評     価  

 
       
File No. 1361  
       
製作年 / 公開日   2011年 / 2011年02月05日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   大谷 健太郎  
       
上 映 時 間   111分  
       
公開時コピー   天才医師<遺伝子(ジーン)の女神>が仕掛ける、禁断の奇跡。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   菅野 美穂 [as 曾根崎理恵]
田辺 誠一 [as 清川吾郎]
大森 南朋 [as 三枝久広]
南 果歩 [as 荒木浩子]
大杉 漣 [as 荒木隆]
白石 美帆 [as 甘利みね子]
音尾 琢真 [as 甘利健司]
桐谷 美玲 [as 青井ユミ]
須賀 貴匡
濱田 マリ [as 妙高みすず]
西村 雅彦 [as 屋敷教授]
片瀬 那奈 [as 田中美紀]
風吹 ジュン [as 山咲みどり]
浅丘 ルリ子 [as 三枝茉莉亜]
 
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あ ら す じ    医療の最高峰を誇る帝華大学病院の産科医・曾根崎理恵は、街中の小さな産婦人科医院マリアクリニックで、看護師の妙高みすずと2人で最後の患者となる4人の妊婦を担当していた。マリアクリニックの院長・三枝茉莉亜は末期の肺癌を患い病床に伏せており、その息子・三枝久広はかつて医療ミスで刑事訴追を受け、医師不在の後を受けて院長代理を務めていたのだった。
 4人の妊婦とは、夫・甘利健司が派遣の仕事のリストラに遭い、加えて胎児自体にも問題があったため、泣く泣く出産を断念せざるを得ない甘利みね子、何度も人工授精を試みたもののいずれも流産してしまい、年齢から考えても今回が最後の妊・出産になる荒木浩子とその夫荒木隆夫妻、別れた男の子供を妊娠した青井ユミ、そして55歳という高齢の妊婦山咲みどりだった。
 そんな患者たちと接する理恵を快く思わないのは、帝華大学の屋敷教授と、学部長となる彼の後任教授の椅子がほぼ決定的なエリート医師・清川吾郎だった。理恵が何か問題を起こせば、それは自らの教授昇進の大きな妨げとなるからだった。そんな清川はある日、マリアクリニックで産科医の倫理に反する代理母出産が行われているという噂を聞きつけて、理恵を問い糾した。すると、理恵は清川には迷惑はかけないと固く断言した後、自ら帝華大学病院を辞職してしまった。
 彼女は自らの進退を賭けて守ろうとしたマリアクリニックの秘密とは一体何だったのか?清川は理恵の身辺を探り始め、やがて驚くべき真実に遭遇するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    インフルエンザの高熱のために(というのは後からわかったことなのだが)寝たり起きたりを繰り返し、結局ほとんどストーリーもわからなかったために、再度劇場で観る羽目になってしまった作品。結論から言えば、同じ海堂尊の原作を映画化した、阿部ちゃん&竹内結子のコンビが活躍(?)する『チーム・バチスタの栄光』『ジェネラル・ルージュの凱旋』よりも明らかに劣ると思う。そう感じた最大の理由は、はっきり言ってクライマックスの展開が2009年の観月ありさ主演『BABY BABY BABY!』のパクリだとしか思えないほど、全く同じためだ。主人公が前2作とは異なるとは言え、配給が前2作の東宝から今回は東映になったのも、その辺りに一因があるように思うのは勘ぐりすぎかな。
 いずれも小さな産科医で複数の妊婦が同時に産気づき、猫の手も借りたいという窮状の中、『BABY!』では認知症だった院長の母(吉行和子)が急に正気を取り戻し、この作品では末期癌で病床から起き上がれなかった院長(浅丘ルリ子)が急に元気を取り戻し、いずれもちゃんと赤ちゃんをとりあげるなんて・・・・・ここまで似てていいの?と言いたくなるほど同じなのだ。まぁ、『BABY!』の方はコメディでこちらの作品はシリアスなドラマだから、受ける印象は違うとはいってもねぇ・・・・・。
 それに加えて、タイトルが『ジーン(遺伝子)・ワルツ』でコピーも「天才医師<遺伝子(ジーン)の女神>が仕掛ける、禁断の奇跡」だから、てっきり菅野美穂扮する主人公・曾根崎理恵が禁断の遺伝子操作の領域に踏み込むような内容かと思ったら、実際には遺伝子操作などはほとんど関係ない。あまりにタイトルやコピーと内容がかけ離れ過ぎている気がする。それどころか、55歳にもなる自分の母を代理母にするなど、“禁断の”なんていうレベル以前の問題で、医師としての良識を欠く愚挙・暴挙だとしか思えない。せっかく菅野美穂が主役で頑張っていて、田辺誠一も珍しく体制に流されないストレートに良心的な医師を好演しているのに、素材の良さを生かし切れていないようだ。
 どうでもいいけど、西村雅彦は最近では今泉慎太郎のイメージがどこかに消し飛んでしまい、クセのある権威主義者がハマリ役になってしまっていて面白みに欠けるように思えるのは寂しい。ちなみに、原作の屋敷教授は“ぐぐもった声で言っていることが聞き取りにくいのが難点”らしく、その点では滑舌があまりよろしくない彼はまさに適役なのかもしれないが。