評     価  

 
       
File No. 1319  
       
製作年 / 公開日   2009年 / 2010年11月27日  
       
製  作  国   オーストラリア / アメリカ  
       
監      督   マイケル・スピエリッグ  
       
上 映 時 間   98分  
       
公開時コピー   絶望寸前の人類に希望はあるのか  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   イーサン・ホーク [as エドワード・ダルトン]
ウィレム・デフォー [as ライオネル・コーマック]
クローディア・カーヴァン [as オードリー・ベネット]
マイケル・ドーマン [as フランキー・ダルトン]
イサベル・ルーカス [as アリソン・ブロムリー]
サム・ニール [as チャールズ・ブロムリー]
ヴィンス・コロシモ [as クリストファー・カルーソ]
 
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あ ら す じ    一匹のコウモリが運んできた未知のウイルスがもたらす疫病があっという間に世界樹に蔓延し、人々は大半がヴァンパイアへと変貌してしまった結果、社会活動は人間に成り代わってヴァンパイアによって支配されることとなった。人間はヴァンパイアによって捕獲され、彼らへの血液供給源として飼育される立場に陥っていた。
 西暦2019年。時給上の人口のうち人間が占める割合が5%まで低下し、慢性的な血液不足に陥ったヴァンパイア社会。血を求めるホームレスが増加し、その中からサブサイダーと呼ばれる凶暴なモンスターに変貌する者が現れ、彼らによって引き起こされる残虐な殺傷事件が頻発していた。そんな中、製薬会社ブロムリー=マークス社に勤務するエリート研究者エドワード・ダルトンは、ヴァンパイアでありながらも人血を飲むことに罪悪感を覚える良識派で、血液不足を解消すべく代用血液の開発を急いでいた。
 ある夜、帰宅途中に危うく車の衝突事故を起こしかけたエドワードは、相手の車に乗っていたのが人間だと知り、とっさに彼らを警察からかくまってやる。そして、その中の一人、ヴァンパイから逃げる人間を保護するレジスタンスの女性メンバーであるオードリー・ベネットが、後日エドワードの自宅を訪ねてくる。信頼できるヴァンパイアを探していたという彼女に見込まれたエドワードは、彼女に案内されてある男と引き合わされた。その男、ライオネル・コーマックは、驚くべきことに首にヴァンパイアの噛み傷が残っているにもかかわらず、紛れもない人間だったのだ。
 元ヴァンパイアだったコーマックが人間に戻った経緯を聞いたエドワードは、彼の体験に人類を救う鍵があると考え、進んで協力を申し出る。しかし、エドワードの上司でブロムリー=マークス社長のチャールズ・ブロムリーの命令を受けた、彼の実の弟フランキー・ダルトンが率いる軍隊が、レジスタンスの隠れ家に刻一刻と迫っていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ヴァンパイアが主人公の作品ということはわかっていたが、まさかヴァンパイアが人間に取って代わった世界が舞台となっているとは、今までにない斬新な設定に新鮮な驚きを覚えた。ただ、映倫の視聴制限「R15+」が示すとおり、血を見る残虐な描写が盛りだくさんで、中には血を吸うだけでは飽きたらず肉や内臓を食らうというとんでもないヴァンパイアも登場するから、この作品を観る場合にはその点だけは覚悟しておいた方がいいと思う(笑)。
 ヴァンパイアが社会を牛耳ったはいいが、食料となる人間の血液を摂取するとその人間もまたヴァンパイアと化してしまい、逆ねずみ算的に食料源が減ってしまうというジレンマに陥ったという設定が面白い。ヴァンパイア社会にも食糧不足という社会問題は存在するんだね(笑)。そしてさらに、ヴァンパイアの中にも金の亡者となり、人間に戻るよりも金儲けを最優先させる愚かな輩がいるとは恐れ入った。結局ヴァンパイアになってもならなくても、人間の欲望の本質は変わらないってことなのだろう。
 そんな中、先日の『クロッシング』ではダメ刑事を演じたイーサン・ホークだが、今回の冷静で人道的な(?)ヴァンパイアはなかなか様になっている。人間に戻ったエドワードがブロムリーに捕らえられたオードリーを救いに行ったもののミイラ取りがミイラになり、すべてを諦めたかのように自分をヴァンパイアに戻してくれと頼むくだりでは裏に何か意図があるとは思ったが、まさかああいうことだったとは・・・・・フランキーがコーマックを襲った時点で気づけなかったのが残念だが、人類の未来に確かな光明が差し込んで終わるラストは、それまでのグロさを一掃するような爽やかさが感じられるのも良かった。