評     価  

 
       
File No. 1344  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年01月15日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   星 護  
       
上 映 時 間   139分  
       
公開時コピー   余命1年の妻に
僕は何が出来るだろう。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   草g 剛 [as 牧村朔太郎]
竹内 結子 [as 牧村節子]
谷原 章介 [as 滝沢]
吉瀬 美智子 [as 美奈]
陰山 泰 [as 新美]
小日向 文世
浅野 和之
佐々木 すみ江
大杉 漣 [as 松下医師]
風吹 ジュン [as 晴子(節子の母)]
 
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あ ら す じ    SF作家の牧村朔太郎は、高校1年の時に初デートをして今は銀行の窓口で働く妻節子と、今も変わらない仲睦まじい夫婦だった。ある時朔太郎は担当編集者の新美から、人気に陰りの見えるSFではなく、恋愛小説を書かないかと持ちかけられる。彼と動機でデビューした友人の作家滝沢は、現に恋愛小説に転向してからというもの、売れっ子の人気作家として成功を収めていたのだ。けれども、SF意外に興味のない朔太郎は、不器用なまでにSF小説にこだわり続ける。
 ある日突然腹痛に襲われた節子は、妊娠の兆候かもしれないと病院で診察を受けたところ、直ちに手術を受けることになってしまう。朔太郎が駆けつけた時は手術は終わっており、担当の松下医師から説明を受けた朔太郎は茫然自失となった。節子の病名は大腸癌で、癌に冒された部位は切除したものの既に何カ所にも癌が転移しており、1年後のことを考えるのは難しいというのだ。朔太郎は事実を節子には告げず、必ず治るとだけ言って節子に笑顔を見せるのだった。
 節子が退院し、朔太郎は節子を助けようと家事に挑戦するものの、料理も洗濯も失敗に終わってしまい、かえって節子の手間を増やしてしまう始末だった。そんな朔太郎は、節子のために自分に何が出来るかを考えた挙げ句、松下医師が言った「笑うことで免疫力が高まる」という言葉を思い出し、毎日1編の笑える小説を節子のために書こうと決意した。こうして始まった朔太郎の1日1作の短編は、最初の頃こそ上手く書けずに、節子から「小説じゃなくてエッセイだよ」と指摘さえされる始末だったが、やがて節子を笑わせることに成功し、彼女の笑顔を見て朔太郎は心からの幸せを感じるのだった。
 やがて医師から宣告された余命の1年を過ぎても、宣告が現実のものになることはなかった。2年、3年と月日は流れ、朔太郎の小説が1,000編を越えても節子が死ぬことはなかった。しかし、確実に節子の容態は悪化しており、滝沢からは節子が死に向かっているという現実から目を背けているだけだと指摘されてしまう。親友ならではの歯に衣を着せぬ言葉に気持ちが揺らぎながらも、それでもなお1日1編の小説を書き続ける朔太郎。果たして、朔太郎と節子の夫婦に奇跡は訪れるのだろうか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    私が小中学生の頃に大ファンだったSF作家・眉村卓氏の実体験をベースに描かれた小説が原作となった作品。朔太郎役の草g剛と、その妻・節子を演じた竹内結子は、『黄泉がえり』以来の共演となる。スタッフが同じということで、「『僕の生きる道』シリーズ、待望の映画化」と謳われてはいるが、そのために主演を草g剛を配したとすれば、ちょっと安直すぎるように思える。実際、相変わらず草g剛の演技はどう観ても上手いとは思えず、竹内結子の熱演があってこそに感じてならない。彼の演技で唯一の特筆すべき点はといえば、それを観た俳優や女優志望の素人に「あの程度だったら自分にも出来る」と希望を抱かせることだろうか。
 それにしても、病の妻を力づけるためとは言え、1778日もの間毎日必ず1編の小説を書き上げるという、その執念というか妻を想う気持ちの強さには想像想像を絶するものがある。「SFしか書かない」という小説家とその妻、というシチュエーションは、昨年末に公開された『ゲゲゲの女房』を連想させるが、多分同じように妻を想ってはいたんだろうけど、不器用さ故かそれをストレートに表現できず、ぶっきらぼうな水木しげるさんと比べると、眉村さんは正反対と言っていいほど妻への想いがその言動となって現れる人だということがわかる。妻の治療費のために意に沿わない恋愛小説を書こうと決意したところなど、その典型だと言えるだろう。
 この役作りのためにダイエットしたのか、竹内結子がずいぶん綺麗になって見えた。彼女の演技の上手さは言うまでもなく、おかげで彼女と草g剛がまるで大人と学芸会の子供のように見えてしまうのはツライ。その点を除けば、派手さとは無縁だが心にしんみりと訴えかけてくる温かいストーリーは秀逸。途中、朔太郎が書いた小説のストーリーが実に上手く映像で織り込まれているのも効果的。意外なシーンで登場した小日向文世には笑わせてもらった。
 それにしても、予告編は映像を見せ過ぎ。本編を観なくてもおおよその展開がわかっちゃうほど、映像を露出するのはいかがなものだろうか?