評     価  

 
       
File No. 1329  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年12月18日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   杉田 成道  
       
上 映 時 間   133分  
       
公開時コピー   生き尽くす。
その使命を、その大切な人を、守るために。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   役所 広司 [as 瀬尾孫左衛門]
佐藤 浩市 [as 寺坂吉右衛門]
桜庭 ななみ [as 大石可音]
山本 耕史 [as 茶屋修一郎]
風吹 ジュン [as 茅野きわ]
田中 邦衛 [as 奥野将監]
伊武 雅刀 [as 進藤長保]
笈田 ヨシ [as 茶屋四郎次郎]
安田 成美 [as ゆう]
片岡 仁左衛門 [as 大石内蔵助]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    江戸城・松の廊下で吉良上野介を相手にに刃傷沙汰を起こし、切腹を命じられた赤穂藩藩主・浅野内匠頭の無念を晴らすべく、筆頭家老・大石内蔵助以下赤穂浪士47名は吉良邸に討ち入り、見事主君の仇討ちを果たした。内蔵助以下の赤穂浪士は全員切腹を言い渡されたが、そんな状況を生き延びた二人の浪士が存在した。
 その一人寺坂吉右衛門は、討ち入りには加わったものの、討ち入りの子細を残された労使たちに伝えるよう内蔵助に命じられた。以来吉右衛門は諸国に散った赤穂藩ゆかりの人々を探し出す旅を続けていた。そして、もう一人は討ち入り前夜に突如姿を消し蓄電した瀬尾孫左衛門だった。代々大石家に忠義を尽くしてきたはずの瀬尾家の孫左衛門が、なぜ討ち入り直前に行方をくらましたのか、その理由も彼の行き先も誰一人として知る者はいなかった。
 一人の赤ん坊を抱大事そうに抱きかかえた孫左衛門は、京都にたどり着く。その赤ん坊とは、大石内蔵助の隠し子・可音だった。討ち入り直前に孫左衛門は、内蔵助から愛人・可留とそのお腹の子供の将来を託されたのだった。孫左衛門は長崎で太夫をしていたゆうに助けられながら、16年の歳月を費やして可音を立派な武家の娘として育て上げる。そして、人形浄瑠璃を見物に行った折に可音は、天下の豪商・茶屋四郎次郎の嫡男・茶屋修一郎から見初められるのだった。
 ちょうどそんな頃、孫左衛門は偶然京都に訪れていた吉右衛門と16年ぶりに再会する。何か深い理由があって逐電したのだろうと問う吉右衛門に対し、孫左衛門は頑なに口を閉ざしたばかりか、剣を抜いて吉右衛門に斬りかかった。しかし、孫左衛門が隠す秘密は、意外なところから明らかになった。茶屋修一郎が見初めた娘の名が可音で、彼女を匿い育て上げたのが孫左衛門だとわかり、内蔵助の又従兄弟・進藤長保が可音は内蔵助の愛人・可留の娘ではないかと気づいたのだった。
 孫左衛門は可音に茶屋からの縁談があることを打ち明けるが、可音は長年自分を育ててくれ今では実の父以上に慕う孫左衛門の元を離れることを可音は拒んだが・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    “サムライシネマ”と称して行われたキャンペーンの最後を飾る作品。恥ずかしながら私はキャンペーンの対象5作品(『十三人の刺客』『桜田門外ノ変』『雷桜』『武士の家計簿』『最後の忠臣蔵』)すべてを観たことになるわけだが、その中でも頭一つ他から抜け出た秀作だ。ちなみにたぴおか的ランキングでは2位が『十三人の刺客』、3位が『武士の家計簿』、4位が『雷桜』と続くから、奇しくも役所広司主演作がワン・ツー・フィニッシュを収める結果となった。さすがは日本を代表する俳優だけのことはある・・・・・のかな(^-^;。
 『十三人の刺客』も戦闘シーンが凄まじかったものの、ある意味この作品に見られる武士の生き様には『十三人』を上回る壮絶なものがある。大石内蔵助の隠し子・可音を育て嫁がせるという使命を受けた孫左衛門は、その使命を見事完遂し卑怯者の汚名を晴らすこともできたのだから、そこから先は誰に恥じることなく堂々と生きたいように生きるべきだと考えるのが至極当たり前の考え方だろう。にもかかわらず、あくまで主君・内蔵助に殉じようというその、悪く言えば独善的でさえある武士道精神(と言っていいのかな?)の気高さは、理屈の上ではわからなくもないが、私には心底理解することは到底不可能だ。なんでもアメリカでは結構評判がいいらしいこの作品、果たして今の日本人ですらちょっと理解し難いあくまで純日本的な精神が、果たしてアメリカで一般観客に受け入れられるかどうかは大いに疑問だ。ちなみに、アメリカ公開に当たっては、洋題を“THE LAST RONIN”にするかあるいはそのまま“SAIGO NO CHUSHINGURA”にするかでモメているらしい。
 役所広司や佐藤浩市の演技には今さらとやかく言うまでもないが、初日舞台挨拶では感極まって泣き出しちゃった桜庭ななみチャンが、思いのほか気高い武家の娘という役柄に似合っていた。『書道ガールズ!!』を観た時から近いうちにブレイクしそうだなと思っていたが、これからはますます彼女を目にする機会が増えそうだ。