夜には男たちに体を売る日々を送っていながらも、ストーンを心底愛しており、彼のためなら何でもする女だった。早速ルセッタは毎日のようにジャックの自宅に電話をかけ続けるのだった。
 受刑者の家族と個人的に接触することを規則で禁じられていたジャックだったが、再三にわたるルセッタからのアプローチに根負けし、ルセッタと会う約束を交わしてしまった。そして、彼女の巧みな誘いに乗ってしまったジャックは、ついに一線を越えてルセッタの誘惑に身を任せてしまう。ルセッタの虜になってしまったジャックは、もはや彼女の言いなりになるしか術がなかった。
 ところが、ストーン本人にも変化が生じていた。精神世界に目覚め、自己啓発に没頭するようになったストーンは、面会に訪れたルセッタがジャックとのことを報告しても上の空で、それどころか仮釈放への関心そのものが薄れてきてさえいた。あたかも人格が入れ替わってしまったかのようなジャックとストーンの間で、ルセッタは暴走を始め、その魔性を露わにするのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ロバート・デ・ニーロとエドワード・ノートン、そしてミラ・ジョヴォヴィッチという3大スターの共演作とあれば見逃すわけにはいかない。というわけで、上映中に地下鉄日比谷線の電車の音が響くせいで私の「行きたくない劇場」ランキング上位に名を連ねる、銀座シネパトスへ仕方なく行ってきた。都内ではシネパトス以外は昭島でしか上映していないし、千葉県ではワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典で上映するものの11月20日からわずか1週間しか上映されないから。
 日本でも「模範囚で仮釈放」なんて言葉は良く耳にするものの、実際にどういった手続きを経て仮釈放となるかは知らない私だから、ましてアメリカの法制度など知るはずもなく、管理官との面談で仮釈放の審議に提出する書類が作成されることを初めて知った。そして、それならば担当の管理官を抱き込めばそれが仮釈放への近道であることは明白なわけで、ストーンのような男がそう考えないわけがない。そして、ミラ嬢扮する妻のルセッタにジャックを誘惑させるのだが、ルセッタが誘惑すればどんな男も落ちると信じるストーンの自信もさることながら、その誘惑に予想外にもあっさりと屈してしまうジャックにも疑問を感じる。若い頃の妻に見向きもせずに逃げられそうになった堅物が、そうたやすく誘惑に乗ってしまうとは思えないのだが。ちなみに、私だったらルセッタの誘惑に打ち勝つ自信はある。もしも彼女がスカーレット・ヨハンソンだったりしたら、喜んで誘惑に乗ってしまうことは間違いないのだが(笑)。
 ところが、ルセッタがジャックを手玉に取ったにもかかわらず、肝心のストーンが逆に聖人君子でもあるかのように以前とは人格が全く逆転してしまうのは面白い。今の世の中で最も儲かる事業は新興宗教の教祖となることだと友人が言っていたが、人の心の隙に取り入って考え方自体を変えてしまう宗教の力がいかに恐ろしいかがよく解る。そして、そんなストーンの心の移り変わりを巧みに演じたエドワード・ノートンはさすがだ。この作品に限って言えば、ロバート・デ・ニーロが単なるオジサンに見えてしまうほど、ノートン扮するストーンの曲者ぶりは見事だったと思う。ただ、ジャックの若い頃の描写が今ひとつストーリーに巧く絡んでいないように思えるために、妻・マデリンの存在自体も添え物程度に感じてしまったのは私だけだろうか?