“サムライシネマ”と称して行われたキャンペーンの最後を飾る作品。恥ずかしながら私はキャンペーンの対象5作品(『十三人の刺客』『桜田門外ノ変』『雷桜』『武士の家計簿』『最後の忠臣蔵』)すべてを観たことになるわけだが、その中でも頭一つ他から抜け出た秀作だ。ちなみにたぴおか的ランキングでは2位が『十三人の刺客』、3位が『武士の家計簿』、4位が『雷桜』と続くから、奇しくも役所広司主演作がワン・ツー・フィニッシュを収める結果となった。さすがは日本を代表する俳優だけのことはある・・・・・のかな(^-^;。
『十三人の刺客』も戦闘シーンが凄まじかったものの、ある意味この作品に見られる武士の生き様には『十三人』を上回る壮絶なものがある。大石内蔵助の隠し子・可音を育て嫁がせるという使命を受けた孫左衛門は、その使命を見事完遂し卑怯者の汚名を晴らすこともできたのだから、そこから先は誰に恥じることなく堂々と生きたいように生きるべきだと考えるのが至極当たり前の考え方だろう。にもかかわらず、あくまで主君・内蔵助に殉じようというその、悪く言えば独善的でさえある武士道精神(と言っていいのかな?)の気高さは、理屈の上ではわからなくもないが、私には心底理解することは到底不可能だ。なんでもアメリカでは結構評判がいいらしいこの作品、果たして今の日本人ですらちょっと理解し難いあくまで純日本的な精神が、果たしてアメリカで一般観客に受け入れられるかどうかは大いに疑問だ。ちなみに、アメリカ公開に当たっては、洋題を“THE LAST RONIN”にするかあるいはそのまま“SAIGO NO CHUSHINGURA”にするかでモメているらしい。
役所広司や佐藤浩市の演技には今さらとやかく言うまでもないが、初日舞台挨拶では感極まって泣き出しちゃった桜庭ななみチャンが、思いのほか気高い武家の娘という役柄に似合っていた。『書道ガールズ!!』を観た時から近いうちにブレイクしそうだなと思っていたが、これからはますます彼女を目にする機会が増えそうだ。