評     価  

 
       
File No. 1332  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2010年12月23日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   バー・スティアーズ  
       
上 映 時 間   99分  
       
公開時コピー   サム、最愛の弟。ずっと一緒だよ。
つないだ手は一生離さない。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ザック・エフロン [as チャーリー・セント・クラウド]
アマンダ・クルー [as テス・キャロル]
チャーリー・ターハン [as サム・セント・クラウド]
キム・ベイシンガー [as クレア・セント・クラウド]
レイ・リオッタ [as フロリオ・フェレンテ]
オーガスタス・プリュー [as アリステア・ウーレイ]
ドナル・ローグ [as ティンク・ウェザビー]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    恵まれたヨットの才能でスポーツ奨学金を獲得し、スタンフォード大学への進学も決まった高校生チャーリー・セント・クラウド。彼の目の前には計り知れない可能性を秘めた明るい未来が広がっていたはずだったが、そんな彼の運命を大きく変える事件が起きる。卒業式の夜、車で友人たちとの集まりに向かおうとこっそり家を抜け出したチャーリーだったが、11歳になる弟・サムに見つかってしまい、やむなくサムを助手席に乗せて発進したチャーリーの車は、酒酔い運転の大型車に激突されてしまう。
 病院に搬送する救急車の中、救命士フロリオの懸命な措置のおかげで、チャーリーは瀕死の状態から奇跡的に意識を取り戻す。けれども、チャーリーが気づいた時には、弟のサムは既に息を引き取ってしまっていた。弟を守れなかったことに罪悪感を覚え自分を責めるチャーリーは、ヨットをやめて大学進学も諦め、サムが埋葬されている墓地の管理人となって5年の歳月が流れ過ぎた。
 チャーリーが墓地の管理人となったのは、実はサムとの約束を果たすためだった。サムの葬儀の日、チャーリーは森の中で死んだはずのサムに出会い、彼と生きていた頃に交わした「日没を知らせる大砲の音を合図に野球の練習をする」という約束を再び交わした。以来5年が過ぎた今もサムは向こうの世界へ行かずに、夕刻になると森の中に現れてチャーリーと野球の練習をしてきたのだった。
 そんなチャーリーの平穏な毎日は、高校時代の同級生でヨットレースのライバルでもあったテス・キャロルとの出会いによって大きな変化を迎える。単独世界一周ヨットレースに挑むテスをかつての自分自身の姿と重ね合わせ羨ましさを禁じられないチャーリーだったが、日増しに彼女の存在はチャーリーの心の中で大きくなっていく。そして、それは同時にサムのダメだけを考えて生きてきて前に進めずにいた自分を顧みることでもあった。そして、やがてサムかテスか、いずれかを選ばなければならない決断の時がチャーリーに訪れる・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    『ヘアスプレー』『17アゲイン』のザック・エフロン主演の青春ファンタジー。つい一昔前だったら、このような設定の作品を観たら間違いなく「あり得ね〜」と最初に感じていただろうが、ここ数年にわたってこういった「あり得ない」設定に馴らされてしまっているのだろうか、冷静に考えてみれば「あり得ない」の連続であっても、「ファンタジーだから」であっさりと片付けてしまう自分がコワイ。それはつまり、今ではもう「あり得る」設定だけでは観客は満足しないという、一種の飽和状態にあるということかのかもしれない。
 相変わらずザックは爽やかを絵に描いたようなキャラクターだ。そして、彼が惹かれていくテス・キャロルを演じたアマンダ・クルーは『エクトプラズム 怨霊の棲む家』でお目にかかっているはずなのだが、全く記憶にない(笑)。まぁ、正直に言えばあまり好みとは言いかねるルックスだけに、『ゴースト・ハウス』で強烈な印象を残したクリステン・スチュワートとは違い、『エクトプラズム』で観た時も強く印象に残ることがなかったのだろう。
 「印象に残る」と言えば、いつもはクセのある役柄が多いレイ・リオッタが、この作品では珍しくフツーの救命士を演じているのはちょっと意外で、あの目を見た瞬間彼だとわかったが、「でも、いつもと役柄が違うから、もしかしたら別人かも」なんて思ってしまった。そして、冒頭だけでなくストーリー半ばでもまた彼が登場したのには「?」で、しかも「チャーリーが死の淵から生還したのには意味がある」なんて意味深な言葉を吐くのは不自然に思えて仕方なかった。それはどうやらクライマックスへの布石だったのだが、観る側に不自然さを感じさせた時点で既に展開に無理があるということではないだろうか。超常現象が悪いとは言わないが、あまりに超常現象に頼りすぎたがために、冷静に観れば単なる偶然を繋げただけでちょっと突っ込みを入れればすべてが崩壊してしまいそうな、そんな脆弱さが観られる脚本だった。