評     価  

 
       
File No. 1303  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年10月30日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   アントワーン・フークア  
       
上 映 時 間   132分  
       
公開時コピー   3人の刑事。1つの事件。
それぞれの正義が交錯する
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   リチャード・ギア [as エディ・ドゥーガン]
ドン・チードル [as クラレンス・“タンゴ”・バトラー]
イーサン・ホーク [as サル・プロシーダ]
ウェズリー・スナイプス [as カサノヴァ・フィリップス(キャズ)]
ウィル・パットン [as ホバーツ副所長]
エレン・バーキン [as スミス捜査官]
ヴィンセント・ドノフリオ [as ボビー・“カルロ”・パワーズ]
ブライアン・F・オバーン [as ロニー・ロザリオ]
マイケル・ケネス・ウィリアムズ [as レッド]
リリ・テイラー [as アンジェラ・プロシーダ]
シャノン・ケイン [as チャンテル]
ワス・スティーヴンス [as パトリック・ラリー]
アルマンド・リスコ [as ジョージ・モントレス]
 
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あ ら す じ    ニューヨークの中でも犯罪多発地帯の汚名高いブルックリン。低所得者用の“BK公営住宅”で、あろうことか警官が罪のない黒人青年を射殺した上に所持金を強奪するという強盗殺人事件が発生した。ニューヨーク市警はマスコミや市民からの厳しい非難を浴び、自体を憂えた警察上層部は警察のイメージアップを図るべく、犯人の逮捕を急ぐと共に取り締まりの強化に乗り出した。
 妻とは別居し、唯一心を許せるのは娼婦のチャンテルだけというベテラン警官・エディ・ドゥーガンは、1週間後に定年退職を控えたある日、最後の任務として取り締まり強化策の一環として犯罪多発地区での新人警官教育を命じられた。ところが、彼の担当した新人警官がトラブルに巻き込まれ、責任を感じたエディの心の中で大きな変化が起こり始める。
 妻・アンジェラと子供たちに囲まれて暮らす麻薬捜査官・サル・プロシーダは、妻が双子を身籠もったことをきっかけに、広い家へ引っ越すと子供たちに約束した。しかし、彼の給料は日々の生活を送るために消えてしまい、頭金すら工面することができなかった。そして、ついに彼は超えてはいけない一線を踏み越えてしまう。無実の黒人青年を射殺して、彼の持っていた現金を奪ってしまったのだ。そして、やがて彼の金への執着は度を越して、その暴走に歯止めがかからなくなっていく。
 潜入捜査官としてブルックリン一帯を縄張りにするギャングの内偵を続けるクラレンス・“タンゴ”・バトラーは、精神的に行き詰まっていた。仕事の成果は昇進に結びつかない上に、身分を隠すために愛する妻とも会えず、挙げ句に離婚に追い込まれてしまっていた。しかし、潜入捜査から自分を外して欲しいというタンゴの頼みを上司は一向に聞き入れてくれない。それどころか、上層部から昇進を餌に彼に下された指令は、タンゴの命の恩人であり、今では互いに心を通わせていたギャングのボス・キャズことカサノヴァ・フィリップスの囮捜査による逮捕だった。長年の夢だった昇進とキャズとの友情の狭間で葛藤するタンゴはついに決断を下すのだが、そのことが思わぬ結果に繋がってタンゴはさらに精神的に追い込まれてしまう。
 
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たぴおか的コメント    リチャード・ギア、ドン・チードル、イーサン・ホークというビッグネームが三者三様の警官を演じるとあって、どうやら観る前から過大な期待を抱きすぎていたようだ。1本の作品に無理矢理まとめられている感があるが、実質的には独立した3つのストーリーが平行して展開しているような内容だった。そして、3つのストーリーがクライマックスで絡み合い、観る者をアッと言わせるのだろうという期待は見事に裏切られてしまった。
 狂気に走りとめどなく墜ちていくサルを演じたイーサン・ホークの演技はいい。彼を観ていると、死守しなければならない最後の一線を越えずに踏みとどまることがどれほど大切かが身にしみて解る。一度一線を越えてしまったら最後、もはや感覚が麻痺してしまい理性のブレーキなど効かなくなってしまうのが恐ろしい。そして、友情と昇進の間で揺れ動ああいう警官はロクな死に方をしないと思っていたら・・・・・。
 ドン・チードル扮するタンゴの抑えた演技も冴えている。そして、タンゴが友情を感じるギャングのボス・キャズにウェズリー・スナイプスというキャスティングも気に入った。ただ気になったのは、アメリカの警官って、相手が誰かを確認することもなくいきなり射殺してしまうものなのだろうか?
 ここまではいいとしても、最も期待していたリチャード・ギアの使い方、もう少し何とかならなかったものだろうか。彼に過激なアクションを期待しているわけではもちろんないが、実生活はともかく役柄の上では老け込むにはまだまだ早過ぎるでしょう。そして、新人警官の指導でトラブルになったことと彼が最後にとった行動に今ひとつ脈絡が感じられないのもツラいところだ。