評     価  

 
       
File No. 1338  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2011年01月08日  
       
製  作  国   カ ナ ダ / フランス  
       
監      督   ヴィンチェンゾ・ナタリ  
       
上 映 時 間   104分  
       
公開時コピー  
禁断の実験で生まれた“美しき生命体”
人類はその進化に後悔する。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   エイドリアン・ブロディ [as クライヴ・ニコライ]
サラ・ポーリー [as エルサ・カスト]
デルフィーヌ・シャネアック [as ドレン]
ブランドン・マクギボン
シモーナ・メカネスキュ [as ジョアン・チョロット]
デヴィッド・ヒューレット [as ウィリアム・バルロウ]
アビゲイル・チュー [as 子供時代のドレン]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    科学者の夫婦、クライヴエルサは、遺伝子操作によって“ジンジャー”と“フレッド”という2体の新生命体を生み出した。ところが、彼らの研究よりも新生命体を使った新薬開発を優先させる会社の方針に従えない2人は、法と倫理を無視して動物と人間のDNAを結合させて新たな生命体を造り出すという、禁断の実験に身を投じてしまった。
 実験は成功し、2人は生まれてきた新生命体にドレンと名付けて育て始めた。驚くべき速さで瞬く間に少女から大人の女性に成長したドレンは、次第にエルサの言うことに従わなくなっていく。人間の遺伝子を持った女性であるドレンは、クライヴに対して恋心を抱いたのだ。しかし、やがてドレンの存在は2人の上司であるウィリアム・バルロウに知られてしまい、ウィリアムはドレンを会社に引き渡すよう強要してくる。しかし、その時すでにドレンはさらなる進化を遂げており、クライヴとエルサは恐るべき事態へと巻き込まれていく・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    “スプライ(=splice)”とは「接合(する)、結合(する)」という意味の名詞・動詞で、この作品で取り上げられているのはまさに遺伝子の結合だ。冒頭でいきなり登場したジンジャー&フレッドという2体の異形の生き物にはちょっと驚いたが、それはまだ序の口で、その後登場したドレンにはさらにビックリ。1995年に公開された『スピーシーズ』もやはり未知のDNAから生まれた種を描いている点では両作品に共通するところは少なくないが、あちらのスピーシーズを演じたナターシャ・ヘンストリッジは本当に美しかったが、この作品のドレンの場合はコピーには“美しき生命体”となっているけど、(彼女を演じている女優2人はともかくとしても)ドレンが美しいだなんて、私に言わせればあり得ない話だ(笑)。
 映倫の「R15+」指定がある通り、結構グロいシーンが少なくない。エイドリアン・ブロディ扮するクライヴがドレンと体を交えたり、サラ・ポーリー扮するエルサが男性に性転換したドレンに犯されたり・・・・・。いや、それ以前にジンジャー&フレッドの見た目もおぞましければ、生まれたばかりのドレンもインドのナンみたいでかなり気色悪い(笑)。
 一応は本来冷静であるべき科学者が、功名心にはやり我を失っていく、そんな警告が込められているようにも思えなくもない。まだ科学者としての冷静さを残すクライヴに対し、妻のエルサは完全に自分の研究のことしか目に入っていない、それがドレンという悲劇を生み出してしまうのだ。けれども、この作品はそんな理屈よりも、未知の生命体が進化していく課程とそのたどり着く姿からくる怖さを味わうべきホラー作品だと思う。そして、見所はやはり少女から女性へ、そしてさらなる進化を遂げるドレンの変身ぶりだろうな。