評     価  

 
       
File No. 1328  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年12月18日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   金子 修介  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   10年に渡って、額子を追い求めた。
たとえ変わり果てた姿になっていたとしても。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   成宮 寛貴 [as 大須秀成]
内田 有紀 [as 吉竹額子]
白石 美帆 [as 翔子]
中村 ゆり [as 山根ユキ]
浅見 れいな [as 秀成の姉]
岡本 奈月 [as メグミ]
浅田 美代子 [as 秀成の母]
小林 隆 [as 秀成の父]
池内 博之 [as 加藤]
古手川 祐子 [as 額子の母]
 
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あ ら す じ    群馬県高崎市で暮らす19歳の大学生・ヒデこと大須秀成。ある日ヒデはが忘れてきた財布を受け取りに向かった駅前のおでん屋“よしたけ”で、27歳の女性・額子と出会った。そして、バイト先が偶然同じだったヒデと額子は数日後に再会し、ヒデは額子に誘われるままに部屋に連れ込まれ、半ば強引に童貞を捨てることとなった。
 奔放な年上女性の額子に戸惑いながらも、ヒデは急激に額子の魅力にのめり込んで行く。ところが、そんな幸せの絶頂で突然別れが訪れた。ある夜、ヒデを公園の木に縛り付けた額子は、結婚することになったとヒデに告げる。そして、ヒデとのことは遊びだったと言い捨てると、ヒデをそのまま放置して去ってしまったのだった。ヒデはただ呆然とするしかなく、それ以来額子を失った虚しさを酒で紛らわせるようになっていった。
 2年後、大学を卒業したヒデは量販電気店に就職したものの、酒の量は増える一方で会社も休みがちになっていった。そんな折、大学時代の親友だった加藤から、結婚の知らせが届く。式に出席するために上京したヒデは、やはり式に出席していた新婦の先輩・翔子と親しくなり、彼女の家のテレビのセッティングをしたことをきっかけに、翔子と付き合い始めるのだった。
 翔子と一緒にいるにつれ、額子を失ったヒデの喪失感は癒えるどころかますます募っていき、以前に増して酒におぼれるようになっていった。そんなヒデを見かねた翔子は去っていき、彼を心配してくれていた加藤までにも愛想を尽かされてしまうヒデ。会社も自主退職に追い込まれた挙げ句、飲酒運転で事故を起こしてしまったヒデは、本格的に入院してアルコール依存症の治療を受けることとなった。
 依存症から脱却したヒデは中華料理店でのバイトを見つけ、新たな生活をスタートさせる。そして、久しぶりに額子の母が営むおでん屋“よしたけ”を訪れたヒデは、ヒデと別れてから額子が辿った辛い運命を知らされ、額子に会わずにはいられなくなる。しかし、額子の住む山間の町へ向かったヒデを出迎えたのは、以前とは変わり果てた額子の姿だった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    今まで自分の勤める会社が製作した作品で、「これは面白い」と素直に言える作品に出会ったことがない私としては、作品には期待せずにただただ上映終了後の舞台挨拶で“ナマユキ”つまり内田有紀の実物が観られることだけを楽しみに劇場へ向かった。作品の内容は思ったよりも面白く、いい意味で期待を裏切ってくれたのは嬉しかった。考えてみれば優れた素材と優秀な料理人が揃えば自ずといい料理が出来上がるわけで、今までは素材が悪かったか、料理人の腕が拙かったか、あるいはその両方だったか、ただそれだけのことなのだろう。
 初めて成宮寛貴扮するヒデが、内田有紀扮する額子と出会ってから別れるまでの、2人の関係がどういう位置づけにあったのかが映画を観た限りでは微妙だ。私には額子にとってヒデは単なる遊び相手にしか思えず、事実額子もヒデにそう言って別れを告げている。もちろんヒデの方は本気だったわけで(内田有紀みたいな女性に童貞を奪われれば、本気にならない方がどうかしている^-^;)、額子を失った喪失感を紛らわせるために酒に溺れるというのは、理解できなくもない。ただ、その程度が問題なのであって、慢性のアルコール依存症に陥るほどに酒に頼ったところが、ヒデの“ばかもの”たる所以なのだろう。
 そんなヒデの坂道を転げ落ちるような転落人生は、こう言っては語弊があるかもしれないが実に面白い。そもそも最初の恋が成就することなど極めて希で、普通は何度かの失恋を乗り越えた末にゴールインできるもの。それだけ額子を本気で愛していたと言えばそれまでだが、会社も辞め、恋人の翔子にも愛想を尽かされ、挙げ句の果てには飲酒運転で事故を起こしてしまう。そこまで堕ちなければ、依存症を治そうと本気で取り組もうと思えないは、単なるアル中などとバカにできない深刻な病気だということなんだろうな。
 一方の額子は、確かヒデの転落人生が自分のせいだと思い込んで気に病んだあまり、髪が白髪になってしまったようだが、そこまでヒデを気にかけていたならば、なぜ別れて他の男と結婚したのかが今ひとつ理解に苦しむ。結婚に対して情熱よりも安定を望んだ、ということなのだろうか。なんだか額子という女性の性格を考えると、納得できる気もするし納得できないような気もする。そんな2人が再会してのラストシーンは、前日までの雨から打って変わったような快晴だったとのこと。撮影最終日が雨だったため、金子監督が内田有紀と成宮寛貴に頼み込んで、無理に1日伸ばしてもらったとか。その甲斐あって、今後の2人の行く先を象徴するような爽やかなシーンがで締めくくられている。