評     価  

 
       
File No. 1310  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年11月06日  
       
製  作  国   フランス  
       
監      督   エリック=エマニュエル・シュミット  
       
上 映 時 間   105分  
       
公開時コピー   病気と闘う少年が、10日間で100歳まで駆け抜けた人生。
そこで知った生きる意味
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   ミシェル・ラロック [as ローズ]
アミール [as オスカー]
マックス・フォン・シドー [as デュッセルドルフ医師]
アミラ・カサール [as ゴメット看護士長]
ミレーヌ・ドモンジョ [as リリー(ローズの母)]
コンスタンス・ドレ [as オスカーの母]
ジェローム・キルシャー
ティエリー・ヌーヴィック [as ヴィクター]
ブノワ・ブリエール
マチルド・ゴファール [as ペギー・ブルー]
ブルーノ・メッツガー
シモーヌ=エリース・ジラール
 
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あ ら す じ    10歳の少年オスカーは白血病に冒されており、最後の望みをかけた骨髄移植手術をうけたばかりだった。そんなある日、病院に見舞いに来る予定のなかった日にもかかわらず、オスカーの両親が病院にやって来た。2人は骨髄移植の結果を告知されるため、オスカーの主治医デュッセルドルフ医師に呼び出されたのだ。デュッセルドルフ医師から2人は骨髄移植が上手くいかなかったことを告げられ、それはすなわちオスカーにはもう手の施しようがなく、後は死を待つだけという非情な宣告でもあった。そして、その一部始終をオスカーはドアの隙間から覗き見してしまったのだった。
 それ以来、両親はオスカーに対して今までに輪をかけて腫れ物に触るように接するようになり、オスカーは両親とほとんど言葉を交わさなくなってしまう。そんあオスカーが唯一話をしたがった相手は、病院内で偶然にぶつかったオスカーに元プロレスラーだとうそぶいた、口の悪い宅配ピザ店のオーナー兼デリバリーのローズだった。デュッセルドルフ医師はローズから大晦日までの10日間で毎日ピザを買う代わりに、オスカーの病室に寄って彼と話をするように強引に頼み込んだ。こうしてローズはオスカーの話し相手になることを渋々承諾せざるを得なくなった。
 オスカーに対して特別に気を遣うこともなく普通に接するローズは、残された時間が少ないオスカーに1日を10年と考えて過ごすこと、そして毎日1通ずつ神様に宛てて手紙を書くことを教える。そしてローズは、オスカーがめげそうになるたびに、架空の自分のプロレスの試合の話を語って聞かせて励ます。そして、次第にローズもまたオスカーと過ごす時間をかけがえのないものだと感じるようになっていく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    11月6日の公開だが関東圏ではTOHOシネマズ・シャンテのみの公開で、14日(日)はTOHOシネマズは1,000円で観られるため、1週間我慢してこの日曜日は早速シャンテへと向かった。さすがに1,000円デーとあって、場内はほぼ満席状態だった。
 オスカーを演じたアミール君が素晴らしい。子供らしいあどけなさの中に時折見せる大人びた表情が、1日で10年を生きるオスカーにぴったり。そして何より素晴らしいのは、オスカーの姿勢が常に前向きで、生きることを決して放棄しようとしない明るさが伝わってくることだ。それも、自分が死ぬことを知らずにいる無邪気さではなく、自分がもう長くは生きられないと悟ったうえで、残りわずかな生きていられる時間を無駄には過ごしたくないという決意の表れだからこそ観ていて心を動かされるのだ。
 そして、ローズ役のミシェル・ラロックもまさにハマリ役だ。サバサバしていて歯に衣着せずにハッキリと物を言う、そんなところがオスカーに対して何も言えない両親とは対照的で、だからこそオスカーもローズ以外の者とは離したがらないのだろう。最初の出会いで何も考えずに元女子プロレスラーと名乗ったことで、それ以来彼女はオスカーに自分の経験した試合の様子を話して聞かせる羽目に陥るのだが、その話がまた面白い。そして、ただ面白いだけではなく、その話が必ず壁にぶつかって悩んでいるオスカーが一歩先へ進むための手助けとなっているのだ。
 人は誰もが必ずいつかは死ぬ。そして、必ずしも年長者が年少者より先に死ぬとは限らない。だからこそ人は1日1日をおろそかにしてはならなず、その意味ではオスカーは他の誰よりも充実した100年を生きたわけだ。オスカーにそんな時間を与えたのはもちろんローズだが、一方的にローズがオスカーに与えただけではなく、ローズにも間違いなくオスカーから何かを受け取っている。そんな2人を見ているのが非常に心地よく、ラストではオスカーが亡くなってしまうのだが、悲しい気持ちだけではなくなぜか温かい気持ちにさせてくれる作品だった。