評     価  

 
       
File No. 1316  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年11月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   鈴木 卓爾  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   お見合いから5日後の結婚。夫婦になる  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   吹石 一恵 [as 武良布枝]
宮藤 官九郎 [as 武良茂]
坂井 真紀 [as 田所初枝(布枝の姉)]
夏原 遼 [as 飯塚正夫(布枝の弟)]
村上 淳 [as 金内志郎]
宮崎 将 [as 安井庄治]
柄本 佑 [as 佐久間弦太(少年マガジン編集者)]
唯野 未歩子
平岩 紙 [as 飯塚只子(布枝の義姉)]
鈴木 慶一 [as 都筑睦夫(貸本屋)]
徳井 優 [as ぬらりひょん]
南 果歩 [as 武良琴江(茂の母)]
宇野 祥平
吉岡 睦雄
伊藤 麻実子
石垣 光代
寺 十吾
 
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あ ら す じ    昭和36年。出雲の安来で生まれ育った布枝に縁談が持ち込まれる。相手は東京に住む貸本漫画家・武良茂で、戦争で左腕を失い恩給が支給されていること以外は何も知らないまま、お見合いからわずか5日後に布枝は茂と結婚し、慌ただしく上京した。
 いざ茂との結婚生活がスタートしてみると、それは布枝が思い描いていた甘い新婚生活とはほど遠く、思ってもみないどん底の貧乏生活と、ひたすら妖怪漫画を描き続けるぶっきらぼうな夫とのぎこちない毎日だった。聞けば恩給はすべて茂の実家の両親に渡しているとのことで、2階の部屋を貸している得体の知れない男・金内志郎からの家賃の支払いも滞っているという。おかげで質屋通いも日常茶飯事な武良家だったが、茂は布枝に対して「質流れさせたことはありません」とうそぶく始末だった。
 ある日茂は出版社へ原稿を納めにに出かけていくが、戻ってきた茂がもらってきた原稿料は、約束の半分にも満たない金額だった。茂が描く漫画は暗くて人気がないためだという。それでも頑なに妖怪漫画にこだわり、他の漫画を描こうとしない茂。ある日、講談社の少年マガジン編集者・佐久間弦太が訪れて、茂に依頼したのは宇宙を題材にした漫画だった。今までの出版社とは比較にならない原稿料が手に入るにもかかわらず、茂は苦手な漫画は描けないと依頼を断ってしまうのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    映画化に先立って、某国営放送の朝の連続テレビ小説でドラマ化された、『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親・水木しげるの妻・武良布枝の自伝エッセイを描いた作品。TOHOシネマズ恒例の『鷹の爪』のマナームービーや、『紙兎ロペ』のギフトムービーはもちろんのこと、予告編さえも上映されずにいきなり本編からのスタートには「なぜ?」と疑問を感じたが、どうやらフィルム上映ではなくブルーレイ上映というのが理由であるように思われる。どうやら夫婦の極貧生活を焦点に映画は制作されたようだが、これを観る限り夫・茂の生活を維持しようという意識が致命的に欠落しているという腹立たしさを真っ先に感じた。
 おおよそ“天才”と呼ばれる人たちはどこか一般的な常識に欠落しているところがあるものだが、茂の生活観念の欠如は度を超えているとしか思えず、布枝さんのように彼を全面的に支える内助の功がなかったとしたら、彼の才能は日の目を見ることがなかったことは間違いない。そんな茂と結婚して、想像してもみなかった極貧生活に陥ったにもかかわらず、離婚など考えずにひたすら夫を支えた布枝さんのような女性は、現代では希有の存在だと言える。果たして、そこまで我慢できる人間が、今の世の中には男女を問わず存在するとは到底思えないのだ。
 個人的には、水木しげるの妖怪漫画(特に『墓場の鬼太郎』)が世に求められてアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』が制作され、極貧生活から抜け出した後の生活の変化を観てみたかった。いくら極貧zせいかつにスポットを当てたとしても、最後くらいそれまでの鬱憤を一気に晴らすようなカタルシスを得たいと思うのは私だけではないと思うのだが・・・・・。