評     価  

 
       
File No. 1356  
       
製作年 / 公開日   2008年 / 2011年01月29日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   シャロン・マグアイア  
       
上 映 時 間   100分  
       
公開時コピー   息子を失い、
  私の世界は動きを止めた。
その爆破事件の
  真実を知るまでは・・・・・。
 

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
キ ャ ス ト   ミシェル・ウィリアムズ [as 若い母親]
ユアン・マクレガー [as ジャスパー・ブラック]
マシュー・マクファディン [as テレンス・ブッチャー]
ニコラス・グリーヴス [as レニー]
シドニー・ジョンストン [as 坊や]
エミール・・エルハジ [as ソニー・ゴルバニ]
ユースマン・コーカー [as ゴルバニの息子]
サーシャ・ベアール [as ゴルバニの妻]
エドワード・ヒューズ [as ダニー・ウォルシュ]
アライブ・パーソンズ [as パール]
スチュワート・ライト [as チャーリー]
アル・アシュトン
ベンジャミン・ウィルキン [as 警官]
マーシー・オジェラード [as メナ看護師]
ジョー・マーシャル [as ゲーリー]
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
あ ら す じ    ロンドン。警察の爆弾処理班の夫レニーとの関係が冷め切っていた“若い母親”は、それでも何よりも愛する4歳になる“坊や”がいるだけで幸せを感じていた。ある夜、いつものように電話で呼び出されて爆弾処理へと向かう夫を送り出した彼女は、夫の無事を祈り続ける緊張と孤独に耐えきれずパブへと出かけて、ひとりの男と知り合った。彼の名はジャスパー・ブラックで、彼女を落とせるかどうか友人と賭をしていたのだ。ところが、ジャスパーに返ってきた彼女の言葉は思いのほか辛辣で、逆にジャスパーは彼女に強く惹かれた。そして2人はその夜、関係を持つに至ったのだった。
 5月1日のメーデーに、アーセナル・ファンの夫と坊やはサッカー観戦にスタジアムへと出かけた。一人残された彼女は、偶然にもやはりスタジアムに車で向かう途中のジャスパーと遭遇する。スタジアム行きを急遽取りやめたジャスパーは、彼女を車に乗せて家まで送ると、そのまま家に招き入れられて彼女と再び体を交える。ところがそのさなか、サッカー中継をしていたテレビからいきなり爆発音がして画像が途切れた。スタジアムがテロリストによって爆破されたのだった。一気に冷静に戻った彼女は、ジャスパーに無理矢理車でスタジアムへと向かわせる。そして、愛する坊やを探すために危険なスタジアムへ飛び込んだ彼女を、崩れ落ちてきた瓦礫が襲った。
 病院のベッドで目を覚ました彼女を、瓦礫の中から発見された坊やのうさぎのぬいぐるみを持ったジャスパーが見舞いに訪れた。しかし彼女は、事件当日の自分の行いに対する罪悪感から、ジャスパーに対して心を閉ざすようになった。一方、あの日彼女に出会わなければスタジアムの爆破に巻き込まれて命を落としていたかもしれなかったという事実が、ジャスパーをも変えた。そして、独自に事件を調べ始めたジャスパーは、観客席が移ったビデオに不審な男が映っているのに気がついた。その男とは、数年来警察が警戒を続けてきたテロリストのソニー・ゴルバニだった。しかも、彼の付近にいた人間が皆行方不明になっていることを突き止めるのだった。
 一方、傷心の彼女にジャスパーに代わって近づいてきたのは、亡き夫の上司でテロ対策部門長のテレンス・ブッチャーだった。彼女はテレンスから手に入れた情報を元に、ゴルバニの息子の跡をつけ始める。そんな彼女に、ジャスパーは自らが調べ上げた警察が隠蔽してきた驚くべき事実を提供するのだった・・・・・。
 
* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
たぴおか的コメント    ミシェル・ウィリアムズ扮する主人公が、劇中で一度も名前を呼ばれることがなく、クレジットでも“YOUNG MOTHER”になっていて、結局最後まで名前がわからない。脇役ならともかく主人公が名無しの作品は、私の記憶する中ではこの作品が初めてだ。何か意図があって名前を出さないのかとも思ったが、作品を観ても彼女の名前が何かの鍵になっているようなことはなかったようだ。ちなみに、彼女のひとり息子も作品中では“坊や”、クレジットでは“THE BOY”と、これまた名前が全く登場しなかった。それはともかく、ミシェル・ウィリアムズの美貌はポスターを観た時から目を惹くものがあったが、実際に作品を観たら本当に私好みの美人なのにはマイッタ。そして、今までの出演履歴を調べたところ、あのヒュー・ジャックマンとユアン・マクレガーが共演した『彼が二度愛したS』のSを演じていたのが彼女だと気がついた(確かにあの時のSも美人だと感じたことだけはしっかりと覚えている)。つまり、ミシェルとユアンは二度目の共演になるわけで、文字通り「彼が二度愛したS・・・・・じゃなくてM」ということになる。
 観る前は謎解きのサスペンス物かと思っていたが、実は謎はそれほど作品中で大きな意味を持っていないようで、それよりも不倫相手との情事中に夫と息子を失ったヒロインの苦悩がメインになっていた。確かに自分が不倫していたことに対する罪悪感はあるだろうが、仮にそれがなかったとしてもやはり夫と息子を失うことに変わりはなかったわけで、むしろ不倫のおかげでユアン・マクレガー扮するジャスパーが助かったのだとポジティブに考えられればいいのだろうが、さすがに彼女にとってそれは無理な相談だろう。そして、そのことが理由でジャスパーを避けようとする気持ちはよくわかる。だが、第三者の目から見れば、ストレートに愛情をぶつけてくるジャスパーより、下心の塊みたいなテレンスの方がよっぽど曲者で、スタジアムの爆破に彼が荷担していたのではないかと勘ぐりたくなるほどだ。
 愛する息子を失った喪失感から、果ては幻覚さえ見てしまうミシェル扮する若い母親だが、ラストでは希望という余韻を残して終わるのには観ている方も救われる気がした。