評     価  

 
       
File No. 1367  
       
製作年 / 公開日   2010年 / 2011年02月11日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   深川 栄洋  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   甘くない人生に、ときどきスイーツ。きっと幸せになれる。  

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最初に観たメディア  

Theater

Television

Video
 
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キ ャ ス ト   江口 洋介 [as 十村遼太郎]
蒼井 優 [as 臼場なつめ]
江口 のりこ [as 佐藤マリコ]
尾上 寛之 [as 海千尋]
粟田 麗 [as 花村(十村)マキ]
山口 朋華 [as 十村由実]
ネイサン・バーグ [as ジュリアン・ウィルソン]
嶋田 久作 [as オーナー横井]
加賀 まりこ [as 芳川さん]
鈴木 瑞穂 [as 芳川忠雄]
佐々木 すみ江 [as なつめの祖母]
戸田 恵子 [as 依子・ウィルソン]
 
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あ ら す じ    鹿児島から恋人の海千尋を探して上京した臼場なつめは、都内でも評判の洋菓子店・コアンドルを訪れた。ところが、海が働いていたはずのコアンドルに彼の姿はなく、なつめはオーナーパティシエの依子・ウィルソンから海が店を辞めてしまったことを知らされる。海に会うまでは田舎に帰るわけにもいかず行くあてもないなつめは、ちょうどスタッフを募集していたコアンドルで働かせて欲しいと依子に頼み込んだ。
 素人を雇うわけにはいかないという依子の返事に、ケーキ屋の娘であるなつめは実際にケーキを作ってアピールした。けれども、彼女の作ったケーキは依子や店に時々訪れるスイーツの評論家をしている十村遼太郎から手厳しい評価を受けてしまう。それでも、依子から出されたコアンドルのケーキの美味しさに打たれて食い下がるなつめは、依子から見習いとして雇ってもらうことになった。
 ある日なつめは、先輩の佐藤マリコと喧嘩になった時に、マリコから海の居場所を聞き出して、早速海の働く店を訪ねてみた。ところが、久しぶりに会った海はなつめとは別れたはずだと言うばかりか、新しい恋人さえいる始末だった。ベロベロに酔っ払ってコアンドルに戻ったなつめは、泣きじゃくりながら依子に「絶対に有名なパティシエールになる!」と決意を新たにするのだった。
 依子は努力の末、晩餐会のスイーツを担当するという大きな仕事の契約を取り付ける。ところが、喜んだのも束の間、疲労からくるめまいで階段を転落してしまい、入院する大怪我お負ってしまった。晩餐会の契約は破棄し、コアンドルもしばらくの間閉店すると依子は決断するが、何とかしてこの窮状を抜け出す方法はないか模索するなつめは、十村にコアンドルのパティシエになってくれるよう頼み込んだ。ある事件が原因で今でこそ評論家という仕事に甘んじている十村だったが、かつては天才と謳われた伝説のパティシエだったのだ。
 いくら頼んでみても決して心を開こうとしないばかりか、「鹿児島に帰れ!」となつめを拒絶する十村を、果たしてなつめは説き伏せることができるのか?そして、コアンドルの将来はどうなってしまうのか・・・・・?
 
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たぴおか的コメント    決して派手な展開もなく、これといって大きな事件が持ち上がるわけでもない、静かに淡々と進んでいく作品だが、非常に丁寧に作られているという好印象を受けた。ストーリーは予定調和とは言い過ぎかもしれないが、戸田恵子扮する依子が階段から転落した時点で、その先はだいたい読めてしまう。ただ、ストーリーの展開に奇をてらったような作品ではないので、逆にその先どうやってその結末まで持って行くかの興味が湧いてくる。
 田舎から出てきた世間知らずの女の子という設定が蒼井優にぴったりで、と言うよりも、むしろ蒼井優が上手いと言うべきだろうか。最近はどんな役柄を演じても、観る者に違和感を感じさせない域にまで達しているようにさえ思える。そして江口洋介、戸田恵子、江口のりこと演技達者・個性派が周囲を固めているのもいい。江口洋介はこのところ天才救命医や子の作品でも天才パティシエと、役柄が定着してしまっている感があるのは残念。私としては、ドラマ『101回目のプロポーズ』の星野純平が彼の演じた役柄の中では最も好きなだけに、ああいうコミカルな味のある演技を再び見せてほしいものだと思う。
 加賀まりこがコアンドルの常連客として登場しているが、彼女ももはや熟女役を通り越して老婦人が似合う年齢になったかと思うと寂しい。そして、驚いたのが彼女の夫を演じていた鈴木瑞穂!最近見かけないからてっきり・・・・・と思っていたのだが、まだ生きてたんだね(瑞穂さん、ゴメンナサイ!)。また、作品中では誰が演じていたのか判別できないほどだったが、江口扮する十村遼太郎の元妻役で粟田麗が出演していたのを後から知った。最初からわかっていれば、もっとじっくりと注目していたのだが。また、ベン・アフレック・・・・・じゃなくて、嶋田久作がワンシーンだけ登場するが、彼の登場がストーリーの展開にあまり生かされていないように思えた。
 それにしても、スイーツは(料理もそうなのだが)味同様に見た目の華麗さがいかに大事かをこれでもかと言わんばかりに見せつけてくれる。そのおかげで、観終えた後には無性にスイーツが食べたくなることは必至という実に危険な作品で(笑)、私もついついLAWSONの“うちカフェ”を衝動買いして帰宅する羽目に陥ってしまった。