評 価
File No.
1308
製作年 / 公開日
2009年 / 2010年09月11日
製 作 国
イ ラ ン
監 督
アスガー・ファルハディ
上 映 時 間
116分
公開時コピー
私の底に、
もう一人の私が
眠っている
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
ゴルシフテ・ファラハニ
[as セピデー]
タラネ・アリシュスティ
[as エリ]
シャハブ・ホセイニ
[as アーマド]
メリッラ・ザレイ
[as ショーレ]
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あ ら す じ
テヘランからカスピ海沿岸の避暑地に訪れた、大学時代の仲間たち。彼らの目的は、主催者である
セピデー
の子供の保母である若い女性
エリ
を、最近離婚したばかりの
アーマド
に紹介することだった。当初宿泊を予定した別荘が借りられなくなった一行は、急遽海辺のヴィラを借りることとなり、使われなくなって久しいヴィラを手直しして2泊することとなった。
翌日、エリは車で買い出しに行くという
アーマド
と共に町に出る。海辺は携帯の圏外で、どうしても連絡したい相手がいるとのことだった。帰りの道すがらエリはアーマドに、電話の相手は母親で、最近心臓の手術を受けたばかりだと語った。その時、不意にエリの携帯が鳴った。エリはかけてきたのは兄だから、後で折り返せばいいと電話には出なかった。
それから一同はバレーボールに興じ、一緒に楽しんでいたエリは途中で帰らなければと言い残して抜けていった。それから暫く経って、事件は起こった。連れてきた子供の一人が溺れかけ、男たちは慌てて海に飛び込んで救いに向かった。幸い子供は助かったものの、気がついてみるとエリの姿が見えなかった。彼女の荷物は残されたままで、携帯電話も置き去りにされていた。そして、驚いたことに彼女を誘ったセピデーすら、エリの本当の名前を知らなかったのだ。
果たして彼女は子供を助けるために海に飛び込んで溺れてしまったのか、それとも誰にも告げずにこっそりと帰宅したのか?アーマドはエリの携帯に着信があった兄に電話をしてみると、さらに驚くべき事実が明らかになっていく・・・・・。
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たぴおか的コメント
2009年のベルリン国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した作品。多分イラン映画を観るのは私にとって初めての経験だと思う。9月11日から公開の作品だが、地元千葉県の某シネコンでは11月からの上映のため観たい気持ちを我慢すること2ヶ月、やっとのことでお目にかかれた作品(ヒューマントラストシネマ有楽町(旧:シネカノン有楽町2丁目は、あまり行きたくない劇場のひとつなもので)。しかも、この作品が千葉県下で唯一上映される地元千葉県の某シネコンのWebクーポンのおかげで、11月6日から7日間はすべての作品が1,000円で観られるとは、待った甲斐があったというものだ。
観てみてまず驚かされたのは、登場する女性が揃いもそろって美人であること。韓流女優に美人が多いというのは余りに有名な話だが、私にとっては韓流美人女優よりもこの作品に登場する女性たちの方により魅力を感じてしまう。中近東系の女性のエキゾチックな雰囲気がそう感じさせるのだろう。主役のエリを演じたタラネ・アリシュスティは大きな目が印象的などちらかと言えば可愛い系の美人であるのに対し、セピデーを演じたゴルシフテ・ファラハニはちょっとキツ目の美人だが、いずれも甲乙付けがたい魅力的な女性だった。
エリという女性がどうやら一行の中では外様的な存在であることしか解らない中ストーリーは展開し、徐々にエリを取り巻く状況が明らかになっていく。そして、彼女に婚約者がいたことが解ると、皆が口々にそんな女性に男を紹介するなど許し難いと言う、そんな日本とはかけ離れた道徳観が伺えるのが面白い。また、ジェスチャー・ゲームシーンで日本のアニメ『みなしごハッチ』が出題されたのには(出題者はエリ)、改めて日本のアニメが全世界規模で輸出されていることを思い知らされた。そんな平凡な情景を描きながらも、翌日のエリ失踪への布石は着実に仕込まれている。そして事態は起こり、エリの失踪という緊急事態に直面した面々が、それぞれの人間性をあらわにしていく、そこがこの作品の核心部分なのだ。もはやエリがどうなったか、黙って帰ったのかそれとも海で溺れたのかは二の次になってしまい、残された人々の言動から目が離せなくなる。
もう少しタラネ・アリシュスティ演じるエリを観ていたかっただけに、早々と彼女が失踪してお役ご免になったのはちょっと残念。ラストでは行方不明だったエリが結局どうなったかが分かるのだが、個人的にはあのシーンはなくても良かったように思える。溺れてしまったのか、それともひとり帰ってしまったのか、それが分からないままの方がよりエリの存在をミステリアスにしたような気がするのだが・・・・・。