評     価  

 
       
File No. 1347  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年01月22日  
       
製  作  国   韓  国  
       
監      督   カン・テギュ  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー  
もう一度会いたい
私たちが歌にのせた
たったひとつの願い。
 

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   キム・ユンジン [as ホン・ジョンヘ]
ナ・ムニ [as 死刑囚ムノク]
カン・イェウォン [as カン・ユミ]
チョン・スヨン [as チ・ファジャ]
パク・ジュンミョン [as カン・ヨンシル]
イ・ダヒ [as コン刑務官]
チャン・ヨンナム [as パン課長]
イ・テギョン [as ミヌ]
 
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あ ら す じ    お腹の子供を夫の暴力から守るために殺人を犯し、チョンジュ女子刑務所に服役するホン・ジョンヘは、獄中で息子ミヌを出産した。ミヌの1歳の誕生日には、同房の在監者たち・・・・・夫とその浮気相手を車で轢き殺した罪で死刑を宣告されているムノク、ヘッドロックをかけた相手を誤って殺してしまった元プロレスラーのカン・ヨンシル、生活苦から詐欺をはたらいたチ・ファジャらと共に、監守ながら彼女らを温かい目で見守るコン刑務官も加わって、ミヌの誕生日を祝った。法律では生後18ヶ月までは服役しながら子供を育てられるため、それは同時にジョンへがミヌと一緒に過ごせるのはあと半年を残すだけであることを意味していた。
 ある日、刑務所へ慰問に訪れた合唱団の歌に感銘を受けたジョンへは、自分たちでも合唱団を結成しようと考える。そして、パン課長の反対を押し切って、半年以内に成果を上げることを条件に所長から合唱団結成の許可を得る。早速メンバーを集め始めたジョンへは、元音大教授という経歴のムノクに指揮者をしてくれるよう頼み込んだ。最初はジョンへの申し出を頑なに断ったムノクだったが、ジョンへの熱意に負けて指揮者を引き受けることとなった。
 加入希望者の歌をひとりづつ聴いたムノクは、彼女たちをソプラノ、メゾソプラノ、アルトとそれぞれのパートへ振り分けていく。しかし集まったメンバーは、ミヌが子守歌を聴いて泣き出すほどの音痴のジョンへを筆頭に、決定的な柱になるソプラノの存在に欠けていた。そんな状況をを救ったのは、新しく収監された声楽科出身の美声の持ち主・カン・ユミだった。最初は周囲に対して心を閉ざしていたユミだったが、ムノクの優しさに触れるうちに頑なな心は解きほぐされ、合唱団に加わることとなった。こうして、ムノクの指導の下、彼女たちの合唱は確実に上達していった。
 所長と約束した期限の半年後、合唱団はその成果を認められ、ジョンへはもうひとつ所長と約束していたミヌとの特別外泊というご褒美を許された。しかしその外泊は、ジョンへがミヌと過ごせる最後の時間でもあったのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    ドラマ『LOST』で今や全米的にも人気女優となったキム・ユンジンが、子持ちの女子刑務所服役囚を演じた作品。日本の刑務所はどうなっているか知らないが、韓国では服役中の妊婦が出産した場合、生後18ヶ月までは子供を獄中で育てることが可能なようだ。強制労働のシーンなどは敢えて描く必要がないためか(私もそう思うが)、刑務所内の自由な雰囲気の場面ばかりが登場するために、刑務所じゃなくて何かの女性専用施設なのではないかと錯覚するほど、受刑者たちには充分な人権が確保されていて、普通に生活を送っているように見受けられた。さすがに罪を償うために刑罰を受けているわけだから、和気藹々としたサークルのような雰囲気の中にも重苦しさを感じられるような、そんなシチュエーションは必要じゃないかな。
 そんな中、主人公のジョンへを演じるキム・ユンジンが相変わらず美しい。なのに歌は全くの音痴で、彼女が子守歌を歌うと彼女の子供・ミヌが泣き出してしまうほどという設定なのだが、そんな彼女が刑務所内で合唱団を結成しようと発案するのが意外。もっとも彼女自身は合唱団に自分も加わることが出来るとは、ハナから思っていなかったようだが。そんな彼女が合唱団に引っ張り込んだ新人受刑者カン・ユミを演じたカン・イェウォンの歌の上手さと見た目の美しさには目を奪われる。まさか彼女が『TSUNAMI』でレスキュー隊員と恋に落ちる女子大生を演じていたとは、全く気づかなかったが。
 「韓国で300万人が号泣した」作品とのことだが、相変わらずいかにも泣かせようという意図が見えてしまうものの、感動のストーリーであることは間違いない。母と子の愛を軸に様々な形の愛が織り込まれ、ジョンへとミヌの別れ、断絶していたユミと母親、娘から拒絶されていたムノク、そんな母と娘の関係が合唱を契機に絆を取り戻すのが観ていて心地いい。そして、クライマックスで盛り上げておいて、ラストに待ち受けている出来事では完全に叩きのめされてしまう。韓国映画ではこういう天国から地獄へ突き落とす、みたいな構成は得意とするところのようだ。それまではさほど心を動かされることがなかった私も、あのラストの衝撃にはちょっとグラッときてしまった。